インタビュー
2017年9月29日
大手キャリア最新スマートフォン所有者5名へのグループインタビュー
AQUOS R、arrows NX、Galaxy S8+、iPhone 7、Xperia XZ Premiumユーザー
~端末選定理由、ユーザーの使い方から今後の端末トレンドを考える~
MMD研究所は2017年9月19日に「大手キャリア最新スマートフォン所有者へのグループインタビュー」を開催しました。
今回のインタビューでは、iPhoneユーザーがiPhone一択で端末を選んでいるのに対して、Androidユーザーはいくつかの端末の中から、「自分に合う端末を比較検討して選んでいる」という点でメーカーが発表する最新の機能・特徴を調べてから購入している傾向にありました。
特にその中でもiPhone Xにも取り入れられ、Galaxy S8(S8+)にはすでに搭載されている、ほぼ全画面ディスプレイや初代モデルから採用されている有機ELにより実現される「画面の大きさや綺麗さ」は、スマートフォンユーザーの動画視聴時間増加と相まって、今後の端末を選定する際により重視される点になることが示唆されました。
格安SIMの利用者増加でSIMフリースマートフォンの利用者数が徐々に増えていますが、メインで利用しているスマートフォン・携帯電話を大手3キャリアで契約している割合は現状84.4%で未だ大きなシェア率を占めています。大きな割合を占める大手キャリアユーザーはどのようにスマートフォン端末を決めているのでしょうか?
定量調査として行った、「大手3キャリア 主要スマートフォン最上位機種の購入前意識調査」及び「大手3キャリア 主要スマートフォン最上位機種の購入後意識調査」も併せてご覧ください。
■ Galaxy S8+ユーザーAさん(30代・男性)の場合
Aさんの端末選定理由は極めて明快。「機種にはこだわらないが、発売されている中で最も優れている機種、自分がほしい機能がついているものを選ぶ」とのこと。買い替える頻度も他の参加者より多く、自分がほしい機種がでたら買い替えを検討するという。
Galaxy S8+にしたのは「ほぼ端末サイズの大きな画面と有機EL採用の画面がとても綺麗だったから」という理由が大きい。映画をスマートフォン視聴する頻度が高いが、Galaxy S8+の大画面でみる動画は没入感が強いとのこと。
「前シリーズから続いている画面を分割して2つのアプリを同時に利用できるマルチウィンドウ機能でチャットを行いながら動画を見ている」「ゴルフをプレーする際にグローブをつけたままでもロック解除してくる虹彩認証は便利」など、かなり機能を使いこなしている様子。防水防塵であり、カメラも綺麗なので、不満はほとんどないとのことだった。
買い替えタイミングではXperia XZ Premiumを検討したが、今回はGalaxy S8+に軍配が上がった。
■ AQUOS RユーザーBさん(30代・女性)の場合
Bさんは以前に利用していたスマートフォンのバッテリー持ちが悪くなってきたため新たな端末に変更することを検討した。
Galaxy S8やXperia XZも検討したが、「自分の手の中に収まるちょうどいいサイズ」ということで、AQUOS Rを選んだ。「自分が求める機能の最低ラインを超えているもの」、そして「実際持ってみて自分の手の中に収まるもの」が彼女の選定基準。彼女の選定基準も極めて明快である。
女性の手でも片手で操作できる大きさであることは重要で、端末はいくつかの検討候補から消去法で選んだという。
特にカメラ機能を気に入っており、飼い猫を接写で撮影した時の毛並みの綺麗さまで再現してくるカメラ性能の高さに満足していた。
iPhoneにも憧れはあるが、iPhoneに買い替えない理由は、「破損したときに修理できる店舗が少なそうだから」ということだった。
■ Xperia XZ PremiumユーザーCさん(50代・男性)の場合
買い替え理由は、AQUOS RユーザーのBさんと同じく端末のバッテリーの持ちが悪くなってきたから。端末を選ぶ際に重視していたことは「画面の綺麗さとバッテリーの持ちの良さ、そして端末のスペックの高さ」。また、国産メーカーであることも大切とのこと。
他に検討した端末よりもRAMやROMの性能がよかったため、それが決め手になった。
docomoのオンラインショップで端末を購入したが、店頭に行って画面の大きさと重さ、そして片手で操作可能かを事前に確認した。
オンラインショップで購入理由を聞くと「いらないオプションをつけられなくて済むから」ということ。
以前所有していた端末と比べて、動作がスムーズで固まることもほぼなくなり、満足していた。
Xperiaが推しているイメージセンサー搭載のカメラに関しては、「子どもと旅行に行く機会が現在は少なく、あまり使用していない」。しかし、店頭に行った際に販売員から見せてもらったスーパースローの映像には非常に感動したとのことだった。
