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コラム

2025年3月13日

投資初心者から上級者までデータが示す暗号資産の活用動向【日本の暗号資産市場解説セミナー Vol.1】

2025年1月に日本国内の暗号資産市場に関する最新調査を実施し、市場全体の認識や投資状況を分析しました。加えて、楽天ウォレットやbitFlyer、Coincheck、GMOコイン、メルカリのビットコイン取引サービス、SBI VCトレードといった主要なサービス利用者100名ずつ(メルカリのビットコイン取引サービスのみ93名)を抽出し、取引動向についても詳しく調べました。

今回は2025年2月13日に開催した「日本の暗号資産市場解説セミナー」内にてご紹介した、暗号資産の市場について、お話した内容をまとめました。暗号資産市場について最新のデータをぜひご覧ください。

日本の暗号資産市場解説セミナー

  • Vol.1 投資初心者から上級者までデータが示す暗号資産の活用動向
  • Vol.2 暗号資産投資の成功戦略!安定成長と取引継続の秘訣

目次

■ 2024年は暗号資産の転換期!市場を揺るがした出来事とは?
■ 投資を始めるきっかけはSNSかテレビか
■ 「暗号資産って何?」その疑問を解消しない限り市場は広がらない!

 

2024年は暗号資産の転換期!市場を揺るがした出来事とは?

2024年は暗号資産市場にとって転換期となりました。米国ではトランプ大統領(最初に発言した当時は任期外のため元大統領)が「米国を暗号資産の中心にする」と発言し、ビットコインをはじめとする暗号資産の価格が急騰しました。さらに、米国証券取引委員会(SEC)の次期委員長としてポール・アトキンス氏が指名され、市場は一層活気づきました。

一方、日本国内では金融庁が暗号資産やステーブルコインに関する包括的な規制改革案を提示し、透明性の向上と投資家保護の強化が進められています。日本暗号資産取引業協会(JVCEA)のデータによると、国内の口座数も増加傾向にあり、新規参入者が今後さらに増えることが予想されています。

国内の主要取引所は市場拡大に向けた取り組みを加速させています。メルカリのビットコイン取引サービスは、サービス開始からわずか1年で利用者数が200万人を突破し、メルカリをフックに暗号資産未経験者の流入きっかけとなっています。SBI VCトレードでは2024年11月に過去最多の口座開設数を記録し、SBIグループの信頼性を背景に利用者の増加が進んでいます。さらに、Coincheckはナスダックに上場を果たし、国内の暗号資産業界再編にも影響を与える可能性が高まっています。

こうした市場の変化を受け、2025年も暗号資産市場の成長が見込まれています。金融庁による規制整備が進み、投資家保護や取引の透明性が強化されることが期待される一方で、金融機関やテクノロジー企業の参入により、市場はさらなる多様性がもたらされるでしょう。取引所間の競争も激しくなり、新規ユーザー獲得に向けたプロモーションが市場の拡大に大きな影響を与えることが予想されます。

 

投資を始めるきっかけはSNSかテレビか

今回の調査では、投資経験があると回答したのは22.8%で、残りの77.2%は投資未経験という結果になりました。興味を持って情報収集をしている人は8.0%、投資取引所を検討し始めた人は14.9%と、投資に関心のある層は全体の45.7%を占めています。

一方で、全く興味を持っていないと答えた人も半数以上に上り、投資に対する関心には大きなばらつきがあることが分かりました。

性別ごとに見ると、男性のほうが投資を始めている割合が高く、年代別に見ても20代から60代の男性の投資経験者が比較的多くなっています。対照的に、女性は投資に全く興味がないと回答した割合が高く、性別によって投資意識に差があることが示されています。

ただし、情報収集段階にある人の割合は男女間で大きな差がなく、投資の知識を深めている段階では性別を問わず一定の関心が見られることも明らかになりました。

投資を始めたきっかけについても聴取しており、20代から30代の若年層ではSNSの情報が投資を始めるきっかけになったケースが多く、40代から60代ではテレビの情報が重要な役割を果たしていました。
また、ライフステージの変化も投資の開始に影響を与えており、一人暮らしを始めた20代や、定年退職を迎えた60代男性、子育ての節目を迎えた女性が投資を始めるケースが多く見られました。

このように、投資の関心や実践は年齢や性別、ライフステージによって異なる傾向があることが明らかになっています。暗号資産市場においても同様の傾向が見られる可能性があり、各層に適したアプローチが求められます。

 

「暗号資産って何?」その疑問を解消しない限り市場は広がらない!

次に暗号資産の認知度に関するデータを紹介します。調査によると、「名前を知っている」と回答した人は44.3%で、これは他の投資商品と比べても最も高い水準となっています。認知度が高いことは、暗号資産が広く話題になっていることを示していますが、その一方で内容を理解している人は10.9%にとどまっており、詳しく説明できる人は少ないことも明らかになりました。

実際に現在取引をしている人は3.2%、過去に取引経験のある人を含めた取引経験率は5.5%に達します。国内株式や投資信託と比べると、取引経験者の割合はまだ少なく、市場としては成長の途上であることが分かります。

興味深い点として、投資商品の内容理解度を比較すると、暗号資産に限らず、国内株式やFX、投資信託などでも大きな差は見られませんでした。ただし、NFT(非代替性トークン)については、認知度が21.4%と低く、「全く知らない」と回答した人が68.0%にのぼります。NFTに関する知識が暗号資産以上に広まっていないことが、このデータから読み取れます。

暗号資産は広く知られている一方で、詳細な内容理解が進んでいないことや、NFTに関する認知度の低さなど、市場の成長に向けてさらなる情報提供が求められていることが浮き彫りになりました。

ファネル分析においては、認知が64.2%、内容理解が20.0%となっています。転換率の観点から見ると、認知度は高いものの、内容理解に至る割合が31.2%と低い傾向が見られます。これは多くの人が暗号資産の存在を知っているものの、その仕組みや活用方法が十分に伝わっていないことが課題となっています。さらに、内容を理解した上で利用を検討する人の割合も45.5%にとどまっており、実際の取引に至るまでのハードルが依然として高いことが示唆されています。

 

次回は「日本の暗号資産市場解説セミナー」内にて後半にご紹介した内容をまとめてお伝えします。ぜひ楽しみにお待ちください。

データについて何かございましたら下記「お問い合わせ」よりご連絡ください。

また、本セミナーの調査レポートを販売しております。調査結果の説明を受けてからの購入検討も可能ですので、ぜひお気軽にご相談ください。

 

※本調査レポートは小数点以下任意の桁を四捨五入して表記しているため、積み上げ計算すると誤差がでる場合があります。

上記のリサーチに関するご質問等は、お問い合わせフォームよりご連絡ください。 

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