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コラム

2015年6月4日

白熱する格安スマホ市場 参入各社の特徴と思惑まとめ-イオンスマホ,楽天モバイル,トーンモバイル,mineo編-

昨年から様々な事業者が格安スマホ市場に参入してきています。通信品質などにおいて既存キャリアと比べて劣るケースがあるとはいえ、2014年3月にMMD研究所が行った「主婦の携帯電話の利用・節約意識に関する調査」では、節約したい項目として「月々の携帯電話の利用料金(通信費)」との回答が「水道光熱費」に次いで多い結果となったように、消費者にとって通信費を大きく節約できる格安スマホは大きな魅力です。

一方で、サービスを提供する事業者にとってのメリットは一体何なのでしょうか。一つは、“格安”を訴求することでこれまでスマホへの乗り換えに消極的だった層へのリーチが可能になることです。当社の調査でも出ているように、国内におけるスマホの所有率はおよそ6割と見られます。海外では7~8割と言われているのと比べると、まだまだ未所有者=潜在顧客層は厚いと考えられます。そしてそこにリーチすることで、自社サービスへの誘導や一層の囲い込みを図ることができる点も、大きな魅力であると考えられます。

大手事業者がこぞって参入する背景には当然、ビジネスチャンスがあります。今回は、異業種から格安スマホ市場へ参入を果たした4社について、その特長や思惑をまとめてみることにします。

イオンスマホ





異業種参入の先駆けとなったのが、小売業界トップの収益を誇るイオン。格安スマホへの参入を発表したのは2014年4月で、それまでオンラインが主流でユーザー自らが設定しなければいけないにも関わらず、サポートが不十分だったSIMの販売を対面で行うモデルを作り出したことで、特に高齢層からの支持を獲得し成功したと言えます。

イオンは参入を発表しておよそ1年が経った今年3月の記者向け発表会で「ガラケーのままでいいということではなく、スマホをあきらめていた。あるいは、もっと先にしようと思っていた層の背中を押し、スマホの楽しさを提供できたのではないか」と成功の要因を説明しています。

イオンスマホ購入者の約半数を占める50代以上の層は、これまで大手キャリアがリーチできてこなかった層です。それは、日本においてスマホのシェアが伸び悩んだ一因とも言われていました。そこを打破する糸口をつかめたのは、実店舗を運営し高齢者の生の声に耳を傾けてきたイオンだからこそと言えるのではないでしょうか。

先の記者会見では40代の購入者が増えていることも明かされ、比較的スマホを使い慣れ、こだわりを持つこうした世代向けにソニーをはじめとする国産スマホを投入することも発表されました。

さらには学研とコラボしたSIM付の学習タブレットの販売も開始しています。イオンは学童文具やランドセルの販売にも強く、ファミリー層へも強いチャネルを持っているのです。

高齢者に分かりやすいサービスは、当然それ以下の世代にとっても分かりやすいサービスで、これまで不透明、且つ高額な通信費を支払っていた多くの消費者にとって、非常に魅力的なサービスに映っているのではないでしょうか。

楽天モバイル





2007年に楽天グループ傘下となったフュージョンコミュニケーションズが提供する格安スマホで、2014年10月に参入が発表されました。

楽天の発表によると2015年3月時点で四半期に1回以上、楽天市場で買い物をしたユニークユーザー数は1535万人とのこと。こうしたアクティブな行動を生み出し、楽天の強みとなるのが「楽天スーパーポイント」です。

例えば今年4月に行われた記者発表会では、新たに投入される機種「Xperia J1 Compact」で「楽天Edy」アプリが利用でき、このEdyを利用することで楽天スーパーポイントが2倍貯まる、という新サービスが発表されました。

同社が「楽天経済圏」と唱えるように、ECだけでなく旅行や保険・金融にまでまたがるこのポイントプログラムが、楽天モバイル購入の動機になり、同時にオンライン、オフライン問わずあらゆるチャネルで顧客接点を作り購買へとつなげていく楽天オム二チャネル戦略の一つにもなっていくでしょう。

また、楽天といえばオンラインでのサービス展開がほとんどでしたが、2014年5月渋谷にオープンした楽天カフェや同社が抱えるプロ野球チーム・東北楽天イーグルスの本拠地である仙台、本社が移転する二子玉川でもリアル店舗を設け対面サービスを行っています。こうした店舗は今後一層拡大させる予定で、やはり楽天も実店舗でのサポートが重要と考えているようです。

トーンモバイル





楽天ポイントに劣らない強力なポイントプログラムを引っさげて参入してきたのがCCC(カルチュア・コンビニエンス・クラブ)です。早くからMVNO事業に参入していたフリービットグループと戦略的資本・業務提携に基づく合弁会社として設立されたのが、トーンモバイル。

強力なポイントプログラムとは、説明の余地もなく「Tポイント」ですが、2015年4月末の時点でアクティブな会員数がおよそ5300万人とのこと。
トーンモバイルが提供するスマホ「TONE」では、端末・利用代金200円につき1ポイントが付与され、今年10月からは貯まったTポイントをTONEの支払いに充てることも可能になるとのことで、消費者に嬉しいポイント連携を徹底した戦略を打っています。

さらにTONEのサービスで特徴的なのは、音楽を中心にしたライフスタイルを提案するようなコンセプト。たとえばTSUTAYA店舗で毎月CD/DVDを1枚ずつ無料でレンタル(新作を除く)できたり、CD/DVDをレンタルするとTポイント付与率が10倍になるキャンペーンも(2015年10月末まで)行っています。高音質音源と言われるハイレゾにも対応し、音楽好きな、シニア層とはまた別の層の獲得を狙えそうです。

また、スタートは20店舗弱からとは言え、TSUTAYAという既にある巨大な流通網も大きな武器になるでしょう。

ちなみに、レンタル業でCCCの競合となるゲオも5月に格安スマホへの参入を発表しています。こちらの場合は、MVNO業界古参であるOCNと提携する形で「OCNモバイルONE」のSIMを販売する格好です。

mineo





有吉弘行やベッキーをCMに起用し、若者をターゲットに据えているように見えるmineoは関西電力系通信会社ケイ・オプティコムが提供しています。

ケイ・オプティコムは関西電力100%出資の通信事業者で全国的な知名度はないものの近畿圏の通信業界を牽引してきた存在です。今年7月中旬にはJR大阪駅前の大型商業施設「グランフロント大阪」内にmineoアンテナショップをオープンするとのことで、こちらもリアル店舗での展開を模索しているようです。

サービスの特徴としては既存のau回線を利用したプランに加え、9月からドコモ回線を利
用したプランも設置されること。こうした複数キャリアへの対応は日本で初めてのことです。また今後、異なるキャリア回線を使用する際に必要になるSIMの交換をなくし、1枚のSIMで最適なネットワークを選択できる仕組みを導入していく意向も示されており、消費者からすれば利便性が向上するモデルケースを作り上げてくれそうです。


今、ドコモやGoogleのMVNO参入も噂されています。ほんの少し前まで、3つのキャリアショップ以外でスマホを購入できるなんて多くの人が想像もしていなかったと思います。今、突如多くの選択肢が出てきたことで多少の混乱は見られますが、今後近いうちに、価格競争に一定の決着が付いたあと、各事業者が自らの強みを出しつつどんな便利な、そしてワクワクするような世界観を持つスマホ生活を提案してくれるのか、楽しみにしたいと思います。

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