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コラム

2022年6月20日

中古スマホの現状と課題

目次

■ 端末の高騰による中古スマホの広がり
■ 中古スマホにひそむリスクと課題
■ 中古スマホの今後

 

端末の高騰による中古スマホの広がり

2022年5月27日に発表された総務省の令和3年通信利用動向調査によると、スマートフォンの世帯の保有割合は88.6%と全世帯に広がっています。

2008年にSoftBankがiPhoneの取り扱いを開始し、翌年Android搭載のスマートフォンが発売され、スマートフォン所有者は増えてきました。
近年、端末の機能・性能が成熟し、ハイスペック端末の価格が高騰しているため、中古スマホへの関心が高まっています。
また昨今の大幅な円安の影響で、新型スマートフォンの価格が高騰することを不安視して、今後さらに中古スマホの需要が増えることが予測されます。(出典:総務省「令和3年通信利用動向調査」)

MMD研究所では2022年4月21日~4月24日の期間で「2022年中古スマホに関する調査」を実施しました。その結果を一部ご紹介しながら中古スマホの現状について見ていきます。

まず、スマートフォンを所有する18歳~69歳の男女10,000人を対象に、現在利用しているメイン端末の購入・入手方法を聞いたところ、「新品のスマートフォン」が84.5%と最も多く、次いで「中古スマホ(修理・整備品も含む)」が11.6%となりました。2020年の中古スマホ所有率は6.1%だったため、約2倍増えていることがわかりました。

続いて、中古スマホ所有者500人を対象に、中古スマホ(修理・整備も含む)を購入した店舗/サービスサイトを聞いたところ、「キャリアのオンラインサイト(認定リユース品)」が13.6%と最も多い結果となりました。

通信キャリアの参入により中古スマホ市場が広がりつつあります。
2022年4月にはNTTドコモが認定リユース端末(中古スマホ)の取り扱いを始め、大手3キャリアが揃い踏みしました。

中古スマホのニーズが高まった背景にはいくつかの要因が挙げられます。

まず1つ目は、スマートフォン端末の高機能化、高性能化に端を発する価格の高騰。
2つ目は、携帯電話の通信料金とスマートフォンの端末代金の分離が義務化されたことにより、「端末購入を条件に通信料金の値引きすること」「一定期間の契約を条件に端末代金を割引すること」が禁止され、端末の大幅な価格値引きが抑えられたこと。
そして3つ目は、2021年10月以降「SIMロック」が原則禁止になったことで、中古スマホの買い取り・販売がスムーズになったこと。

上記のような要因により、中古スマホ市場が一気に活発化しました。

 

中古スマホにひそむリスクと課題

中古スマホ市場は拡大しているものの、中古スマホに潜むリスクをきちんと把握せずに個人間で販売・購入をしているケースが増えています。
一部のスマートフォン端末に搭載されているおサイフケータイの情報は、利用者自身で端末の初期化作業を行っても完全に消せません。

以前利用していた携帯電話・スマートフォンの処分方法で「自宅保管」の次に多かったのは、「キャリア下取り」そして「携帯電話買い取り店へ売却」でした。

ただ、「オークションサイトやフリマアプリで売却した」のは1.8%、購入割合に関しては、「ヤフオク!」が4.8%、「メルカリ」が3.2%、「楽天ラクマ」が2.4%とオークションサイト、フリマアプリでの売買経験がある方が一定数いることが今回の調査でも分かっています。

キャリアや中古端末買い取り・販売店に関しては、個人データを完全に削除するツールを使用しているためスマートフォンが第3者の手に渡った際もデータを復元するのは難易度が高いと言われています。
しかし、個人間で取引する場合には注意が必要です。端末上で初期化やデータの削除をしただけでは、端末内部にデータが残ったままの状態になり、第三者が専用ツールを使って簡単にデータの復元ができてしまいます。

データが復元されるというリスク以外にも個人間での端末のやり取りには注意が必要です。
おサイフケータイ対応端末に搭載されている「FeliCaチップ(ICカード)」の情報は利用者自身では初期化できないのです。自身が利用している通信キャリアの店舗へ行って専用機器で初期化する必要があります。初期化せずに、家族や友人へ譲ったり、フリマアプリやオークションサイトで販売したりすると、次の利用者はおサイフケータイを利用できない、ということになってしまうのです。

個人情報の漏えいが気になるのであれば、データ消去のソフトを導入している買い取り・販売店に預ける、キャリアに下取りしてもらう、もしくはキャリアに赴いて専用機器でデータを初期化してもらうことが必要です。

フリマアプリの普及により中古スマホ売買に対するハードルは低くなりました。しかし、そのような状況だからこそ、消費者はスマートフォン端末内に個人情報を残したまま売買してしまうリスクを知り、どのような手段で個人情報を消去すればいいかについての知識をつける必要があります。

 

中古スマホの今後

2008年以降、スマートフォンが普及し、私たちの生活必需品といっても過言ではないでしょうか。

そんなスマートフォンですが、円安の影響やスペックの向上による端末価格高騰により、新品の最新端末に変えることへのハードルは今後より高くなり、中古スマホを検討する消費者は増えてくるのではないでしょうか。
それに加え、「SIMロック」の原則禁止やキャリアからのオンライン専用プランの提供などにより、SIMと端末を別で契約する消費者が増えてくると、ますます中古スマホのニーズは高まってくることが考えられます。

消費者がスマートフォン端末に残る個人情報の取り扱いに無知のままでは、不健全な市場が形成されてしまいます。
スマートフォン端末を手放す際の正しい取り扱い方法を企業は消費者に伝えていくことで、健全な中古スマホ市場の拡大に繋がっていくと考えています。

弊社では、スマートフォン所有率、OSシェアなど引き続き定点で行っていきます。調査データへのお問い合わせなどございましたら、下記お問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。

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