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コラム

2021年4月12日

通信キャリアの新プランにおけるユーザー状況と今後の予見

目次

■ 各社新プランの登場
■ 新プランスタートからその後―3キャリアの動向を追跡
■ データから見る、ユーザーのオンライン契約経験状況
■ 2月時点の新プランへの乗り換え意向の振り返りとRakuten UN-LIMITの見通し
■ オンライン契約の状況と今後の乗り換え意向について

 

各社新プランの登場

2018年、「携帯電話の料金は不透明で、他国に比べ、高すぎる。4割程度は下げられる余地がある」と発言した当時の菅前官房長官は、2020年9月、首相に就任し、通信料金値下げの実現に向けた動きが加速されました。同年10月、総務省が「モバイル市場の公正な競争環境の整備に向けたアクション・プラン」を発表し、各通信会社のなかでも大手3キャリアは通信料金値下げを後押しされ、新プラン競争が開始されます。

2020年10月、UQ mobileの「くりこしプラン」、Y!mobileの「シンプルS/M/L」などキャリアサブブランドの新プラン発表を皮切りに、同年12月から各社は続々と新プランを発表しました。そして2021年2月以後、各通信事業者が新プランのサービスを開始しました。

MMD研究所では、各社の新プラン開始前の2021年2月8日~2月10日の期間で「2021年3月 通信サービスの利用動向調査」および「2021年3月 通信サービスのプラン変更・乗換え意識調査」を実施いたしました。これらの結果の一部をご紹介し、新プランが与える今後のユーザー動向の影響について考えていきます。

なかでも、今回は3キャリアの新プランについて見ていきます。
まず2020年12月にdocomoからahamo、SoftBankからSoftBank on LINE(2021年2月「LINEMO」に改名)、1月にauからpovoが発表されました。

いずれのプランも月額料金3,000円を切るプランで、データ通信量は基本20GB、5G対応もしており大容量ユーザーは月額料金を従来よりも抑えられる内容となっていますが、料金の引き下げが可能となった反面、各種サービス(docomoではspモード決済など)が使えない場合や契約はオンライン限定のため利用できるユーザーが限られる場合があることも特徴です。

 

新プランスタートからその後―3キャリアの動向を追跡

それでは、3キャリアの新プランのサービス開始からその後の経過についてそれぞれ見ていきましょう。

・ahamoについて
3キャリアでは新プラン発表の先陣を切り、月額2,700円(税抜き)の設定でインパクトを与えました。2020年12月3日には先行エントリーキャンペーンを実施し、エントリーした人にはdポイントを3,000ポイント付与する施策を行い、2月上旬時点で先行エントリーは100万件に達していました。
その後、当キャンペーンは一部変更を加えられ、3月25日までにエントリーかつ、4月15日~5月31日に初期混雑を避けて手続きをすれば、さらにdポイント3,000ポイントを追加して付与するという施策を行っています。3月26日にサービス開始しましたが、同日、docomo回線を通じてプランの変更を申し込んだ際、手続きが完了したことを知らせる画面が表示されずエラーのメッセージが表示される不具合も起こりました。3月29日には申し込みが想定を上回って集中したとのことで、MNPの加入受け付けを一時中止しており、30日には再開していますが、現状はオンライン契約のスムーズさは実感しにくい状態となっているのではないでしょうか。

・povoについて
当初、KDDIからはAmazonプライムを含む月額9,350円の新プランを発表し、「期待外れ」と厳しい評価を受けた後、発表されたのがpovoです。月額2,480円(税抜き)で「5分以内通話かけ放題」など追加トッピングを用意する点が特徴です。2021年2月1日~3月22日まで先行エントリーキャンペーンも行っており、エントリーした人にはau PAY残高3,000円相当を付与する施策も行っていました。
3月23日にサービス開始し、同日早朝からAndroid版「povo トッピングアプリ」の一部機能が利用できない場合があるとして配信が一時停止していましたが、その後再開し、povo利用に関するシステムのトラブルはとくに報じられていません。

・LINEMOについて
LINEMOは月額2,480円(税抜き)、上記2サービスと同じく、2021年1月27日〜3月16日まで先行エントリーキャンペーンも行い、エントリーした人にはPayPayボーナス3,000円相当を付与する施策や、最初の1年はオプション通話が無料という施策を行っています。LINEMOは3月17日にサービス開始し、3キャリアの中で最も早くeSIMに対応している点が特徴です。しかし、eSIM契約したユーザーの一部で、通信できないなどのトラブルも発生しているようです。3月22日にはeSIM設定時に「間違えやすいポイント」を詳しく説明したPDFファイルを公開し、アフターサービスの提供に努めています。

 

データから見る、ユーザーのオンライン契約経験状況

現在、新プランにてスムーズにいかない点も見受けられたオンライン契約ですが、2月時点のユーザー側のオンライン契約経験はどのような状況だったでしょうか?

