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Vol.49 CDを買わない若者に新しい音楽のカタチをつくる!6800万人を擁するLINEがサブスクリプションで仕掛ける「LINE×MUSIC」の展望

インタビュー

日付:2016/9/30

執筆者:妹尾 亜紀子

Vol.49 CDを買わない若者に新しい音楽のカタチをつくる!6800万人を擁するLINEがサブスクリプションで仕掛ける「LINE×MUSIC」の展望

Vol.49 CDを買わない若者に新しい音楽のカタチをつくる!6800万人を擁するLINEがサブスクリプションで仕掛ける「LINE×MUSIC」の展望

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「サブスクリプション元年」と呼ばれた2015年、「LINE MUSIC」を始め「AWA」「Apple Music」そして、「Google Play Music」など多くのサブスクリプション型音楽配信サービスの提供が始まり、競争が激化した年だった。なぜLINEが音楽市場に乗り出したのか、その背景や現在の音楽市場について、また、今後の取り組み、「LINE MUSIC」の楽しみ方についてLINE MUSIC 取締役 高橋明彦氏に話を伺った。




----■今までの経歴と現在の仕事内容について教えてください。


私は2011年1月にネイバージャパンへ入社し、2012年頃からずっと音楽サービスの検討と立ち上げを任されてやってきました。

LINEを活用することで、音楽と人と人のコミュニケーションが、もっと活発に、もっと楽しくできると考え、どう魅力的なサービスにするのかってことをずっと検討してきました。実際紆余曲折あって、2014年6月にLINE MUSICをリリースし、今に至ります。

LINEに入る前はリクルートやYahoo!で働いていて、いろんなネットワークの中でビジネスをやってきていたんですけど、ネイバーが新しいチャレンジをするということでジョインしたんです。そこで生まれたのが「LINE」というサービスだったんです。

なので、今まで音楽関係の仕事には全く携わってないんです。
ですが、逆に音楽ビジネスが未体験だったのが、良かったのではないかと思っています。自分のフラットな感覚を活かして、音楽ファンのためだけのサービスを越えて、より多くのライトユーザーに面白い音楽サービスを届けることができるのでは、と思っています。

2015年に弊社を含め多くのサブスクリプション型音楽配信サービスがほぼ同時期に提供されたのですが、それにはいくつか要因があるんです。通信でストレスを感じることなくストリーミングで音楽を聴ける通信環境になったことと、スマートフォンというデバイスが進化したことが、まず一つの要因だと思っています。もう一つは音楽業界自体が比較的サブスクリプションに対してオープンになり始めてきたというところがあります。

特に分かりやすいのは新曲の配信ですね。例えば、EXILEの新曲も当日にLINE MUSICで聴けるんです。以前でしたらリリースして1カ月~2カ月経って聴けるのが普通でしたが、アーティストさん、レコード会社さんの理解が進んで、新曲のラインナップ、またそもそもの曲数が増えたのが一つの魅力として、サブスクで音楽が聴かれはじめてます。



-----■サブスクリプション型音楽配信サービスの特徴と魅力ってなんですか?


例えば、映画「君の名は。」でRADWIMPSさんの音楽が使用され話題になりましたよね。それをきっかけに、RADWIMPSさんの曲って他にどんな曲があるんだろう、あの映画の音楽って何が聴けるんだろう?って、自分の興味の幅が広がっていく。そういうのがサブスク、聞き放題の良いところだと思ってます。
なので、音楽の入口として、自分の好きな曲を探すんじゃなくて、タワレコに行くような感じで「なんか良い曲ないかな?」とプレイリストとかランキングを流して聴いてもらって、自分のフィーリングに合うアーティストや曲を深掘りして楽しむ。そういう新しい偶然の出会いを楽しんでもらうほうがサブスクリプションは楽しいかなと思うんですね。

LINE MUSICでは、自分の好きな曲をプレイリストとして保存できたり、LINE MUSIC内で公開することもできますので、誰かが公開した、「思い入れのある」プレイリストを聞いてみるのも、意外性があって楽しいと思います。

サブスクリプションサービスでは、「有名なアーティストさんの曲」を探すと、まだまだ無いんですよ。もっと頑張らなきゃな、と思うと同時に、それでも私が言いたいのは「あなたの知らない良い楽曲が、いっぱい入ってるよ!」と。西野カナも、ビートルズも、ゆずも、松田聖子も、OASISも、クラシックも、ジャズも、1800万曲入ってるんです。そんな多くの名曲をもっと楽しんで、人生の1曲を見つけてもらえたらなぁと思いますね。
LINE MUSIC内にある「アーティストリスト」を見るはのも良いと思うんです。あ、この人がいるんだとか。一覧で確認することができますので、興味の有るアーティストさんを見つけることが出来ると思います。


そして、サブスクリプションのもう一つの良さは、その時の気分で、その場の音楽が、1800万曲から自由に選べるんです。
例えば、ちょっと嫌なことがあったというときに、「泣きたい」とか「リラックス」とか、「元気になりたい」曲を自由にチョイスして聴ける。自分の音楽コレクションに制限されず、「自分だけの無限のジュークボックス」を持ち有ることができるんだって考えたら、とても贅沢なことですよね。


-----■今後の取り組みで、LINEがきっかけでCDを出したり、主催のライブなど開催するのというのはありますか?


