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コラム

2023年11月29日

株式会社TRUSTDOCK×MMD研究所共催セミナーレポート
「eKYCのユーザー実態から考える、セキュリティと利便性のバランスとは」

MMD研究所は2023年10月18日、株式会社TRUSTDOCKとの共催セミナー「eKYCのユーザー実態から考える、セキュリティと利便性のバランスとは」を開催しました。こちらは、通信・金融をはじめとする事業者の皆様へ向けて、eKYC(オンライン本人確認)や昨今導入が推進されているマイナンバーカードを利用した公的個人認証サービスについての理解を深めることを目的としたセミナーです。
本記事ではイベントの様子をお伝えします。

登壇者

  • 田崎 十悟:株式会社TRUSTDOCK Verification事業部長(画像左)
  • 吉本 浩司:MMD研究所代表(画像右)

目次

■ ユーザー調査から見える契約のオンライン化とeKYCの現状(MMD研究所)
■ eKYCで変わる契約時の顧客体験とDX(株式会社TRUSTDOCK)
■ おわりに

 

ユーザー調査から見える契約のオンライン化とeKYCの現状(MMD研究所)

通信契約チャネルとシニアのデジタル化

吉本からは、MMD研究所で行った各自主調査のデータや、先日TRUSTDOCKと実施した共同調査のマイナンバーカードとeKYCについての調査結果に基づき、契約のデジタル化とeKYCの現状についてお話しました。

現在、通信業界の中で起こっている変化として、「契約チャネルのオンライン化」、「シニアのデジタル化」があります。
2023年7月に行った通信契約のチャネル別調査ではオンラインでの契約が3割を超えました。
これを年代別にみても、60代・70代のオンライン契約率も向上している傾向にありました。オンラインの利便性を1度でも感じることで、店頭よりもオンラインでの契約を選ぶ方が増えていることが予想されます。 

また、2023年8月に行った調査ではシニアのスマートフォン所持率に関しても聴取しており、91.9%という結果となりました。経年でみても、3G回線の終了やフィーチャーフォンなどの販売終了の影響もあり、シニア世代へのスマートフォン普及がどんどん進んでいることがわかります。
このように、世代を問わず進むオンライン化に伴って、契約時の本人認証という点でのオンライン化も進むと考えられます。

 

eKYCの状況

今回TRUSTDOCKと共同で行った調査では、eKYCを含む非対面での本人確認の経験率は約6割となりました。

eKYCの利用場面を聞いたところ、「銀行・証券」をはじめとする金融、決済サービス利用時を筆頭に、通信会社での契約、ECサイトでの決済や登録、フリマやオークションの登録など、多岐にわたっています。

 

国の動きと公的個人認証(ワ方式)

eKYCの一種であるマイナンバーカードのICチップを利用した本人確認である公的個人認証(ワ方式)は総務省をはじめとして、警察庁や金融庁などの各省庁から推進される動きが活発化しています。デジタル庁は、デジタル社会の実現に向けた重点計画の一つとして、マイナンバーカードと各種カードの一体化を目指す方針を掲げています。

 

マイナンバーカードとeKYC

今回の調査では、マイナンバーカード所有者に対してeKYCの各方式の利用率を聴取しました。
結果を見てみると、ホ方式(セルフィー+本人確認書類画像)が66.8%、へ方式(セルフィー+ICチップ情報読み取り)が30.2%、ワ方式(マイナンバーカードのICチップ情報読み取りのみ)が64.0%となっています。

マイナンバーカードの発行理由ではマイナポイントの取得が圧倒的に多く、マイナンバーカードを発行した人の多くがワ方式での本人確認を経験していることがわかります。
また、満足度・利用意向共にワ方式が最も高いという結果になりました。

さらに、今後本人確認の際にどの方式を利用したいかを聞いたところ、複数選択・単一選択共にワ方式が多く選ばれました。

ワ方式を利用したい理由としては、「マイナンバーカードの用意のみでできる」「顔写真の撮影が不要」「本人確認完了までのスピードが速い」などの利便性が多く挙げられました。今後マイナンバーカードの所有が当たり前になっていく中で、公的個人認証(ワ方式)の需要は高まっていくと考えられます。

 

eKYCで変わる契約時の顧客体験とDX(株式会社TRUSTDOCK)

TRUSTDOCKの田崎さまからは、公的個人認証(ワ方式)を含めた本人確認の現状と今後についてお話しいただきました。

 

本人確認の導入事例

TRUSTDOCKは、業種や業界を問わず幅広い企業向けに本人確認サービスを提供しており、今回は資産運用サービス、カーシェアサービスなどの、マイナンバーカードを利用した本人確認の導入事例をご紹介いただきました。公的個人認証による本人確認は2021年7月からの1年間で約22倍にまで増加しているそうです。

 

公的個人認証(ワ方式)のメリット

マイナンバーカードのICチップを利用した本人確認である公的個人認証(ワ方式)ですが、セルフィーと本人確認書類画像の送信が必要となるホ方式と比べて、手続きがシンプルなため離脱率が低いというメリットがあります。導入する事業者側としても、ホ方式は送信された画像を目視で確認する手間がかかるため、改善の余地があるとされてきました。

また、ワ方式の特徴として否認率の低さが挙げられます。ホ方式では写真が不鮮明な場合もはじかれてしまい、否認率が20%程度となってしまいますが、ワ方式は基本的には否認されることはありません。身分証の偽造が難しい、かつマイナンバーカード自体の信用が担保されていることから、事業者側の対応コストを抑えることが可能だそうです。

マイナンバーカードを利用した本人確認においては、個人認証を行うことでマイナンバーがわかってしまうという間違った認識を持っている方も多く見受けられるとのことでした。「マイナンバー」は個人番号として、同意を取ったうえで取得する必要があり、TRUSTDOCKでは個人番号の取得や保管に関しては別サービスとしてご提供されています。

 

マイナンバーカードとeKYCの今後

今後の動向としては、マイナンバーカード電子証明書対応端末の普及や、マイナンバーカード自体の仕様変更の可能性などを挙げられていました。公的個人認証がよりスムーズに行えるよう進んでいくことを期待しているとのことでした。
 

 

おわりに

セミナー終了後には、TRUSTDOCKより参加者の皆様へ書籍「60分でわかる!デジタル本人確認&KYC超入門」のプレゼントがあり、導入を考えていらっしゃる方々からのご質問やご相談にお答えする交流会も行われました。

今回のセミナーが、ご参加いただいた皆様や本レポートをご覧いただいた方のeKYCに対するお悩みや課題解決の一助になりましたら幸いです。また、オンラインサービス全般に関して、「こんなことが知りたい」「こんなデータは無いか」など、ご質問やご要望がございましたら、下記お問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。

本セミナーにご参加いただいた皆様に、この場を借りて心より御礼申し上げます。

上記のリサーチに関するご質問等は、お問い合わせフォームよりご連絡ください。

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