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Vo.51 「軒先」が提供するスペースシェアから生まれる新たな出会いと価値

インタビュー

日付:2016/12/20

執筆者:妹尾 亜紀子

Vo.51 「軒先」が提供するスペースシェアから生まれる新たな出会いと価値

Vo.51 「軒先」が提供するスペースシェアから生まれる新たな出会いと価値

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近年ニュースで耳にすることが増えた「シェアリングエコノミー」。海外では拡がりを見せており、
日本でも多くのサービスが展開されている。今回はスペースシェア事業を展開している軒先株式会社の代表取締役 西浦明子氏に話を伺った。


----■御社の事業、具体的にはどのようなことをされているのか、教えていただけますか。



弊社は「軒先ビジネス」と「軒先パーキング」というスペースシェアの事業を展開しています。
通常の不動産流通市場では取引されないような種類の土地建物を対象にして、そこを短期で使う方と、場所の提供者をインターネット上でマッチングするサービスを運営しています。

利用シーン、ユーザーのプロフィール、利用目的で、二つサービスを設けているのですが、1日単位でお店を開くことができ、リアルにビジネスをしていただくことができるスペースを提供しているのが軒先ビジネスです。
軒先ビジネスのユーザーには使ってない土地建物などを提供してくださる方と、ちょっとしたスペースを使ってご商売する方がいらっしゃいます。
例えば、オフィス街ですと、キッチンカーでランチを販売しに来られる方が使われたりとか、商材はさまざまですが、催事販売する方や、企業による期間限定のポップアップショップやキャンペーンなどプロモーションで使っていただくというのを目的にしています。

欧米ではポップアップショップやポップアップストアみたいなことが割と浸透していて、日本でも期間限定でお店を開くっていうキャンペーンの仕方が、少しずつ浸透してきているのかなと。
イベントスペースって場所や規模にもよりますが、だいたい借りると1日100万~200万くらいするんですが、少し予算を抑えたいというご要望もたくさんありまして、そういうための場所を探して欲しいというご依頼が結構来るようになってきています。
今までは割と個人事業主さんとか、スモールビジネスの方が多かったのですが、最近は法人や代理店からも問い合わせがすごく増えてきています。



もう一つが、「軒先パーキング」といって、駐車場シェアサービスになります。
事前に予約ができるタイプの、駐車場シェアサービスです。軒先パーキングは、その名のとおり、駐車場として使っていただくサービスなんですけれども、事前に予約ができるタイプの駐車場ですので、コインパーキングのように機械を設置するわけではなくて、空いてるスペースをそのまま貸し出していただくモデルです。

コインパーキングですと、その場所へ行ってみないと空いてるかどうか分からないという課題がありますが、「軒先パーキング」ではお出掛けの前に事前に予約することができるので、必ず停められます。
あと、事前にサービス上で決済も行っております。お支払いも済ませている状態で、駐車場を使っていただくことができ、確実に停められるというところが利便性の一つです。

駐車場を提供するオーナーさんには、事前に「何月何日に何時から何時まで、トヨタのプリウスの何とかってナンバーの車の予約入りました」、という通知が都度行きます。なので、その日時にオーナーさんはそこの場所を空けておくだけでいいので、現場や対面で何かしたりしていただく必要は一切ないです。


軒先パーキングのユーザーは、車を所有していらっしゃる方がほとんどなので、年齢層が高く、30代後半~40代のファミリー層がすごく多いんです。
今、弊社のサービス自体が、ビジネスユーザーというよりは、週末にご家族でお出掛けになるときや、コンサートに行くときなど、意外とイベントごとの利用シーンを対象にしているので、割と年齢層が高かったりっていうのはありますね。

弊社の場合、イベントを追い掛けて駐車場を獲得しているってこともあるので、割と特定のイベントのファンの方がすごく増えたりっていうのはあります。

例えば、東京ドームでアイドルのコンサートがあるとします。電車で来場する方も多くいらっしゃいますが、車で来場される方もいらっしゃいます。そういった方が、軒先パーキングに会員登録し、東京ドーム付近の駐車場を事前に予約するということが結構あったりするんです。

コンサート、そのアーティストのファンの方、サッカーチームのファンの方、野球ファンの方などが定期的にコンサートに行ったり観戦しに行かれたりするので、そういう方々からのご登録が割と多いですね。

