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コラム

2023年8月18日

MMD研究所主催オンラインセミナーレポート
「顧客ロイヤルティ向上のためのデータ分析アプローチ ~スマートウォッチ調査の事例紹介~」

2023年7月28日、MMD研究所主催のオンラインセミナー「顧客ロイヤルティ向上のためのデータ分析アプローチ ~スマートウォッチ調査の事例紹介~」を開催しました。こちらでは、弊社が提供する「顧客分析プログラム」において、顧客ロイヤルティを向上させるための分析を、調査事例を用いてお伝えしています。リサーチャーやマーケティングを担当される方へ向けたセミナーです。

今回はゲストとして、顧客のサービス選択行動に関する分析法の研究をされている千葉工業大学 教授 西松氏にご登壇いただきました。弊社からは、リサーチャーの森が登壇いたしました。

本記事ではセミナーの内容をご紹介いたします。

登壇者

  • 西松 研(千葉工業大学 社会システム科学部 経営情報科学科 教授)

現職は、千葉工業大学社会システム科学部経営情報科学科教授。顧客のサービス選択行動に関する分析法の研究を中心に、選択行動の変化が市場や社会に与える影響評価、及び、戦略策定支援に活用するための研究を行っている。
現職の前は、通信サービスを提供する会社で、顧客のサービス選択行動分析や ネットワーク運用自動化に関する研究開発、及び、ネットワーク保全業務等に従事。
 

  • 森 春香MMDLabo株式会社 コンサルティング部)

定量調査・定性調査の企画から実査、レポーティングまでを一貫して担当。
通信事業者、動画配信事業者、音楽サブスクリプションサービス事業者などで経験あり。

目次

■ 顧客分析プログラムのご紹介
■ 実際の調査分析結果
■ 西松氏による分析 利用動向に関して
■ データについての質疑応答
■ リサーチャーからのコメント

 

顧客分析プログラムのご紹介

まずは森から、今回の題材となる「顧客分析プログラム」について、ご紹介いたしました。

サービスの成長には「既存顧客のLTV向上」と「新規顧客の獲得」が欠かせません。こちらには、ターゲットとする顧客の理解が重要なポイントとなってきます。弊社では、いわゆる現顧客のロイヤルティ向上を目的とした「顧客分析プログラム」をご用意しています。未顧客を理解するためのお取り組みである「未顧客分析プログラム」も現在開発中です。

弊社に寄せられるご相談として多いのが「顧客のことがわからない」というものです。
施策を行っても思っていたような成果がでない、獲得した顧客が離脱してしまう、満足度が上がらないといったお悩みの解決策となるのが、顧客の分析と理解です。

顧客分析プログラムでは、クライアントの自社サービスにおける顧客データ(会員情報、行動履歴)とアンケートを組み合わせて分析を行うことで、「サービス側の価値」と「ユーザー側が求めるベネフィット」のギャップを明らかにすることができます。その分析を元にした顧客へのインタビューもあわせて行い、継続促進、満足度向上、退会防止などの改善策を導き出すプログラムとなっております。

プログラムでは、調査目的に沿った分析を行うため

  • 利用までのハードルを知る
  • 口コミで顧客を増やす
  • 顧客に魅力が伝わっているのか知る
  • 顧客の離脱を防ぐ

という4つのテンプレートをもとに、クライアントに合わせてカスタマイズした上で調査を実施させていただきます。

調査実施後にはデータを用いて達成目的に応じたクラスター分析を行い、行動面(購入頻度や利用期間など)と心理面(満足度や推奨意向など)のような2つの軸で分類することでロイヤルカスタマーを定義します。分析軸はクライアントのご状況を詳細にヒアリングした上で、最適なものをご提案しています。分析によって整理したカスタマー属性で、聴取したデータをそれぞれクロス集計することで、自社のサービスにおけるロイヤルカスタマーとはどんな顧客なのか、ロイヤルティごとの差分から探っていきます。

 

実際の調査分析結果

ここからは弊社が今年1月~3月にかけて行った「2023年Apple Watchの利用実態に関する調査」※を用いて、顧客分析の具体例をご説明いたしました。
※弊社の自主調査であり、Apple社からの委託調査ではございません。

今回の調査はApple WatchがiPhoneに比べ継続利用率が低いことに着目し、「顧客分析プログラム」における「顧客の離脱を防ぐ」というテンプレートを使用しています。

定量調査結果


その他、設問ごとにセグメント別のクロス集計したデータにより、詳細な差異も見ることができます。今回は下記データをご紹介しました。

  • Apple Watch利用前に期待していたこと
  • メインで利用しているApple Watchで使っている機能
  • メインで利用しているApple Watch購入時に行った情報収集