そうですね。音楽が盛り上がるために、いろいろなことを仕掛けていきたいなとは思っています。そもそも「LINE」が、音楽事業をやる必要って本来ないんですね。Appleさんを始め、多くの事業者さんが、ずっと前から音楽事業、さらにはサブスクサービスもやられていますし。今回、あえてLINEがレーベルさんと一緒に新しい会社を作ってまで音楽をやる理由って、「他ができないことをやって欲しい」という事だと思っています。ですので、LINEだからできる事、新しい仕掛けはどんどん創っていきたいと思っています。

その流れで、もっと音楽を盛り上げる「フェス」や「アワード」みたいなものは、いつかやりたいと思っています。
そして、結果としてLINE MUSIC経由で、新人アーティストが注目され、ファンがつき、新たなメジャーアーティストになったりとか・・・「次のアーティストを大きく育てる場、ファンとアーティストが出会う場」になりたいと思っています。

その「新しい仕掛け」でいうと、今はやっぱり「LINEとの連携機能」ですね。
自分のプロフィールにBGMとして曲を設定したり、スタンプのようにおススメ曲をトークで送って盛り上がったり、LINEの無料通話の着信音に設定できたり、とLINE MUSIC、そして音楽をもっと楽しむ場として、みんなが使っている「LINE」を活用し、新しい楽しみ方を提案できると思っています。

LINE連携の第一弾としてやった「BGM機能」は、実はそんなに流行ると思ってなかったのです(笑)
設定自体は無料で誰でも利用できるのですが、好きな曲のリンクをLINEに設定するだけですし。それが、LINEという友達同士の繋がりを重視する「若者」の中で爆発的に流行って。曲を設定していないと逆に恥ずかしい、みたいなことが口コミとしてTwitterでも書かれるくらいに流行り、5億回の曲再生を越えるほど大きな利用になっています。

このようにバズったことも嬉しいですが、これによってLINE MUSICの再生回数も一気に増加したんです。想像するに、友達が設定した曲を見て、「あ、彼はこのアーティストが好きなんだ。私も聞いてみよう」という感じで、新しい曲やアーティストさんとの出会いがあったのではないかと。こういう新しい音楽との出会いのキッカケが提供できたことが、凄く嬉しいですね。

また、第二弾としてはLINEでよく使われていた「無料通話」に注目して、その着信音と呼出音を、1800万曲から自由に、自分の好きな曲に設定できる「「LINE着うた®」を公開しました。(※着信音はAndroid版のみ先行リリース中です)これは課金ユーザーに限るプレミアム機能です。
「昔のガラケー時代の着うたでしょ?」と思われるかもしれませんが、今回、サブスクと連携することで、1800万曲から好きな曲を自由に選べること、そして、「自分の好きなフレーズで頭出しができること」がとても面白くて。多くの人に、新しい体験としてLINE着うた®を楽しんでもらえると思います。

着信音の設定を自由にできるって音楽業界では結構ブレークスルーというか、ハードルが高いことだったんですが、音楽を楽しんでもらう「新しいチャレンジ」としてレコード会社さん、アーティストさんにご理解いただいて、今回は実現できたことを嬉しく思ってますし、LINE MUSIC、サブスクサービスへの期待を強く感じますね。

もちろん、その期待の裏返しには、CDやダウンロードが厳しいという環境も有ると思います。
私は、音楽という価値有るコンテンツには、正しい対価が支払われるべきだと思っているので、このLINE MUSICで新たな音楽業界の柱を作るんだ、そういう意欲をもって頑張りたいと思っています。

----■10代が音楽を聴かない、買わないって言われていますが、実際は聴かれているっていうのが分かってきた中で、どういう風にされていく予定ですか?


おっしゃる通りで、実は音楽自体は若い世代にめちゃめちゃ聴かれているんですよ。私どもがサービス立ち上げたときのアンケートでも驚くぐらい聴いているんですよね。毎日1時間とか30分とか。
それは若者に限らず、大人も同じで。「音楽離れ」というのはよく言われますが、音楽自体から離れているというより、「お金を払って聞く音楽」から離れているというのが正解な気がします。
音楽が愛されるエンタメであることは、古くはクラシック、ジャズのようなジャンルから人々を癒して、元気づけてたわけで、今後もこれは続いていくと思っています。

ただ、お金を払ってまで、楽しまなくなった。もしくは、お金を払わなくても、無料動画サービスなどで満足しちゃっている、という感じでしょうか。音楽にお金を払わないのが当たり前と思う世代がどんどん増えてきているのは事実だと思います。それは、いろいろなところで出されている調査データなどを見ても、無料試聴層の増加、さらには、そもそも関心が無い無関心層の増加というデータで現れていて、そこは凄く懸念をしています。

