スマートフォン、タブレットを中心とした消費者動向や市場調査を無料で公開

リサーチのご相談

コラム

2025年3月10日

消費者ニーズの変化がもたらすインターネット回線市場

目次

■ 光回線の普及率は?住まいごとのインターネット事情
■ 光回線の乗り換え理由とは?変化する通信ニーズ
■ まとめ

インターネット接続の選択肢が多様化する中で、光回線をはじめとする固定回線の契約状況に変化が見られています。スマートフォンや5Gの普及に伴いモバイル回線のみで済ませる家庭も増えている一方で、高速かつ安定した通信環境を求めて固定回線を契約するユーザーも依然として多く、動画配信サービスの利用増加やリモートワークの定着などが光回線の需要を支える要因の一つとなっています。

今回は最新の調査データをもとに、固定回線の契約動向や満足度について考察します。

 

光回線の普及率は?住まいごとのインターネット事情

政府はデジタル社会の基盤整備を進めるため、全国的な光回線の普及を推進しています。特に「光ファイバ未整備地域ゼロ」を目指す施策が展開されており、総務省は地方や過疎地域におけるブロードバンド環境の整備を支援する補助金制度を導入しています。また、「デジタル田園都市国家構想」の一環として地方自治体と連携し、5Gや光回線のインフラ整備を加速させています。
※引用元:総務省「情報通信白書 令和5年版」

こうした取り組みの影響もあり、日本国内では光回線の利用が広がり続けています。固定回線の中でも、光回線は依然として主要な選択肢となっています。18歳~69歳の男女50,000人を対象にした調査では、現在自宅でインターネット回線を利用していると回答したのは76.2%でした。そのうち「光回線」を利用している人は67.1%と最も多く、次いで「CATV回線」が12.4%、「ホームルーター」が9.9%という結果でした。

一戸建てと集合住宅の差を見ると、「光回線」と「住宅に付帯されたインターネット回線」に大きく開きがあります。

一戸建てや持ち家では、居住者が自由にプロバイダーを選び、光回線を契約することが一般的です。通信品質や速度を重視し、より安定した回線を求める傾向が強く、長期間の利用を前提としているため、設備投資や工事費の負担にも積極的なケースが多く見られます。

一方で、集合住宅や賃貸では、管理会社やオーナーが建物全体で契約したインターネット回線が提供されるケースが多く、住人が個別に契約する必要がない環境が整っています。そのため、個別に光回線を契約する割合は低くなり、入居時から利用できる利便性が高い反面、回線の混雑により通信速度が低下しやすい課題もあります。

また、契約の自由度やコスト面でも違いが顕著です。
一戸建てや持ち家では、利用者は自身のライフスタイルや家族のインターネット使用状況に応じて最適な回線を選択できますが、月額料金や初期費用が高くなる可能性もあります。

一方、集合住宅や賃貸では、共用回線が提供されている場合、個別契約の手間がなくコストを抑えられるメリットがあるものの、通信速度の安定性に課題が残る場合があります。特に新築の集合住宅や賃貸では、入居者向けに無料または低コストのインターネットサービスが提供されることが一般的になりつつあります。

このように住宅の形態によってインターネット回線の選択肢や利用環境は異なります。一戸建てや持ち家では自由度が高い一方でコストや手続きの負担があり、集合住宅や賃貸では利便性があるものの通信速度や契約の柔軟性に制約が生じることもあります。自身の生活スタイルやインターネットの使用目的に合わせ、最適な回線を選ぶことが重要です。

 

光回線の乗り換え理由とは?変化する通信ニーズ

ドコモ光、auひかり、SoftBank 光、楽天ひかりを利用しており、切り替えを検討している266人に聞いた、インターネット回線の乗り換えを検討する理由として、いずれのサービスでも「固定費を削減したいから」が最も多く挙げられています。近年の物価高騰により、家計の見直しを行う家庭が増えています。通信費は毎月発生する固定費の一部であり、削減しやすい項目の一つとして注目されています。

さらに、ライフスタイルの変化も影響しています。コロナ禍をきっかけにリモートワークが普及し、高速な光回線の需要が高まりましたが、最近ではオフィス勤務に戻る人も増えており、自宅のインターネット利用が減少した人も少なくありません。また、5Gの普及によりモバイル回線の通信品質が向上し、「固定回線なしでも十分」と感じる人が増えていることも、切り替えを促す要因の一つです。

また、スマートフォンとのセット割の影響も大きいでしょう。大手キャリアのセット割を活用することで、スマートフォンとインターネット回線の料金をまとめて削減できるため、セット割が適用される回線に乗り換えることで、トータルの通信費を抑えようとする動きが広がっています。

さらに、長期契約による割引の減少も見直しの理由の一つです。契約当初は割引が適用されていたものの、一定期間を過ぎると通常料金に戻り、結果的に月額料金が上がっているケースが多く見られます。一方で、新規契約者向けの割引が充実しているため、「今よりも安くなるなら乗り換えたい」と考えるのは自然な流れといえます。

 

まとめ

固定回線の契約状況は通信技術の進化とともに変化しています。光回線の利用は依然として多いものの、5G対応のモバイル回線の性能向上により、固定回線の利用を見直す動きも広がっています。

今回の調査からも分かるとおり、一戸建てと集合住宅、持ち家と賃貸といった住環境の違いが回線の契約形態に影響を与えています。特に集合住宅では共用回線の普及が進んでいるため、契約の自由度と通信速度のバランスが課題です。また、コスト削減を目的とした乗り換えの動きも加速しており、通信費の最適化を求めるユーザーが増えています。

今後、インターネット回線の契約動向は、さらなる技術革新や料金プランの多様化によって、より柔軟な選択肢が求められるでしょう。ユーザーは自身の利用状況に応じて、固定回線とモバイル回線を適切に組み合わせることが重要になってきます。

本コラムと同調査の結果をMMD研究所に公開していますので、こちらもあわせてご覧ください。

調査データに関するご質問やご要望がございましたら、下記お問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。

 

※本調査レポートは小数点以下任意の桁を四捨五入して表記しているため、積み上げ計算すると誤差がでる場合があります。

上記のリサーチに関するご質問等は、お問い合わせフォームよりご連絡ください。 

≪本調査レポートのご利用について≫
MMD研究所にて無償公開しているWEBサイト内の文書、及びその内容についての無断転載等は原則としてご遠慮頂いております。
データの利用または引用の可否はその内容によりますので、まずは掲載範囲、用途・目的、メディアなどを記載してメールにご連絡ください。
追って担当者よりご連絡いたします。著作物の二次利用に関しては、以下の条件にすべてあてはまる場合、個別の許諾なしにこれをみとめます。

  • 営利を目的としないこと
  • それによって経済的な利益を得ることがないこと

※販促に利用されたい企業様はお問い合わせください。

会員登録をすると、
調査結果の詳しいファイルを
ダウンロードできます。