■ iPhone 7ユーザーDさん(20代・女性)の場合
DさんはiPhone以外の端末は検討しなかった。MMD研究所の定量の調査でもiPhoneユーザーがiPhoneを選んだ理由が「この機種のブランドが好きだから」という理由が1番であったが、彼女もその一人。
「iPhone 7の性能がいいから買い替えたいと思うよりは、新しいiPhoneが発売されたから購入した」とのこと。大学生時代はAndroidも使用していたが、使用していた過去の端末から、Androidは操作性がもっさりしているというイメージがずっとありiPhoneを今後も使い続けるという。
iPhone 6からの乗り換えだが、前端末と比べて、「カメラの性能が良くなった点がとても満足している」。また、iPhone初の耐水機能は待望だったようで、「クックパッドを見ながら料理することが多いが、いまは濡れた手でも気にせずに触れる」とのこと。
1つ心配事としては、iPhone 7に限ったことではないがiPhoneを使っている人は画面を割っている人が多いので、もっと頑丈にしてもらえれば、ということであった。
■ arrows NXユーザーEさん(40代・男性)の場合
Eさんの買い替えタイミングも「バッテリー持ちが悪くなったとき」。その時期がちょうど昨年の12月だったのだが、興味を惹かれたポイントは「虹彩認証」。「12月の時点で虹彩認証を搭載していたスマートフォンがarrows NXだったため、購入を決めた」とのこと。
以前の端末もarrowsでセキュリティに関しては、指紋認証を設定していたが、冬場の手袋をつけている時期は面倒だったが、虹彩認証になってから手袋を外す必要がなくなったので、だいぶ便利になったという。
iPhoneも興味があるが、テレビが見られないので、それで選択肢からいつも外れる。2020年にはオリンピックがあるので、次に買い替える際もテレビを見ることのできる機能があることは必須とのこと。
ちなみに1つ残念な点としては、先週海外アーティストのライブに行った際に、ズームで撮影しようとしたら、ズーム撮影の画像が荒かったこと。普段の写真撮影は満足している。
■ iPhoneXの興味度から見える今後の端末への期待点
iPhone 7ユーザーのDさんは「(iPhone 7に)買い替えてからまだ1年しか経っていないので、今回は新しい端末への買い替えは控えるが、iPhone Xの画面の大きさや綺麗さは動画を見るのに魅力的」と答えている。ほぼ全画面のディスプレイは現在のiPhoneユーザーとしても気になるポイントのようだ。9月6日に発表した調査でも購入時に重視した項目で「画面の大きさ」と「画面の綺麗さ」が端末を購入する際の重視する項目で上位にきており、今回のインタビューでも「画面の大きさや綺麗さ」は特に動画をよく見る発言したユーザーから重視されていた。
今年8月に発表した「2017年スマートフォンアプリコンテンツに関する定点調査(大手3キャリア編)」では2017年に無料通話/チャットなどのコミュニケーション以外のスマートフォンアプリでよく利用したアプリのジャンルで1位となったのは「動画(41.1%)」であった。
スマートフォンでの動画視聴増加の流れが端末の「画面の大きさや綺麗さ」のニーズへ繋がっていることがわかる。
ちなみに買い替えサイクルが早いと回答したGalaxy S8+ユーザーAさんにiPhone Xについて聞いたところ、「Galaxyを使っている人間からすると、やっと来たかという感じ。有機ELや全画面のディスプレイはもう備わっている。iPhone Xでできることは、今の端末で既にできるので、買い替えは検討しない」とのことだった。
すでに画面占有率が高いスマートフォンかつ有機ELを搭載しているGalaxy S8+ユーザーにはあまり響かない内容だったようだ。しかし、Aさんの現端末への画面の大きさや綺麗さへの満足度から、iPhone Xを今後持つユーザーの満足度も予測できる結果となった。
また、その他のAndroidユーザーでiPhone利用に興味を持つものの、Androidを持ち続ける理由として「テレビを見られるワンセグ・フルセグ機能」の存在が大きいようだ。
今回のグループインタビューに集まった端末ユーザーの端末選定基準は様々であったが、それぞれで自分の中での基準を持っており、それに基づき選んだ端末に概ね満足していた。
その中でも端末選定のトレンドとして、インタビュー調査でも明らかとなったのは動画視聴増加からくる「画面の大きさや綺麗さ」の需要増加。
大きな画面、そして端末を覆いつくすような狭額縁のディスプレイを実現しやすくする有機ELのトレンドは消費者の求めるもと一致し、今後のスマートフォンメーカーのトレンドになってくるのではないだろうか。
セノオ アキコ(セノオ アキコ)
MMD研究所 編集部員