コラム
2023年6月2日
食材宅配におけるネット注文普及への課題
目次
■現在利用者の注文方法
■アナログ注文利用者はなぜネット注文を利用しないのか?
■ネット注文ならではの利便性をアピール
■アナログ派にも寄り添ったサービス展開
コロナ禍における外出自粛の影響で需要が伸びていたミールキットや食材宅配サービスですが、2023年4月に行った、「2023年ミールキットに関する利用実態調査」「2023年食材宅配に関する利用実態調査」にて、利用者の実態がわかりました。社会活動が再開し人々の動きが戻りつつある現在、利用者は減少傾向にあります。
今回のコラムでは、現在もアナログ派とネット派に分かれている「注文方法」に注目し、食材宅配サービスにおいてネット注文を増やすにはどうしたらいいのかを考えていきます。
実際に、アナログ注文とネット注文がどれくらいの割合で利用されているのか見ていきましょう。
現在利用者の注文方法
先日の調査において、ミールキットの現在利用者522人と食材宅配サービスの現在利用者770人に最も利用している注文方法を聞いたところ、このような結果になりました。
ミールキットの「店頭で購入」も含めると、ミールキット・食材宅配ともに、メインの注文方法がネットではない割合は2割を超えています。電話注文への対応や、カタログ配布などはサービスを提供する企業にとってのコスト負担になっていることが考えられ、いずれは100%ネット注文にシフトしていくことが理想でしょう。
アナログ注文利用者はなぜネット注文を利用しないのか?
では、ネット注文をしない人にはどのような理由があるのでしょうか。
食材宅配サービスの利用経験がありアナログ注文を行っている313人に対し、ネット注文をしない理由を聞いたところ、「以前はネット注文に対応していなかった」がトップとなりました。ネット注文が始める前からサービスを利用している人は、引き続き慣れているアナログ注文を利用しており、移行するきっかけが無いと考えられます。
また、「ネットだと選びにくそう」「ネットで商品を見ることに慣れていない」という回答も上位に入っています。
現在アナログ注文を利用している人が多い50代以上の年齢層においては、オンラインショッピング自体に慣れていない人も多いでしょう。さらに、そういった人の中には、「ネット上で個人情報の登録をするのが面倒」と思っている方もいます。ネットでの買い物に慣れていないかつ、セキュリティに対する不安もハードルになっている方も多いと考えられます。
現在アナログ注文で主流となっている注文用紙の提出の際にも、個人情報やクレジットカードなどの決済方法の登録があります。前提としてインターネットにおける個人情報の漏洩やセキュリティに対しての漠然とした懸念も払拭する必要があるでしょう。
ネット注文ならではの利便性をアピール
このようなアナログ派の人たちにはまず、ネット注文自体のメリットを理解してもらう必要があります。
例えば、ミールキットの利用理由では「時短になる」「献立を考える必要が無い」「事前準備がある程度なされている」など“時短”に関するものが上位となりました。また、食材宅配の利用理由においても「重たいものを届けてくれる」「買い物に行く時間を節約できる」「時間を気にせず注文できる」といった買い物に関わる時間・場所などの縛りが無いことが多く挙げられています。
食事や食材の用意に関するストレスに対して、より時間や場所にとらわれず”時短”に繋がるネット注文を取り入れることは大きなメリットとなるでしょう。
また、「献立を考える必要が無い」ことをメリットと考えている人に対しては、ネット上に献立に合わせて食材を注文できるページを作る。「欲しいものが探しやすい」「家にあるものを確認しながら買える」点が良いという人には、検索機能の見やすさをアピールし、また昨今注目されているAI家電などと連動して、冷蔵庫内の情報を共有し必要な食材を提案するなどの機能もいいと考えられます。
アナログ派にも寄り添ったサービス展開
このようにネット注文の良さを周知するだけではなく、アナログに慣れているから今のままが使いやすいという人に対しても、寄り添う必要があります。
現在おうちCO-OPなどでも取り入れられているように、ネット上の注文ページを紙のカタログと同じビジュアルで作成することで、ネットでの商品選びに対して抵抗をなくすこともその一つです。一般的なオンラインショッピングのサイトをイメージして『紙の方が選びやすい』と思っている人へ向けて、従来のページとは異なる注文方法もあると伝えることも重要です。
また、アナログ注文にかかる紙や人件費などのコストが削減される分、ネット注文の手数料や送料などを抑えたり、ポイントで還元をしたりといったキャンペーンを行うことも、注文方法を切り替えるきっかけになるでしょう。
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