※定量調査のレポートについてはこちらのコラムでもご紹介しています。
Apple Watchのアンケート調査 ~顧客分析プログラムの事例紹介~

定性調査結果

調査結果の最後には、定量・定性調査の結果からわかる「ロイヤルティが下がる要因」を結論として提示しました。実際のお取り組みでは、今後の施策へのご提案も併せて行います。

※定性調査のレポートについてはこちらのコラムでもご紹介しています。
Apple Watchのインタビュー調査~顧客分析プログラムの事例紹介~

 

 西松氏による分析 利用動向に関して

西松氏からは、同じく「2023年Apple Watchの利用実態に関する調査」を利用動向という観点で分析していただきました。

Apple Watchというウェアラブル端末の特性から、利用頻度の高いユーザーほど価値や利便性を感じているのではないかという仮説のもと、ユーザーを毎日利用、週2~3日利用、週1日以下利用の3つのセグメントに分けました。今回はセグメント間の違いを満足度や各機能の利用状況、今後の利用意向、利用機種に関するデータをもとに見ています。

 

データについての質疑応答

西松氏のデータレビューの中では、森からの質問にもご回答いただきました。

「セグメント別で見たApple Watchの総合満足度」に関して

森:利用頻度と総合満足度が比例していますが、利用頻度が高いから満足度が高いのか?満足度が高いから利用頻度が高いのか?というところが気になります。Apple社へ満足度を上げるためには何が必要かを提案するとしたら、西松教授としての仮説はありますでしょうか?

西松氏:Apple Watchの場合、使ってもらわないと満足するかどうかもわからないと思います。まずは使ってもらうきっかけがあることが前提とはなりますが、満足度が高いことが毎日の利用につながっているのではないでしょうか。

満足度を上げるためには、ロイヤルティの高いユーザーに対する理解を深め、そうでないユーザーとの差がどこにあるかを考えることが重要だと思います。今回の例でいくと、利用頻度の高いユーザーに対する理解をより深めていくことが手掛かりの一つになると考えられます。

「セグメント別で見た各機能の利用状況」に関して

森:毎日利用でも、多くて50%程度の機能利用率となっていますが、他の商材だとそれ以上になることがあると思います(例えばスマートフォンならメールなどほぼ100%使う機能がある)。Apple Watchだとなぜこのような結果になるのでしょうか?

西松氏:森さんのレビューにもありましたが、Apple WatchはiPhoneと組み合わせることでより価値が生まれる端末だという部分が大きく関係しているのではないでしょうか。人によって価値を感じて拡張したいと思う機能はそれぞれなので、このような結果になったと考えられます。

森:他にも同じような結果になる商材はあるのでしょうか?

西松氏:モノを売るときには特定の価値を訴求することが多いので、同じような結果になることはあまりないと思います。例えばホテルなどのサービス業では、使う人によって宿泊や食事やイベント利用など用途はそれぞれなのでApple Watchに近いものはあるかもしれないですね。

 

リサーチャーからのコメント

今回はリサーチャーやマーケティング担当者様向けセミナーでしたので、調査の内容に深く踏み込んだ内容とさせていただきました。調査内容や分析方法はクライアント様によってカスタマイズしてまいりますが、弊社で行っている調査の全体像をご理解いただけていたら幸いです。

顧客分析プログラムは、多様な商品やサービスに対して有効な調査メニューとなっており、弊社でも事例が多くございます。もしご興味ございましたら、気軽な相談の形でもお問い合わせいただけますと嬉しく思います。

 

【編集後記】

セミナーでお伝えした内容を、実際の調査分析結果レポートも交えてご紹介いたしました。調査を依頼するとどのようなデータを得られるのか、参考にしていただけたらと思います。顧客分析をテーマとしたセミナーは今後も随時開催予定ですので、ぜひご参加ください。

MMDLaboでは、調査が初めてというお客様から定期的に調査を行われているお客様まで、様々な調査のご依頼をいただいております。
調査を行うに至った背景やお悩みをヒアリングし、お客様の課題やご予算に沿った調査手法、内容をご提案させていただきますので、調査のご相談、ご依頼がございましたら下記お問い合わせフォームよりご連絡ください。「こんなことが知りたい」「こんなデータは無いか」などといったご質問やご要望もお気軽にお寄せください。

本セミナーにご参加いただいた皆様に、この場を借りて心より御礼申し上げます。

上記のリサーチに関するご質問等は、お問い合わせフォームよりご連絡ください。

≪本調査レポートのご利用について≫
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