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Vol.8 良品計画「お客様と対話をする」という企業の風土が ソーシャルメディア活用につながった

インタビュー

日付:2012/5/22

執筆者:吉本 浩司

Vol.8 良品計画「お客様と対話をする」という企業の風土が ソーシャルメディア活用につながった

Vol.8 良品計画「お客様と対話をする」という企業の風土が ソーシャルメディア活用につながった

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企業インタビュー
Vol.8 良品計画「お客様と対話をする」という企業の風土がソーシャルメディア活用につながった


MMD研究所が2011年12月に行った調査ではFacebookユーザーは2011年から利用を始めたと答えた人が54.9%、アクセスに利用するデバイスは70.4%がスマートフォンとソーシャルメディアの利用はここ1年で大幅に増えた(※)。今回は「ソーシャルメディアを通して好きになった企業・ブランド」で1位を獲得した「無印良品」を展開する株式会社良品計画 WEB事業部長の奥谷孝司氏にソーシャルメディア活用の話を伺った。
※Facebookインサイト調査(1)から引用

企業インタビュー


株式会社良品計画 WEB事業部長 奥谷孝司氏










----ソーシャルメディアの取り組みで新しいファンが増えたと思いますが、従来から無印良品のファンの方と違いはありますか?
 無印良品は「生活の基本となる本当に必要なものを、本当に必要なかたちでつくること。」というコンセプトでみなさんの生活の中に入り込んでいることと、認知度が高いブランドだということもあり、ソーシャルメディアを通して新しいファンが増えたというより、年齢に関係なく無印良品を「卒業」してしまった方や、文具は買うけど、洋服は買わないなど使い方を決めている方々に無印良品の魅力に再度気づいてもらうという意味でソーシャルメディアを通じて無印良品の商品を知ってもらう機会が増えたと感じています。
なので、従来のファンの方との違いはないと考えています。

----御社のソーシャルメディアの運用の考え方について教えてください。
 我々は、ソーシャルメディアはコンバージョンを生む場所とは全く考えておらず、みなさんのプライベートの情報が詰まっている場だと思っています。その中で我々が邪魔にならない程度に入っていくことで、無印良品という名前を思いだしてもらう・共感してもらう機会を増やすようにしています。
従来の会員型メディアに比べ、ソーシャルメディアは商品を買った人、買わない人が関係なく見られる場所なので、買わないけど「いいね!」を押してくれるファンの方がいたり、ソーシャルメディアを通じて無印良品のことを好きになってくれて、店舗で商品を買ってくださる方がいらっしゃったり、買った・買わないかもしれないが顧客情報をくださいというような「購買の瞬間」をとる従来型のコミュニケーションから「購買の前後」のコミュニケーションを行うことで、ファンの拡大ができるものと考えています。

企業インタビュー


 マーケターなら、お客様がどんな人たちか、どんなモノが売れているかということはわかって当然だと思います。そこから先にもう一つ、お客様にいかに自分の時間を使ってもらうかということを気にする必要があります。
我々はソーシャルメディアが登場したときに、お客様の時間が詰まっているメディアだと考えました。無印良品の商品はみなさんの生活の中に入り込んでいることを、ソーシャルメディアを通じて気軽に思い出して頂き、お客様にコラムを読んでもらう。良いことであれ、悪いことであれコメントを記載して頂く。「いいね!」を押してくれるという、いかにお客様の時間を使ってもらうかを重要視しています。
これは、従来の会員型メールマーケティングではできないことです。

----オンラインストアと店舗の棲み分けは考えられているのでしょうか。

 売上の9割は店舗です。また、我々にとって実店舗は最大の自社メディアと考えていますので、店舗への誘導を最優先に考えており、オンラインストアとの棲み分けは考えていません。
あえてオンラインストアで店舗の在庫を見られるようにしたり、オンラインストアで購入したものを店舗で受け取れるようにしたりするなど、来店促進の工夫を行っています。
店舗送客も実はお客様の時間を我々のために使って頂くということと繋がっています。ネットで商品を調べて店舗へお越しいただいたりとお客様の時間を頂いているわけです。

企業インタビュー


 正直なところ、衣料や家具に関しては、以前に比べ低コスト、高品質の商品が世に出ており、マーケティングが非常にうまい会社が現れていますので、無印良品が相対的な価値ではなく、絶対的な価値で選ばれるように、ショッピングモールのテナントなどではなく、絶対的なブランド価値を見せやすい、路面で展開している大型店舗へ誘導を強化していきたいですね。

