コラム
2015年6月26日
白熱する格安スマホ市場 参入各社の特徴と思惑まとめ-DMM mobile,エイブル,ビックカメラ,バンダイ編-
前回、異業種から参入したMVNO業者をご紹介しましたが、今回もその続編をお届けします。
昨年12月にMVNOへの参入を果たしたDMM mobile。DMM.comは動画配信やオンライン英会話、FXなどで知られますが、再生可能エネルギー発電事業なども手がけています。MVNO参入の際は、企画からローンチまでわずか2ヶ月だったとのことで、ITベンチャーならではの勢いを感じます。
MVNO参入のタイミングとしては若干後発となったDMM mobileのポイントはやはり、多彩なサービスで獲得したDMM.comの会員で、その数1400万人に達しているようです。
こうした基盤を背景に打ち出すDMM mobileの強みは「業界最安値」という価格設定。IT Media Mobileのインタビューでも、「利益率を無視している」と語っていますが、そこには、モバイル事業で収益を上げられなくてもDMM.com会員の獲得に繋がればいい、という考え方があるようです。
実際、DMM mobileの毎月の利用料の10%が、DMM.comの動画やオンラインゲーム、電子書籍などで利用できる「DMMギフト券」として還元されるとのこと。
今、多くの消費者の関心を集めるMVNOの分野でDMM mobileからの流入を増やし、利益率の高い他サービスへの接触率を上げるという考え方は非常に効率的かもしれません。
前回ご紹介したように、全国を網羅する流通網とポイントプログラムを持つCCCグループと提携してトーンモバイルを立ち上げたフリービットが、同じく戦略的パートナーとして提携したのが不動産大手のエイブルです。
フリービットのオリジナルスマホ「PandA」にエイブル独自の住まいに関わるサービスを提供する3つのアプリをプリインした「エイブルPandA」を全国のエイブル店舗で販売する形で、住まいに関わる生活サービスインフラを強固にすることができそうです。また、エイブルは格安スマホにすることで通信費を抑え、その分高い家賃の家に住むことができる、というコンセプトを打ち出しています。
一方のフリービットはネットワークや端末、そして販売網までまとめて提供する垂直統合モデルを目指すMVNOで、その技術力や手厚いサービスが高く評価されています。ただ、これまでは販路が福岡や名古屋、渋谷の直営店、移動式店舗などに限られていました。そこで、「freebit mobileパートナープログラム」と称し、全国に独自の販路と顧客層を持つCCCグループやエイブルなどとの提携を進めているのです。
フリービットの石田社長は「衣食住に関わる業種に拡大したい」とも語っていて、今後生活のあらゆる場所でfreebit mobileが買えるようになるのかもしれません。
販路がある、というだけでなくこれまでキャリアで購入していた時と同じような手厚いサポートが受けられるかどうか、という点も格安スマホ購入の決め手になりそうな中、「SIMカウンター」と呼ばれる場所を作ってサポートを行っているのが家電量販店です。
中でもビックカメラは昨年春という早い時期からMVNOへの参入を発表しIIJの回線を利用した「BIC SIM」の販売を行ってきました。BIC SIMカウンターでは、SIMフリーへ移行するに当たりユーザーにとって高い障壁となる設定の部分で「60分フルサポートパック」をはじめとした6パターンの設定サポートサービスが用意されています。
BIC SIMカウンターは6月までに29店舗に設置され、ビックカメラ店舗だけでなく傘下にあるコジマやソフマップでも設置を始めており、この流れは今後さらに加速していきそうです。
イオンがシニアをターゲットとするなら、ティーン向けに格安スマホの提供を開始したのが老舗玩具メーカー、バンダイです。子会社であるメガハウスから昨年7月に『Fairisia(フェアリシア)』という10~13歳の女の子をメインターゲットとした格安スマホの販売を開始しました。
端末の開発に当たっては、ティーンの間で「かわいらしさ」よりも「本物のスマホっぽさ」へのニーズが高かったことから、あえて“おもちゃ感”を無くし、シンプルなものにしたとのこと。
また機能面では、利用時間を制限したり、アプリのダウンロードを保護者が遠隔操作設定できるなど、親御さんも安心して買い与えられるよう配慮されています。身の安全やリテラシー教育の観点からスマホを与えたい一方で、高額な通信費がネックになっていた親御さんも多かったのではないでしょうか。SIMフリーの価値は、こうした端末の登場にも見ることができそうです。
メガハウスは昨年5月に開いた製品発表会で、初年度(2014年度)の目標販売台数を5万台、売り上げ目標を20億円としています。
こうして異業種の参入を見てみると、これまでスマホとの接点が薄かった層へのリーチが確実に広がり、サポート体制も急速に整ってきているように感じられるのと同時に、まだまだ新たなサービスが誕生しそうにも思えます。次はどんな業種がどんな形で参入してくるのか、注目していきたいと思います。
