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コラム

2023年8月31日

海外で広がるスーパーアプリ 日本での需要と今後

目次

■ 日本におけるスーパーアプリの認知度
■ 海外で広がるスーパーアプリ化
■ ユーザーの需要とは

 

日本におけるスーパーアプリの認知度

先日実施した「スーパーアプリに関する調査」では、スーパーアプリという言葉とその内容の認知度は2割程度という結果となりました。

調査では、スーパーアプリについて「ひとつのアプリ内で様々なジャンルの機能(SNS、スマホ決済、EC、保険の申し込み、公共料金の支払い、投資やローン申請、フードデリバリー、シェアカーやシェアサイクルの利用、タクシーやその他交通予約など)を利用できる、新興国を中心に普及しているサービス」といった説明と共に、認知と利用意向をあわせて聴取しています。
利用意向については、内容について知っている人の14.5%、知らなかった人の27.6%が利用したいと回答しました。

現在、決済系サービスを中心にアプリ内の多機能化が進んでいます。しかし、日本においてスーパーアプリとして確立されているサービスはまだないため、設問では「PayPayやLINEなどがそれに近しいものである」という説明も加えていましたが、「スーパーアプリ」という言葉自体、あまりなじみのない人が多いのではないでしょうか。

今回のコラムでは、今後日本ではスーパーアプリがどのように展開していくのか、現在の需要も踏まえて考察していきます。

 

海外で広がるスーパーアプリ化

現在スーパーアプリの普及が進んでいるのは新興国が中心です。

WeChat(中国)
WeChatは中国を代表するメッセンジャーアプリです。中国ではクレジットカードやATMが発達しておらず、さらに偽札の横行といった社会問題も加わり、キャッシュレス決済の普及スピードが速まったと言われています。特にQRコード決済の利用率が高く、WeChatには決済機能が追加されたことで、スーパーアプリ化が加速しました。アプリ内では中国のモバイル決済においてAlipayとともに2大サービスとなっているWeChatPayをはじめ、配車、店の予約、チケット予約、ゲームなどのサービスが提供されています※。

Grab(シンガポール)
Grabは、配車サービスを軸にフードデリバリーや宅配サービス、金融サービスなど展開しています。シンガポールだけではなく、インドネシア、フィリピン、ベトナム、タイ、マレーシアなどの8か国に事業を展開しており、ダウンロード数はASEANの総人口の約1/3を占めるともいわれています※。日本からはSoftBankも出資しています。

Gojek(インドネシア)
Gojekはインドネシアで主流のバイクタクシーの配車プラットフォームとしてスタートしたサービスです。現在はタクシーなどの配車、フードデリバリーや荷物配送、電子決済、チケット購入など、マルチサービスプラットフォームとして国民的アプリの地位を確立しています。

※参考:総務省「新興国で急速に普及するデジタル技術の現状に関する調査調査研究の請負 調査報告資料」

対して日本では、PayPayが2019年の1周年記念記者発表会にて、決済機能以外のサービスも拡充しスーパーアプリ化を目指すと発表しました。また、NTTドコモやauなどもキャッシュレス決済サービスを軸に、機能を追加することで日常生活に欠かせない完結型アプリを目指しています。国内では決済・金融サービスが中心となって、いわゆるスーパーアプリ化を狙っており、今後もこの流れは続いていくと考えられます。

海外と日本を比較すると、口座保有率や、配車サービスが主流といった文化的背景の違いから、スーパーアプリ化を目指すサービスや発展の仕方も異なることがわかります。

 

ユーザーの需要とは

日本でのスーパーアプリ化を目指すサービスとしてはキャッシュレス決済を軸にしたものが主になっていますが、ユーザーが求めるものとは一体何なのでしょうか?

先日の調査では、スーパーアプリについて認知の有無に関わらず利用意向があると回答した人を対象に、利用したい機能と利用したい理由について聞いています。

利用したい機能では「ポイント管理・運用」「クーポン」「店頭・オンラインでのキャッシュレス決済」が上位3項目となり、利用したい理由では、「ポイントを貯めやすいと思う」がトップとなりました。日本のユーザーからは、ポイ活や決済に関連したサービスが支持されていることがわかります。

調査ではさらに、現在普段利用しているアプリについても聞いており、毎日~月1回までの頻度ごとに見ても、「ポイント管理・運用」「キャッシュレス決済」「クーポン」はそれぞれ上位に挙がっています。ここからも、国内の経済圏に対する意識の高さが伺えます。

今後国内のスーパーアプリ市場にとって、1つのアプリ内であらゆるサービスを利用できるというスーパーアプリならではの利便性に加えユーザーへのポイント優遇など、経済圏を意識した層への訴求が、展開のカギとなるのではないでしょうか。

 

MMD研究所では引き続き新しいサービスやアプリにも注目して調査を行っていきます。ぜひ今後のリリースも楽しみにお待ちください。
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