その「無料化」の流れに抗うのはかなり大変ですが、我々は、LINE連携などの独自の付加価値をつけていくことで、もっと音楽を楽しめることで「お金を払ってもいい」、課金のハードルを越えられるようにLINE MUSICはどんどん仕掛けて、頑張っていきたいと思っています。
例えばLINEの友だちリストを活用して、もっと「友達と一緒に音楽を楽しむ」ような感覚を作っていけば、フェスのような盛り上がりをLINE MUSICで作っていけたりすることも出来るかな、とか、検討を繰返しています。

また、同時に、音楽というジャンルの元気がなくなっているのを懸念しています。
フェスやライブのような場ビジネスは引き続き好調ですが、みんなが知っている「流行歌」のような存在が無くなったり、宇多田さん、サザンオールスターズさんなど、時代を代表するアーティスト、楽曲がなくなってきていますよね。LINE MUSICは、LINEの6800万のユーザーが後ろに控えていますので、そこをしっかりと活用し、ユーザーに新しい体験と新しい音楽を届けて、大きなムーブメントみたいなものを創って行きたいと思っています。そして、その結果、サブスクサービスも盛り上ればいいかなと。

まだまだ、LINE連携の仕掛けもネタはありますので、音楽というコンテンツを大事に扱いながら、新しい仕掛けをレコード会社さん、アーティストさんと連携して、仕掛けて行きたいと思っています。


うれしいことに、音楽をLINEと連携できるのってLINE MUSICだけなんですね。
申し訳ないんですけど、我々が独自の価値として、うまくLINEに音楽を乗っけていき、音楽って面白いなとか、こんな使い方あったのかみたいな他のサービスができないオリジナリティ溢れることをどんどんやって、結果サブスクリプションサービスを超えた「LINE MUSIC」っていうジャンルをつくっていきたいなと思ってますね。


-----■今までの音楽の付加価値でいうと、CDを買うと握手券が付いてくるとか、ライブやイベントに行けるという類だったと思うんですけど、LINE MUSICになったことで、友達とのシェアっていうそのデジタルでの付加価値が増えたっていうことですよね。


そうですね。逆に音楽っていう素材はもっと楽しめるんだっていうところを磨きたいなと思っています。

繰り返しになりますが 1800万曲が聴き放題ってすごく贅沢だと思っていて。例えば極端の話、東京ドーム一杯分のCDラックがあるところを自分が自由にチョイスできて、例えばTSUTAYA何百件分とかがあるわけなんで、それがたった1,000円でユーザーが30日聴き放題っていうのは、それだけでも価値はあると思ってるので、そこを我々らは再認識できるように、ちゃんと価値を認めてもらいたいなと。


----■30代、40代のユーザーはどれくらいるんですか?


30~40代の世代にLINE MUSIC、サブスクサービスを使ってもらうのは、今までの習慣や、過去のCDコレクションなどもあることから、なかなか難しいと思っていています。
まずは若者を中心にLINE連携を使ってユーザーをしっかり集めて、LINE MUSICが大きなマーケットになることがまず大事かなと。そうすれば、音楽を提供したいアーティストさんが増えてくる、そうすればサブスクのラインナップが増えて、また新しいユーザーが興味を持ってもらえる。そのような循環がうまれ、結果として高い年齢層の人たちも魅力の有るサービスになっていくことに繋がると思います。
その意味で、まずは自分たちのサービスを成長させていく必要が有ると思っています。
我々には、幸いなことに、LINEを絡めた「仕掛けていく武器」をたくさんも持っています。
先日LINEモバイルもスタートしまして、MUSICの通信料がフリーになる「MUSICパケットフリー(仮)」も予定しています。LINEがどんどん進化すれば LINE MUSICも進化して、音楽を楽しむ仕掛けをどんどん乗っけてくと、新しい流れでユーザー、アーティストが増えて、大人にもいいなと思ってもらえる。その流れができる意味では我々はすごく可能性が残されているんです。

新しく参入したチャレンジャーとして、LINEしかできない、音楽業界にはできないことをやる。言い方は悪いですけど、あまのじゃくというか、暴れん坊的な感じで音楽業界をもっと楽しくする異端児としてサブスクリプションサービスを伸ばしていきたいなと思っています。

-----■LINEモバイルとの連携はいつになりますか?


そうですね、まだ未定ですが、できるだけ早く実装したいと思ってます。もちろん技術的なしっかりしたものを出したいというのもあります。サブスクは音楽が聞き放題ですが、ストリーミングだとデータが重くなるのでユーザーのストレスだったのですが、このサービス展開で、本当の聞き放題に一歩近づいた体験が提供できるので、そこは期待してもらえればと思っています。




編集後記:スマートフォンでの音楽視聴は年々増加傾向にあります。さらに現在サブスクリプション音楽サービスは多種多様な乱立状態です。
Spotifyが2016年11月からのサービスが開始になりに音楽市場に注目が集っています。
今後の取り組みによって各サービスの特徴がより明確に、そしてより多くの楽曲が提供されることでしょう。

音楽CDやレコードを「所有する」という形から音楽を「共有する」という新しい形が根付くのもそう遠くないのでは。これからの各サービスの戦略に注目です。

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この記事の執筆者

妹尾 亜紀子(セノオ アキコ)

妹尾 亜紀子(セノオ アキコ)

MMD研究所 編集部員

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