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コラム

2019年2月20日

子育て世代(30-40代)の母親の育児をIoTで支えるために必要なことは?

◆子育て世代(30-40代)の母親の育児をIoTで支えるために必要なことは?


前回のコラムでは、IoTという言葉にはモノだけではなく"コト"が重要であるという話をした。やりたい"コト"には「場所」というキーワードがあり「不安」をIoTによって解消したいニーズがあった。そのニーズは"自分以外に守るべき対象"と"自分の時間を自由に使えなくなる不満"の2つの環境を持つことでより高まることが分かった。
今回は子育て世代(30代~40代)の母親がIoTに求めるコトをより掘り下げていきたいと思う。なお、本コラムで言う子どもは小学生以下を対象とする。

厚生労働省の発表によると、平成23年度には1、2歳児の保育利用率は31%だったが、平成30年度には47%と16ポイント上がり、待機児童問題がニュースになっている。子どもを持つ親が育児に対してIoTに求めていることは何なのか、調査結果からみていこう。

IoTで育児や子育てに取り入れたいのはどんなことか質問すると、子どもの居場所の確認や病院予約、健康状態の確認で時間や場所の制約がある働き盛りならではの"コト"のニーズが高いことが分かる。

特に男女別にみた場合、「子どもの居場所確認」と「子どもの病院の予約」で女性のニーズが特に高いことがわかった。

また、働きに出る母親と専業主婦ではこの2つの項目でハッキリ差が出ている。働く母は子どもの病院の予約が、専業主婦は子どもの居場所確認がともに高く6割を超えている。


まず働く母の「病院の予約」は64.7%も生活に取り入れたいと回答している。土日祝日を休日としている会社員の場合は平日に病院に行くのは難しく、土日に行くしかない。そうなると、かなりの混雑も予想される。企業側で休めるようにするなど配慮が必要な部分かもしれないが、休めない環境もあるだろう。仮に平日に行こうとしても、予約ができなくては待つしかなく、スケジュールが組めずに途方に暮れるケースもあるのではないだろうか。

一方で専業主婦は「子どもの居場所確認」が62.1%となっている。子どもが学校や塾、遊びに行って自宅から目の届かない場所にいる時に不安が高まるのだろう。子どもの安全を守りたい、そんな母の思いが伝わってきた。最も需要の高かった「子どもの居場所確認」には、見守り用のキッズ携帯なども販売されているが、普及が進んでいるのはそんな背景があるのかもしれない。

育児や子育てに関して具体的にIoTでやりたいことについて働く母と専業主婦別にみてみると、やはり違いが出た。
働く母は「別室から遠隔の声かけ」や「勉強の進捗具合や勉強方法のレコメンド」、専業主婦は「健康状態のチェックやアドバイス」や「塾への到着や帰宅の通知」となった。
日中に子供と一緒にいられるかどうかの違いが数値にも表れたのではないだろうか。

さて、ここまで見てきたとおり、親は子どもの安全確認を非常に気にかけていることがわかった。健康や病院に関することをIoTで実現させたいというニーズも高い。

その多くは家庭や個人でITデバイスを取り入れることにより改善できそうだが、ITデバイスで働く母の負担や悩みのすべてを解決できるわけではないだろう。
そもそも学校や幼稚園・保育園などは公立・私立による違いはもちろん、地域や教育委員会によって考え方が統一されていないことも多い。子供の置かれる環境によって、ITデバイスの取り入れ状況は大きく異なる。共働き家庭では育児に対する企業のバックアップの差もあるはずだ。

自分たちの家庭で育児のためにIoTを取り入れても、それだけで全てをまかなえるわけはない。親がITによる育児の支えを望んでも、知識不足や周囲の無理解などの環境的な要因から、諦めざるを得ないこともあるだろう。

共働き家庭が増えて仕事と育児を両立しなければならなくなったことにより、親個人の時間も育児の時間も余裕がなくなってきている。昔は近所の声かけなどで上手くいっていたのかもしれない。しかし核家族化が進み、近所付き合いも希薄になっている昨今、人手の足りなさをIoTで補っていく必要が出てきているのではないだろうか。
IoTで育児を支えるためには、環境の統一が必要だ。国や企業は、一丸となって環境整備に努めていかなくてはいけないだろう。

今回は子育て世代(30代~40代)の母親のIoTニーズをピックアップしたが、次回は30代~40代の「自身の健康管理」を通じて「高齢の親の介護」の課題に迫る。子育てを通じて自身の健康管理を意識し、その健康管理から離れた場所で暮らす親の介護も育児と同じく"自分以外に守るべき対象"と"自分の時間を自由に使えなくなる不満"の共通した環境課題と言えるからだ。日本の少子高齢化は加速の一途をたどり、高齢者が増加する一方で介護の担い手が不足する深刻な問題が浮き彫りになってきている。ITデバイスは介護に悩む人々を救うことはできるのだろうか?


◆コラム連載と本コラムで利用した調査

第一回目コラム:IoTは30-40代の働き盛りの時間や行動制約を改善するソリューションとなる
第二回目コラム:子育て世代(30-40代)の母親の育児をIoTで支えるために必要なことは?
第三回目コラム:自分の健康と高齢の親が気になり始める30-40代がIoTに求めていることは?
利用調査:「モノ・コト」インターネットがもたらすライフスタイルの変化 日本におけるIoT意識調査

◆マカフィー株式会社による本調査コラム

「私」と「家族」のネットワーク最新事情

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