今年、川崎フロンターレさんと提携させていただいたりしたので、サッカーのファンの方も、いっぱい増えています。



----■スペース事業をしていて面白かった、やっていてよかったと思うエピソードがあれば教えてください。



そうですね。弊社の場合、場所を貸してくださる方も、使ってくださる方も、どちらも喜んでいただけるところが一番のやりがいかなと思っているところです。
特にオーナーさんは、弊社が扱っている場所は、本当に軒先みたいなちょっとしたスペースもあるので、普通は建物の中のお部屋の部分だったり、ちゃんと賃貸に出すような所で収益上げるんでしょうけど、そうじゃない所が実はすごく収益が上がったりとか、想定外の収益を上げられたようなオーナーさんから、すごく喜んでいただけます。何もしなかったらゼロ円だった所が、弊社のプラットフォームを使ってくださったことで収益がプラスになったっていうところは、すごく喜んでいただけます。

起業しようとしている人たちの後押しをしたいということが、軒先ビジネスをもともと始めたきっかけの一つなんです。例えば、お店を開こうとすると、保証金や内装工事費など何百万もかかります。最初のお店を開くときの経済的な負担って、すごく大きいんですよね。
弊社のサービスがあることで、起業がスムーズにいきましたと言われることが多く、ユーザーさんとかオーナーさんも両方ですけれども、そういったお言葉いただくのが一番うれしいですし、非常に印象には残ることですね。

----■軒先ビジネスを利用していた方でお店を持ちましたという方はいらっしゃいますか?



はい、いらっしゃいますね。リーマンショックが起きて会社を解雇された方が一念発起して、屋台の形式でベビーカステラを販売されていたんです。ご自宅の近くのコインランドリーの敷地を貸してくださってる場所があったんですけど、そこで定期的に出店されていて、ご商売が軌道に乗ったので、屋台の形式から移動販売車を購入されました。
車を買うといろんな所に出店できるじゃないですか。で、移動販売車に切り替えられて、車何台か持ってらっしゃって、今は都内の何カ所かでランチ販売をされています。


----■現在の取り組んでいること、また今後のビジョンを教えてください。



基本は、まだまだ今のサービスを広めていくっていうことに、軸足を置いてはいるんですけれども、軒先ビジネスのほうは、いろんなご商売される方、プロモーションやビジネスをされる方のインフラになりたいという気持ちが非常にあるので、やはり社会インフラとして認めていただくというのが一つのゴールですし、その場所を借りていただくだけではなくて、そこでその方のご商売が成功されるっていうことが最終的なゴールだなと思ってます。

その方が商売成功されるために集客の支援なのか、仕入れの支援なのかいろんなご支援が必要な場面が出てくると思うので、場所の提供だけじゃないところで、その方のプロモーション活動やビジネスが軌道に乗るようなお手伝いはもっと積極的にやってきたいなと思います。


パーキングのほうは、今のコインパーキング市場に新たに加わる市場だなと思っておりまして。特に今われわれが進めようとしているのは、観光地なんです。
11月半ばから首都大学東京の方と協力して、有名な観光地である高尾山周辺で問題になっている渋滞を解消できる策はないだろうかということで、社会実験の取り組みを始めました。
11月半ばから12月にかけては高尾山周辺は紅葉のシーズンで年間を通じて一番来訪者が多い時期なんです。
あの辺は、人もたくさん来るんですけれども、車もすごいたくさん来るんですよ。そうすると駐車場が不足して、大渋滞になってしまうんです。

週末になると、高尾山周辺にお住いの方が自宅の敷地を1日1000円で貸し出すことがあるんです。それを「民間駐車場」と呼んでいるのですが、車で来訪された方がその民間駐車場の看板見ようとして減速されたり、看板持ってらっしゃる方と会話しようとして減速することが渋滞の一因になっているというのを、首都大学東京の観光科学域の先生方がいろいろと研究されていているんです。そこを事前に予約制に切り替えていけば、渋滞緩和とか地域の住環境改善につながるんじゃないだろうかという仮説の下に、民間駐車場をされている所を軒先パーキングにご登録いただいて、事前予約にしていくっていうことをしているんです。そういった、地域の課題を解決するようなサービスにしていきたいと思っています。


