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コラム

2023年8月9日

Apple Watchのインタビュー調査~顧客分析プログラムの事例紹介~

目次

■ はじめに
■ カスタマージャーニーによる顧客比較
■ ロイヤルカスタマーとの違い
■ ロイヤルティが下がる要因
■ おわりに

 

はじめに

昨今、顧客起点でのマーケティングが重視されるようになり、特にインタビューによる顧客理解を検討する機会も増えてきたのではないでしょうか。インタビュー調査では、定量調査でのマス的な思考では得られない、顧客の心理やニーズに気づくことができます。

ただ、インタビュー調査のご経験がない方には、どのようなアウトプットが得られるのかを疑問に思う方もいらっしゃると思います。

今回は「2023年Apple Watchの利用実態に関する調査」※をもとに定性調査のアウトプットをご紹介します。定量調査のアウトプット(報告書)についてもご紹介しておりますので、ご興味がある方はこちらをご覧ください。
※弊社の自主調査であり、Apple社からの委託調査ではございません。

■ 使用する事例

「2023年Apple Watchの利用実態に関する調査」
インタビュー時期:2023年2月~3月
インタビュー方法:オフライン(3名)、オンライン(1名 Zoomを使用)/60分のデプスインタビュー
インタビュー対象者:Apple Watch利用者(1年以上利用)4名
※対象者4名は、現在利用のApple Watchに対する「満足度」「継続利用意向」「利用頻度」の違いも踏まえて選定。

※「2023年Apple Watchの利用実態に関する調査」について 
現在、「2023年Apple Watchの利用実態に関する調査」のレポートを販売しております。
本レポートは定量調査に加え、定性調査の結果からも分析を行ったものです。
定量調査にて、最も豊富な製品ラインナップを持つApple Watchの利用実態を明らかにし、今後のスマートウォッチ市場を伸ばしていくために必要な機能や価値を分析しています。加えて、現在利用者に対するインタビューにより、利用の背景や理由、活用方法、生活の変化について掘り下げています。
ご興味のある方は、以下より一部内容をダウンロードできますので、ぜひご覧ください。

 

カスタマージャーニーによる顧客比較

※画像をクリックすると拡大画像が表示されます 

本調査の目的は「ロイヤルティが高い顧客と低い顧客の違いから、顧客のロイヤル化に必要な要素を抽出する」でした。
カスタマージャーニーでは、それぞれの顧客が時系列でどのような経験をしたのかを比較していきます。今回はジャーニーを下記のように区切り、分析しております。

  • スマートウォッチ利用経験はあるか、あるとすればどのような経験か
  • 情報収集媒体やその際のApple Watchの認識
  • Apple Watchを購入する前にどのような検討をしたか
  • Apple Watchを利用した感想、その理由
  • Apple Watchの継続意向、その理由

画像を見ていただくと、ロイヤルティの高い顧客も低い顧客もApple Watchの利用開始前に「スマートウォッチの利用経験はなく、Apple製品に一定の信頼を置いている」という状態でした。しかし、継続意向は「携帯と同じくらい大事」と「なくても良い」と意見が分かれていました。
ロイヤルティが分かれる要因としては、顧客の属性・価値観によるものや、その商品・サービスによる顧客体験、そこから得られたメリットなどによる違いが考えられます。Apple Watchではどこに違いがあったのでしょうか。

 

ロイヤルカスタマーとの違い

※画像をクリックすると拡大画像が表示されます 

こちらのページでは、ロイヤルティが高い顧客と低い顧客の違いを4項目で記載しております。

ロイヤルティの高い顧客でもすべての機能を使いこなしているわけではないですが、Apple Watchの通知機能により仕事でのペインを解決できており、現状で「十分満足している」という評価になっています。仕事柄時計のイメージを重視していることや交通系ICの利用が習慣化していることからも、日々の生活に不可欠なものとして認識しているようです。

一方で、ロイヤルティが低い顧客は、交通系ICやQUICPayなどを満足に使えていないという点がロイヤルティが下がる大きな要因となっていました。利用できるよう設定はしているものの、改札などでの反応が鈍く、不便に感じるようです。また、使用開始前に「Apple Watchさえあればスマートフォンがいらなくなるイメージ」とロイヤルティが高い顧客とは前提となる認識が異なっていた点も大きな特徴として挙げられます。

では、これを受けて、Apple社には今後どのような対応が求められるのでしょうか。

 

ロイヤルティが下がる要因

※画像をクリックすると拡大画像が表示されます 

こちらのレポート(報告書)では、ロイヤルティが下がる要因は「Apple Watchを使いこなせないこと」、「Apple Watchの位置づけを正しく理解されていないこと」の2点だと結論付けています。

まず、本調査の対象者は合計4名でしたが、その全員が「Apple Watchを使いこなせていない」と発言しています。利用機能を増やす試みはしたものの、利用時にうまく作動しないなど、利用開始前に想定していたほど満足に利用できる機能が少ないことをネガティブに捉えていました。
また、通知機能や決済機能など、どれも対象者がお持ちのiPhoneで代替可能なため、ロイヤルティが低い層にはわざわざApple Watchを使う動機になり得ていないようです。iPhoneは直感的に使えるというイメージがあるため、Apple Watchにも無意識にそれを求めているのかもしれません。今後は一層のUIUXの改善が求められます。

Apple Watch位置づけの違いについては、Apple社と顧客とのコミュニケーションの課題が見て取れます。
Apple Watchに限らず、他社の商品やサービスでも、開発者が認識している商品・サービスのメリットを顧客が正しく理解していないという課題はよく起こります。広告などでの訴求方法に課題がある状態です。特に、その商品・サービスが新しい概念を発信しているほど、その誤解は生じやすくなります。

今回、ロイヤルティの低い顧客は「Apple Watchさえあればスマートフォンがいらなくなる」と認識していましたが、実際利用して見るとそれは達成されなかったようです。”iPhoneを代替する”イメージが企業からの発信なのか、ユーザー同士の発信でついてしまったイメージなのかは分かりかねますが、このような要因も顧客ロイヤルティを下げる大きな要因となってしまいます。
情報を正しく伝え、利用開始前に的外れな期待をさせず、利用開始前後でネガティブなギャップを生まないことが今後ブランドの成長には不可欠と言えます。

 

おわりに

今回は「Apple Watchの利用実態に関する調査」をもとに、インタビュー調査の報告書についてご紹介させていただきました。インタビュー調査は顧客のニーズを発見できる調査です。顧客は開発者が想像していなかったような使い方をされていたり、認識の不一致があったりと、実際の顧客の声を聴いて発見できることが多くあると思います。MMDLaboでは、調査結果をもとに具体的な打ち手の提案までをアウトプットさせていただいております。

MMDLaboでは、調査が初めてというお客様から定期的に調査を行われているお客様まで、様々なお客様より調査のご依頼をいただいております。
調査を行うに至った背景やお悩みをヒアリングし、お客様の課題やご予算に沿った調査手法、内容をご提案させていただきますので、調査のご相談、ご依頼がございましたらお気軽に下記お問い合わせフォームよりご連絡ください。

※PDF資料では、「2023年Apple Watchの利用実態に関する調査」のデータをご紹介しております。下の「データをダウンロードする」ボタンから、ぜひご覧ください。

調査概要や調査項目が分かる資料を
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下記よりダウンロードください。

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