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シニアに響く携帯電話とは? ~データから見える二極化構造~

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日付:2015/7/9

執筆者:佐々木 怜

シニアに響く携帯電話とは? ~データから見える二極化構造~

シニアに響く携帯電話とは? ~データから見える二極化構造~

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スマートフォンへの買い替えが一巡したという見方が強まる中、携帯電話各社が注目しているのがシニア世代の携帯電話の買い替えです。今回、MMD研究所ではシニア世代の携帯電話に関する利用動向調査を行いました。データから見える「シニアに響く携帯電話」について考えていきたいと思います。

まず、スマートフォンとフィーチャーフォンの比率を見てみましょう。



2014年9月に行った「2014年シニア層のスマートフォンに関する調査」と比較すると、わずか0.2ポイントの増加にとどまります。フィーチャーフォンを利用している人の使用年数を見てみると、ここ1年で購入した人は1割にも満たず、4年以上使用している人が6割近くを占めています。



また、フィーチャーフォンで使う機能について聞いてみると、電話・メール・写真撮影以外の機能については、いずれも1割以下の利用率であり、今後もフィーチャーフォンを使い続ける理由について聞いてみると、やはり「操作が簡単」「月額料金が安い」「折りたためる(コンパクト)」という理由が上位を占めます。そこには、フィーチャーフォンを利用し続けるシニア世代の「必要十分」というメッセージが読み取れます。




ただ、デジタル機器に全く興味がないかというと、そういうわけではありません。
フィーチャーフォンを持つシニアにパソコンの利用状況について聞いてみると、インターネット検索やネットショッピング、サービス申し込みをパソコンで行っているのです。つまり、携帯電話は「連絡手段」としてのツールで、他のデジタル機器と明確に使い分けをしている実態が浮かび上がります。



したがって、携帯電話に多くを求めていないシニア層にそのまま最新のスマートフォンを売り込んでも、当然ながら刺さりません。では、どんな携帯電話がシニアの目にとまるのでしょうか。筆者が注目しているのは、2つのキーワードです。
一つは、2015年2月にauから発売されて注目を集めた「ガラホ」です。

左からAQUOS K SHF32(au),AQUOS ケータイ SH-06G(docomo),ARROWS ケータイ F-05G(docomo)



OSこそAndroidですが、使い勝手・料金プランともに、従来型フィーチャーフォンに近い設定になっていて、フィーチャーフォンを使い続ける理由としてあげていた、「操作が簡単」「月額料金が安い」「折りたためる(コンパクト)」の3つの要件を全て満たす魅力的な端末と言えます。現在夏の新モデルとしてdocomoからは「AQUOSケータイ SH-06G」と「ARROWSケータイ F-05G」の2台が発売され、auからは既に発売中のAQUOS K SHF31」に加えて、その後継機である「AQUOS K SHF32」が7月上旬に発売されます。

ここで、各社の販売にあたり注意したい点が一点あります。下のグラフはシニアのフィーチャーフォンユーザーの現在使用しているフィーチャーフォンの満足度を聞いたものです。



総じて満足度が高い点が目立ちますが、今回注目したいのは、「どちらでもない」が3割を超えている点です。フィーチャーフォンが単機能であることに「必要十分」と感じていて、端末の満足度も「どちらでもない」と回答する心理の裏には、携帯電話への興味度がそもそも薄い事が見て取れるのではないでしょうか。したがって、この層は、自ら興味を持って端末について調べたり、積極的に量販店に出向いて、携帯電話を手にとってみるというケースがあまり想定できないともいえます。販売各社には、広告での認知度向上や、DMや販促による来店してもらう仕掛け作りが必須だと考えます。

二つめは、やはり「MVNO」です。今回の調査でも格安SIMについて興味度を聞いていますが、認知度35.2%、購入意向12.3%と市場の盛り上がりを反映した高い数値となっています。



しかし、シニア世代が、フィーチャーフォンからMVNOのスマートフォンに移行するにあたり2つの課題があります。ひとつは、変更への不安感です。下のグラフは2015年3月に「格安スマホに関する意識調査」を行った際に、格安スマホへの移行の不安についてきいたものです。



この調査は、全ての世代に向けて聞いたものですが、上位にあがっている「契約がわかりにくそう」「乗り換えがめんどくさそう」「サポートがよくなさそう」などは、シニア世代にも共通する不安となりますし、店頭での契約ができないMVNOなどは一層その障壁はあがると考えられます。筆者もMVNOユーザーの一人ですが、やはり選択するにあたり、「店頭での申し込みができる」という点は重視しました。

前回のコラムでも紹介しましたが、現在は様々な分野からMVNO市場への参入が続いており、ネット申し込みが当たり前だった頃とは様相が異なってきています。値段やサービス内容でのせめぎ合いが続いていますが、販売チャネルの確保は今後の販売戦略において重要な焦点になるものと思われます。

そして、もうひとつの課題は料金です。従来のスマートフォンの月額料金に比べれば、はるかに安価な料金体系ですが、フィーチャーフォンと比較すると当然ながらそこには差があります。

MM総研の調査で、月額料金について調べた結果があります。「2015年3月末の携帯電話端末契約数および月額利用料金に関する調査」によると、スマートフォン利用者の月額利用料金は6,342円に対し、フィーチャーフォン利用者の月額利用料金は2,739円と大きな差があるものの、MVNO SIMカードの平均利用料金は音声通話対応で3,379円となり、フィーチャーフォンと比べると640円高い結果が出ています。

既にスマートフォンを使っているユーザーであれば、スマートフォンでのユーザー体験とその差額を天秤にかけることもできますが、フィーチャーフォンを「必要十分」と考えるシニア世代にとってみれば、この640円は大きな壁となりえます。その壁を越えるのは、やはりシニア世代にスマートフォンのユーザー体験してもらう事が重要なのではないでしょうか。
今回の調査でチャットアプリの興味度についてきいていますが、そこでは2割以上の方が興味があると回答しています。また、既にスマートフォンを使っているシニアに健康管理についてきいたところ、2割近い方がスマートフォンで健康記録をとりたいと回答がありました。




そして、実はスマートフォンを利用するシニアが、フィーチャーフォンからスマートフォンに買い換えた決め手は、「インターネット機能」が6割を占めます。フィーチャーフォンでのインターネット利用は、わずか3.8%にとどまりますが、インターネットをしないわけではなく、あくまで使い分けている層が、フィーチャーフォンを使い続けている訳です。



既にスマートフォンを利用している層の利用実態からみても、ユーザー体験をすれば、その良さに気がつき、買い替えを検討するユーザーもいるでしょうし、家族からの勧めで、スマートフォンを体験することもあると思います。実際に今回の調査で今使っているスマートフォンを使っているきっかけとして、「家族に勧められて」が2割を超えています。

今回の調査では、「連絡手段」のツールとして単機能を求める層と、スマートフォンを「ライフスタイル」の一部として積極的に活用していこうという層の二極化が進んでいる結果となりましたが、今後この構造は変化していく可能性は十分にあります。フィーチャーフォンを使い続けるいわば「携帯電話に関心が薄い層」に、どうやって来店してもらい、どうやってユーザー体験をしてもらうかという点に関しては、ガラホと同様に各販売会社の工夫が求められます。各社がどのような戦略でこの壁を破っていくのか、今後もその動向について注目していきたいと思います。


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この記事の執筆者

佐々木 怜(ササキ レイ)

佐々木 怜(ササキ レイ)

MMD研究所 編集部員

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