DMM mobile
昨年12月にMVNOへの参入を果たしたDMM mobile。DMM.comは動画配信やオンライン英会話、FXなどで知られますが、再生可能エネルギー発電事業なども手がけています。MVNO参入の際は、企画からローンチまでわずか2ヶ月だったとのことで、ITベンチャーならではの勢いを感じます。
MVNO参入のタイミングとしては若干後発となったDMM mobileのポイントはやはり、多彩なサービスで獲得したDMM.comの会員で、その数1400万人に達しているようです。
こうした基盤を背景に打ち出すDMM mobileの強みは「業界最安値」という価格設定。IT Media Mobileのインタビューでも、「利益率を無視している」と語っていますが、そこには、モバイル事業で収益を上げられなくてもDMM.com会員の獲得に繋がればいい、という考え方があるようです。
実際、DMM mobileの毎月の利用料の10%が、DMM.comの動画やオンラインゲーム、電子書籍などで利用できる「DMMギフト券」として還元されるとのこと。
今、多くの消費者の関心を集めるMVNOの分野でDMM mobileからの流入を増やし、利益率の高い他サービスへの接触率を上げるという考え方は非常に効率的かもしれません。
エイブル
前回ご紹介したように、全国を網羅する流通網とポイントプログラムを持つCCCグループと提携してトーンモバイルを立ち上げたフリービットが、同じく戦略的パートナーとして提携したのが不動産大手のエイブルです。
フリービットのオリジナルスマホ「PandA」にエイブル独自の住まいに関わるサービスを提供する3つのアプリをプリインした「エイブルPandA」を全国のエイブル店舗で販売する形で、住まいに関わる生活サービスインフラを強固にすることができそうです。また、エイブルは格安スマホにすることで通信費を抑え、その分高い家賃の家に住むことができる、というコンセプトを打ち出しています。
一方のフリービットはネットワークや端末、そして販売網までまとめて提供する垂直統合モデルを目指すMVNOで、その技術力や手厚いサービスが高く評価されています。ただ、これまでは販路が福岡や名古屋、渋谷の直営店、移動式店舗などに限られていました。そこで、「freebit mobileパートナープログラム」と称し、全国に独自の販路と顧客層を持つCCCグループやエイブルなどとの提携を進めているのです。
フリービットの石田社長は「衣食住に関わる業種に拡大したい」とも語っていて、今後生活のあらゆる場所でfreebit mobileが買えるようになるのかもしれません。
ビックカメラ
販路がある、というだけでなくこれまでキャリアで購入していた時と同じような手厚いサポートが受けられるかどうか、という点も格安スマホ購入の決め手になりそうな中、「SIMカウンター」と呼ばれる場所を作ってサポートを行っているのが家電量販店です。
中でもビックカメラは昨年春という早い時期からMVNOへの参入を発表しIIJの回線を利用した「BIC SIM」の販売を行ってきました。BIC SIMカウンターでは、SIMフリーへ移行するに当たりユーザーにとって高い障壁となる設定の部分で「60分フルサポートパック」をはじめとした6パターンの設定サポートサービスが用意されています。
BIC SIMカウンターは6月までに29店舗に設置され、ビックカメラ店舗だけでなく傘下にあるコジマやソフマップでも設置を始めており、この流れは今後さらに加速していきそうです。
バンダイ
イオンがシニアをターゲットとするなら、ティーン向けに格安スマホの提供を開始したのが老舗玩具メーカー、バンダイです。子会社であるメガハウスから昨年7月に『Fairisia(フェアリシア)』という10~13歳の女の子をメインターゲットとした格安スマホの販売を開始しました。
端末の開発に当たっては、ティーンの間で「かわいらしさ」よりも「本物のスマホっぽさ」へのニーズが高かったことから、あえて“おもちゃ感”を無くし、シンプルなものにしたとのこと。
また機能面では、利用時間を制限したり、アプリのダウンロードを保護者が遠隔操作設定できるなど、親御さんも安心して買い与えられるよう配慮されています。身の安全やリテラシー教育の観点からスマホを与えたい一方で、高額な通信費がネックになっていた親御さんも多かったのではないでしょうか。SIMフリーの価値は、こうした端末の登場にも見ることができそうです。
メガハウスは昨年5月に開いた製品発表会で、初年度(2014年度)の目標販売台数を5万台、売り上げ目標を20億円としています。
こうして異業種の参入を見てみると、これまでスマホとの接点が薄かった層へのリーチが確実に広がり、サポート体制も急速に整ってきているように感じられるのと同時に、まだまだ新たなサービスが誕生しそうにも思えます。次はどんな業種がどんな形で参入してくるのか、注目していきたいと思います。
この記事の執筆者
MMD研究所(編集部員)