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コラム

2024年1月9日

各地で広まるデジタル地域通貨の今後

目次

■ デジタル地域通貨の現状
■ 多様化するサービス
■ 利用者が感じているメリット
■ 今後の広まりを目指すには

 

デジタル地域通貨の現状

近年、特定の地域で利用可能なキャッシュレス決済であるデジタル地域通貨が全国各地で展開されています。

もともとは各地域の中でお金を循環させる仕組みとして始まった地域通貨ですが、スマートフォンの普及、またキャッシュレス決済の普及によってデジタル化が進み、コストも下がったことで導入する自治体が増えました。総務省のデータによると2021年でのスマートフォンの所持率は88.6%、MMD研究所が今年8月に行った調査ではモバイル端末を持つシニアのうちスマートフォンをメインで利用している人は91.9%となっており、世代を問わずスマートフォンの利用が当たり前になってきています。

さらにデジタル地域通貨事業には、デジタル化によって地方自治体の社会問題解決を図る「デジタル田園都市国家構想」により、交付金という形で国からの支援も受けることができます。
このように、地域経済を活性化させるため、かつ地方のデジタル化に向けてはじまった取り組みですが、その現状はどうなっているのでしょうか。

先日実施した「デジタル地域通貨に関する調査」ではデジタル地域通貨という言葉とその内容の認知度は約半数、未利用者の利用意向は18.5%という結果となりました。

また、利用経験を年代別にみてみると、特に20代が高いことがわかりました。キャッシュレス決済を日常的に利用している層が積極的に使っていると考えられ、今後の広まりにも期待できます。

 

多様化するサービス

デジタル地域通貨は、各自治体や商工会などが運営していることが多く、対象利用者や利用方法は多岐にわたります。ここで、その一例を紹介します。

かながわPay
神奈川県内の加盟店で利用すると買い物した金額の最大20%分のポイントを還元するキャンペーン専用のアプリ。d払いやau PAY、楽天ペイなど既存のキャッシュレス決済サービスと連携して支払うことで還元が受けられる。※2023年11月30日に第3弾が終了

さるぼぼコイン
岐阜県高山市・飛騨市・白川村で使える電子通貨アプリ。飛騨信用組合の窓口やセブン銀行ATMなどでチャージした通貨を加盟店での利用や、利用者間の送金に利用できる。2022年12月には5周年を記念して、チャージ時のポイント上乗せ、支払い時の還元などのキャンペーンを行った。

region PAY
デジタル地域通貨を開始したい自治体や企業が、利用地域を限定したサービス展開やポイント付与などを行うことのできるデジタル通貨プラットフォームアプリ。利用時は加盟店に設置されたQRコードを読み取って決済、またはあらかじめチャージされたカードタイプのプリペイド式決済も可能。

 

利用者が感じているメリット

今回の調査では、実際にデジタル地域通貨を利用したことがあると回答した人を対象に、利用後の買い物頻度の変化や満足度、利用理由などを聞きました。
買物の頻度が増えた人は6割を超え、満足度も7割以上と、利用した人の多くがメリットを感じていることがわかります。

利用理由も自由回答で聞いたところ、「ポイントが貯まるから」「お得に買い物ができるから」といった還元によるお得さをダイレクトに感じている声や、「地域の人間関係の活性化に繋がりそう」「地域に貢献できるところにメリットを感じた」というような、地域振興につながる取り組みとしての利用意向もありました。

 

今後の広まりを目指すには

このようなデータから、デジタル地域通貨は利用すればそのメリットを感じることができ、利用者の買い物頻度があがることで地域経済にも貢献できるサービスであることがわかります。

今後のサービス普及のためには、まず知ってもらうための周知、そして使ってもらうために利用までのハードルを下げることが必要です。

以前は紙のクーポンだった地域通貨も、デジタルに変わったことによって効率化やデータとしての活用など様々な利点があると同時に、アプリの利用開始方法や決済時の手続きなど、使いこなせない、使い方がよくわからないという人もいると考えられます。各キャリアが開催しているスマホ教室などを、キャッシュレス決済サービス事業者とも連携して、子どもやお年寄りなどまだ使ったことのない層が利用方法などを学べる機会を作るなど、利用者に寄り添い、障壁になりうるものを解消して いくことでさらに広めていくことができるのではないでしょうか。

MMD研究所では引き続きキャッシュレス決済をはじめとしてポイント経済圏、新NISAなど、金融サービスにも注目して調査を行っていきます。ぜひ今後のリリースも楽しみにお待ちください。
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