----■駐車場シェアサービスに参入している企業が増えていますが、貴社の特化している点、これから強化してくところがあれば教えてください。



そうですね、最近はいろいろな企業が駐車場シェアサービスに参入されてきています。駐車場シェアサービスは認可が必要なわけでもないので参入障壁もそんなに高くはないという点から、参入しやすいのかなと思います。

強化していくという点では、いろいろ模索をしているところではありますが、駐車場の予約サービスやアプリって、たくさんあっても、使うのって1個か2個ですよね。なので、そういう意味ではラインアップ数を増やしていこうと思ってます。

これからのシーズンですと、年末年始、初詣、帰省などありますから、すごくニーズが高い季節になります。
あるシーズンだけにしか駐車場のニーズがないとなるとどうしてもコインパーキング設置しにくいと思うんですけど、弊社の場合、既存のコインパーキングだと成立しにくいような地域とか、需要のピークがすごくあるようなイベント事やエリアに特化していこうかなとは思っています。

日本全国の車の台数は7400万台と言われていて、人口に対しては車の在庫は際立っているとは思うんです。コインパーキングを使ったことがある人、車で出掛ける人、車を持ってらっしゃる方は、全員対象にしたいですし、一度は使っていただくようなサービスにしたいなと思います。
そのためにはある程度、駐車場の在庫数を持っていかないといけないと思っています。

コインパーキングの台数は700万台と言われていまして、業界トップのパーク24社の運営台数は約50万台です。同社のコインパーキングならドライバーの方が1回は使ってるかもしれないですけども、全てのドライバーの方に軒先パーキングを1回でも使ってもらうようになるのは、相当時間はかかるだろうなとは思うんですが、そのためには、認知していただくことも必要ですし、駐車場の拠点数を増やすことも、大事だと思っています。

弊社はシェアリングエコノミー協会に加入しているのですが、先日、シェアリングエコノミー協会が主催する、シェア経済サミットに参加してきたのですが、当たり前のように皆さんが、ホテルの代わりに民家に泊まったりとか、コインパーキングの代わりに人の民間の駐車場を使うようになるようなことが根差していくと、多分、シェアリングエコノミーって言葉自体も、風化していくんじゃないかっていう話が、すごく出ていたんですね。

やはり、まだまだ見えない壁というか、心理的な壁があるんだろうなと思いまして、その壁がなにか分からないけど心配という気持ちが、ユーザーさんにはあると思うんですよね。なんとなく個人間でやるのは不安、とか、そういうところだと思うので、そこをシェアリングエコノミー協会のような協会が1本間に入って、提供しているサービス事業者さんの質をコントロールするための、ガイドラインなりルールを作っていただくとか。
このサービス自体がどんどん根差していってもらうことで、生活のスタイルも変わっていくでしょうし、われわれのサービスも、本当に当たり前のサービスになっていくかなと思うんですけれども。

あとは、個人の認証をどうするのかとか、何かあったときのための保険などできることはまだまだあると思っています。いろんな仕組みを使って、シェアリングサービス自体の信頼、信用度を高めるっていうことを取り組んでいきたいと思います。ただ、1社単独ではやれることが限られてしまうので、シェアリングエコノミー協会に限らず、シェアリング事業をやってらっしゃる皆さんがそういう意識を持ちながら、業界全体の信頼度のアップが図れると、また違うだろうと思っています。

シェアリングサービス全般的に、今はアーリーアダプターの方が使ってるっていうところが多いと思うので、普通の方が普通に使うようなサービスにならないと、普及したとまでは言い切れないと思っています。まずは使ってもらうきっかけを作ることが大きな一歩だと思っています。

編集後記:インターネットの普及で日常生活やコミュニケーションに変化が生まれた。シェアサービスはその変化の最たるものだ。SNSを通じて誰とでも気軽に繋がる世の中になったことで、情報・もの・人・スキル・スペースなど様々なシェアが可能になった。
所有している資産をシェアすることで、新たに生まれる価値がある。金銭的な価値以外にも、「新しい出会い」や「デットスペースの活用」などそれぞれの人にとって様々な価値が考えられるのではないだろうか。
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この記事の執筆者

妹尾 亜紀子(セノオ アキコ)

妹尾 亜紀子(セノオ アキコ)

MMD研究所 編集部員

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