----ソーシャルメディアの立上げ当初の様子や苦労した点を教えてください。
実は立ち上げ当初はファンやフォロワーが5万人くらい集まればいいねと社内で話をしていました。
しかし、広告を打たず、ここまでファン(約70万人)やフォロワー(約16万人)が増えたことは、我々の先輩方が作り上げてくれた無印良品のブランド力があってだと考えています。

 苦労した点は、ソーシャルメディアの取り組みがTwitterは2009年、Facebookは2010年とサービスが国内で盛り上がってすぐだったので、社内での理解がなかなか進まなかったことです。当時、日本ではまだ話題になっていない状態だったので、説明が大変でした。
ただ、弊社は顧客との対話をする風土がもともとありましたので、「顧客との対話をするツール」という点をしっかり伝えたことで社内での理解は深まりました。
 実は、ここが一番大事で、我々はソーシャルメディアの活用だけが注目されがちですが、一番大切なのは、「お客様と対話する姿勢」です。Facebook上で70万ものファンの方や、Twitter上の16万人フォロワーの方たちから、コメントやいいね!を頂いていますが、自社メディアの「くらしの良品研究所」のご意見パークというコンテンツでも、毎日200通ほど、お客様からメールで商品などについてのご意見を頂いています。ご意見の'濃さ'という意味では自社コンテンツであるご意見パークが勝っていると私個人は考えています。
 ソーシャルメディアが広まり、ページを作成する企業様が増えています。ファンやフォロワーの方が多いことに越したことはないですが、まずは自社が、「お客様と対話が行える企業か?」というところから、考えていく必要があると思います。コミュニケーションの機会を増やせば、リターンもありますが、リスクもあります。我々は、過去の取り組みの中で、お客様とのコミュニケーションはリターンが大きかったためソーシャルメディアへの取り組みを始めました。

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----最後に、海外展開について、お話を聞かせてください。
 現在、アジアの店舗は約80店舗あり、近年は出店を強化しています。好調な理由としては、海外展開については最初、欧州を中心にブランド展開をしていたこともあり、アジアの方々にとっては「欧州の人たちが使っているMUJI(海外の無印良品のブランド名)」というオシャレなイメージを伝えられたことが成功要因の1つだと考えています。
また、最近では、ソーシャルゲームアプリの「MUJI LIFE」などゲーミフィケーションの展開で、海外の方へのブランドイメージがさらに向上しているからだと考えています。
このゲームに参加している人たちで一番多いのは日本ですが、その次は、台湾、タイ、香港などアジア圏のプレイヤーの方が多いです。世界へブランドを広めるためにも、こういった取組みは続けていきたいですね。

【会社】株式会社良品計画

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【サービス】無印良品 無印良品iPad / iPhoneアプリ
     




----編集後記(MMD研究所:妹尾 亜紀子)
無印良品の商品は私の人生において、様々な場面で使っていました。例えば中学生の頃、友達との手紙のやりとりはクラフトの封筒を使い、筆記用具はアルミシリーズを使っていました。「生活の基本となる本当に必要なものを、本当に必要なかたちでつくること。」というコンセプト通り、生活の中に入り込んでいる無印良品だから、ファンの方やファンだった方々が思い出すことによって、ソーシャルメディアを通して好きになった企業1位に選ばれたのではないかと思いました。
お話をお伺いすると、ソーシャルメディアが流行しているから活用しているのではなく、お客様との会話できる場所を広げたという印象を持ちました。もともと、お客様の声を商品に取り入れる機会の多かった良品計画様ならではの考え方だと思います。ソーシャルメディアを活用したいと思う企業様も多いと思いますが、もう一度、なぜソーシャルメディアを使うのか?という点を見直してみるのも良いかもしれませんね。


■MMDインタビュー バックナンバー
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Vol.6 「H.I.S.」スマートフォンアプリは今後強力なチャネルになる~店舗とオンラインは棲み分けないで、それぞれ成長をめざす~(株式会社エイチ・アイ・エス)
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この記事の執筆者

吉本 浩司(ヨシモト コウジ)

吉本 浩司(ヨシモト コウジ)
facebook https://www.facebook.com/koji.yoshimoto

MMD研究所 編集長
MMDLabo株式会社 代表取締役

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