関連する調査結果から見ていきます。
18歳~69歳の男女40,000人に、通信会社の新規契約や機種変更、プラン変更等の手続きをオンライン上で行ったことがあるか年代別に聞いたところ(家族や知人の手続きを代行した場合も含む)、「1回もない」は10代(n=1,209)が最も多く75.0%となり、その他の世代も約6割がオンライン契約経験なしと回答しております。
10代が他の世代よりもオンライン契約経験者が少数なのは、オンライン・オフライン問わず親が子供の携帯端末の契約手続きを代行しているからが大きな要因になるかと思われます。契約経験1回以上の割合を見ると世代間で大きな差は見られない結果となりました。また、特に若者に経験者が多いということもないようです。

現状、ユーザーの6割以上はオンライン契約の経験なしと回答しましたが、オンラインで可能な手続きの幅が増えれば、オンライン契約経験者もそれにつれて増加していくことも考えられます。

次に、通信契約をしている携帯電話・スマートフォンを現在利用している37,731人に通信サービス別で聞いたところ、「オンラインでの契約経験がない」はau(n=9,232)が最も多く73.6%、次いでSoftBank(n=5,931)が72.1%、docomo(n=13,214)が64.4%となりました。

また、最近のオンライン化の動きとしてdocomoは、デバイスレンタルサービスの「kikito(キキト)」の提供を4月1日に開始しました。こちらは希望するデバイスを自宅で受け取り、自宅またはコンビニで返却できるサービスです。店舗での契約のメリットの一つとして、見本の端末を手に取って見られるという点がありましたが、このようなサービスが今後普及していけば、オンライン手続き経験者も増えていくのではないでしょうか。

 

2月時点の新プランへの乗り換え意向の振り返りとRakuten UN-LIMITの見通し

ここで改めて、新プランスタート前の2月時点でのメイン利用の通信会社の乗り換え先の意向についてキャリアの新プランに絞って振り返って見てみましょう。

メイン利用の端末で4キャリアの新プランのいずれかにプラン変更・乗り換えを検討している6,758人のうち、希望するプラン変更・乗り換えの検討先を聞いたところ(3つまで回答可)、「ahamo」が最も多く44.9%、「Rakuten UN-LIMIT」が37.3%、「povo」が25.0%、「LINEMO」が15.0%となりました。

次に、メイン利用の端末の契約変更先として最も検討度が高いプラン変更・乗り換え先をキャリアプラン別に、検討者が現在利用している通信キャリアから見てみましょう。

3キャリアでは、「ahamo」の72.9%、「povo」の82.4%、「LINEMO」の76.6%は現在利用の通信キャリアからの移行検討でした。


※現在利用しているキャリアにて自動でプラン移行やアップグレードされるサービスの場合は0%表記になります。
※表のn数は最も検討しているプラン変更・乗り換え先を1つ選んだ回答者の総数のため、「メイン利用の通信会社のプラン変更・乗り換え検討先 ※キャリア新プランのみ抜粋」のグラフのn数とは異なります。

2月の動向を見ると、基本現在利用のキャリアからの乗り換えを検討している方が多いようです。
一方、キャリアメールの使用が可能など3キャリアとは違った特徴を持つ「Rakuten UN-LIMIT」に関しては、このデータでは自動でプラン移行やアップグレードされる人は調査対象として除いておりますが、ahamoに次いで多い1,749人がRakuten UN-LIMITへの乗り換えを最も検討しています。他社からの検討者が多いのは、MVNOのうち楽天モバイル(MVNO)ユーザーの検討者が多かったことも影響します。2021年3月、300万回線を突破した楽天モバイルですが、このまま他社からユーザーを獲得できれば、年内にシェアを伸ばし、Y!mobile規模に近づく可能性も出てくるでしょう。

 

オンライン契約の状況と今後の乗り換え意向について

先ほど見た、世代別のオンライン契約経験の結果では、世代間で大きな差は見られず、いずれの世代も1~2割程度が1回は経験があると回答しました。
この結果から、オンライン契約のみに限定する新プランの施策はそれほどユーザー離れにはつながらないのではないかと考えます。

また、今後、プラン変更・乗り換え検討先の調査結果を変化させる要因として、事業者のオンライン手続きに関する施策やユーザーへの対応の良し悪しも挙がるのではないでしょうか。
今回、例えばLINEMOは、eSIM設定時の不具合があるユーザーへの施策として、間違えやすい工程について注意点を記載したPDFファイルを提供するなど、早期な対応が見られました。今後はこのようなアフターサービスの充実やカスタマーサービスのチャットでの対応等もユーザーの乗り換え意向に影響してくるのではないかと考えます。

MMD研究所では、新プランがスタートしてからの契約者状況の経過も引き続き調査していく予定です。
調査データへのお問い合わせなどございましたら、以下の連絡先までお気軽にご連絡くださいませ。

 

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