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コラム

2024年2月22日

Apple Watch利用者を徹底分析~顧客分析プログラム事例①~

目次

■はじめに
■ユーザー分類の定義
■比較することで見えてくるセグメントごとの傾向
■事前期待・満足度のスコアについて
■スコアによって明らかになるセグメントの特長
■おわりに

 

はじめに

近年、マーケティング戦略の策定において「顧客理解」が非常に注目されています。
しかし、一言で顧客理解と言われても何をしたらいいか分からないという方も多いのではないでしょうか。

MMDLaboが提供している「顧客分析プログラム」では、ロイヤルティの測定などを踏まえ顧客に対する解像度を高め、「自社顧客を理解する」という目的に適した調査を提供しています。

今回は実際に弊社で行った「2023年11月Apple Watch顧客分析プログラム※」をもとに解説していきます。
※弊社の自主調査であり、Apple社からの委託調査ではございません。

■ 使用する事例「2023年11月 Apple Watch顧客分析プログラム」

アンケート調査

調査期間:2023年11月10日~11月15日
調査対象:<スクリーニング>18歳~69歳男女 計14,471名
     <本調査>Apple Watch利用者 計1,007名
調査設問:<スクリーニング>10問<本調査>10問 計20問

インタビュー調査

調査期間:2023年11月15日
調査対象:Apple Watchユーザー(ロイヤル層、非ロイヤル層 各1名)計2名

※「2023年11月Apple Watch顧客分析プログラム」について
現在、「2023年11月Apple Watch顧客分析プログラム」のレポートを販売しております。
本レポートは定量調査に加え、定性調査の結果からも分析を行ったものです。
定量調査にてApple Watchユーザーの属性データ・心理データを明らかにし、今後のApple Watchのロイヤルティ向上に必要な機能や価値を分析しています。加えて、現在利用者に対するインタビューにより、利用の背景や理由、活用方法、生活の変化について掘り下げています。
ご興味のある方は、以下より一部内容をダウンロードできますので、ぜひご覧ください。

 

ユーザー分類の定義

顧客分析プログラムでは、収益性と継続性でロイヤルティ指標軸を定め、ロイヤルカスタマーを定義します。セグメントごとに分析することで、各セグメントの特徴やセグメントごとの差異を把握し、ロイヤルティ向上のヒントを得ることができます。

今回事例ではロイヤルティの指標をApple Watchの「着用頻度」と「継続利用意向」を軸としてロイヤルカスタマーを定義しています。
収益性については購入頻度や購入回数を使うこともありますが、Apple Watchは商品の性質上頻繁に買い替えるものではなくこれらの指標は適切とは考えられないため、収益性の軸を「着用頻度」としています。
セグメントの詳細としては「着用頻度」を高・中・低の3つ、「継続利用意向」を高・低の2つに分け、これらの項目を掛け合わせ6つのセグメントに分類しています。(上図:カスタマー構成比率)

また、Apple Watchを所持しているが着用していない「未利用層1」「未利用層2」について、顧客分析プログラムでは顧客に着目した分析を行うため、ノイズとして除外しております。

分類した4つのセグメントをそれぞれ分析・他セグメントとの比較を行うことで、商品・サービスの顧客理解の解像度を高めることができます。
なお、このロイヤルティの定義については、企画の段階でお客様のビジョンや強み・理想とする顧客像を伺い整理した上で、ロイヤル指標の定義づけを一緒に行っております。

 

比較することで見えてくるセグメントごとの傾向

各セグメントを比較して分析した際の一例をご紹介します。

こちらのページではApple Watchの購入の決め手についてロイヤル層・アクティブ層・継続層・非ロイヤル層それぞれの購入の決め手となった項目を比較しています。
各項目をセグメントごとに比較することでそれぞれのセグメントの購入の決め手となった要因を捉えることができます。

ロイヤル層は「健康に関するデータを計測できること」が購入の決め手となっている割合が最も高く、他セグメントと比較しても10ポイント前後高くなっており、Apple Watchをヘルスケアの道具と認識して購入していることが分かります。

また、継続層は「電子マネーの決済を行えること」が購入の決め手になっている割合が最も高く、決済手段としてApple Watchを購入していることが分かります。
一方で非ロイヤル層では「当てはまるものはない/覚えていない」と回答している割合が最も高く、ロイヤル層と比較するとおよそ30ポイント高くなっており、購入前時点でのApple Watchに対する関心度が低かったのではないかと考えられます。

 

事前期待・満足度のスコアについて

顧客分析プログラムではアンケートで聴取した各項目に対する、購入・利用前の事前期待と現在の満足度の差分をスコアとして、事前に期待されていた価値に対して、購入・利用後にどの程度満足されているかを数値で定量的に明らかにします。

スコア算出の考え方として、今回は各項目を「タグラインの価値スコア(ブランドの目指すビジョン)」「Apple Watchの価値スコア (Apple Watchとしての価値)」「その他の価値スコア (ウェアラブル端末としての価値)」に分類し比較しています。

差分スコアについては満足度-事前期待で算出しており、スコアがマイナスの項目は期待を下回っており、プラスに行くほど期待していなかったが満足されている項目と考えることができます。
事前期待・満足度の差分をスコアとして見ることで、商品やサービスにおいて価値として提供しているつもりが満足されていなかったことや、意識していなかった意外な魅力を発見することが可能です。

また、分類したそれぞれのスコアの合計をセグメントごとに比較することで、各セグメントの商品・サービスに対する意識の隔たりや、ロイヤルティを高めるためのヒントを探ることができます。

 

スコアによって明らかになるセグメントの特長

スコア算出により明らかになることの一例を紹介します。

上図ではロイヤル層とアクティブ層の、事前期待と満足度の差分スコアをそれぞれ掲載しています。
ロイヤル層では、ほとんど全ての項目でスコアがプラスになっており、満足度が事前期待を超えることができています。

しかし「スマートフォンの通知が確認できること」については、スコアがマイナスにとなっており満足度が事前期待を超えることができていないことが分かります。こちらについては、利用しているアプリがApple Watchに非対応で通知が確認できない、等の要因によって事前に想定していた使い方ができていないことが考えられます。

また、アクティブ層については全ての項目で満足度が事前期待を超えることができておらず、期待通りに使用できていないことが継続利用意向にも影響を与えていると考えられます。
アクティブ層もロイヤル層同様に「スマートフォンの通知が確認できること」の差分スコアが最も低く、通知部分の訴求や機能改善がロイヤルティの向上に繋がることが推測できます。

 

おわりに

今回は定量調査の事例についてご紹介させていただきました。   

アンケートでは数値に基づいて定量的な事実を把握することが可能です。
しかし、「満足と感じた人はなぜ満足だと思ったのか」より「満足と感じてもらうためには何が必要か」といった情報はアンケートの回答だけでは把握することが難しい内容になります。   

より深く顧客を理解していくためには、実際に利用者の声を聴くインタビュー調査が有用です。
アンケート調査とインタビュー調査を合わせて実施することで、客観的に事実だけではなく、実際の利用者が感じている心理的な要因などを明らかにしていくことで調査結果の質が飛躍的に向上します。

次回の「Apple Watch利用者を徹底分析~顧客分析プログラム事例②~」では、今回と同じ調査「2023年11月Apple Watch顧客分析プログラム」をもとにインタビュー調査でどんなことが分かるのか実際にどのようにレポートにまとめられているかをご紹介します。

Apple Watch利用者を徹底分析~顧客分析プログラム事例~

MMDLaboで実施した過去のApple Watchの調査については下記ページでもご紹介しております。

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