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Vol.4 「LINE」大ヒットの裏側に徹底的なマーケティングリサーチ ヒットの理由に迫る

インタビュー

日付:2012/2/21

執筆者:妹尾 亜紀子

Vol.4 「LINE」大ヒットの裏側に徹底的なマーケティングリサーチ ヒットの理由に迫る

Vol.4 「LINE」大ヒットの裏側に徹底的なマーケティングリサーチ ヒットの理由に迫る

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2012年9月20日に発表した「グループチャットサービスの登録率及び利用実態調査」で、利用率が最も多かった、チャットアプリ「LINE」であった。

急成長するチャットアプリ「LINE」の大ヒットの秘密をNHN Japan株式会社でLINEの企画開発を担当の稲垣氏と、マーケティング担当の矢嶋氏に話を伺った。
(聞き手:MMD研究所 妹尾)



■企画チームで国内外の100個以上のアプリを試し、マーケティングを徹底的に行った


アプリの企画はどのように行われたのでしょうか?


稲垣氏:企画当初どういったソーシャルサービスを展開していくかを話し合った時に、メッセージアプリと写真アプリの2つが最終的に上がりましたが、2011年3月に東日本大震災が起こった事をきっかけに、社会全体の空気に変化が生じ、インターネット上のコミュニケーションのあり方が、それまでの「新たな出会い」をメインとしたものから、「人と人との結びつき、大切な人とのコミュニケーション」に評価が集まるようになりつつあることを実感し、コミュニケーション手段であるメッセージアプリの開発を本格化させました。

4月から開発が決まり、1ヶ月半程度でローンチまで進めるなど急ピッチでの作業でした。企画の際にコミュニケーションアプリなど類似サービスのほとんどをダウンロードしました。少なくとも100個以上のアプリは試しましたね。App store等のアプリマーケットで上位に上がっている国内外のアプリをとことん使い、インターフェースや使い勝手を徹底的に見比べ、アイディアを貯めていきました。

特に海外のサービスは発想やデザインも違いUIがきれいでしたので、いろいろなアプリを見れば見るほど参考になりましたね。登録までのステップやボタン一つを始め、様々なアプリをチームで持ち寄り、良いところ、悪いところについて話し合いを行うなど企画を進めました。どういったところが便利で、どこが不便なのか徹底的に調査し差別化を図りました。

また、TwitterやFacebookからの読み込みなのか、何から読み込みなのか、メリットデメリットについても調査しました。

他社サービスやソーシャルサービスを参考にした時、ソーシャル上ではリアルにつながっていない人達が、皆「友達」になっていました。サービスを検討した結果、機能面ではSNSとは違い電話番号を知っているリアルな人間関係を軸にしました。



■秋冬モデル登場に合わせてCMリリースをしたかった。ベッキーさん起用の理由


タレントのベッキーさんをCMに起用した理由とCM放映をした経緯を教えてくだいさい。


矢嶋氏:2011年はフィーチャーフォンからスマートフォンへの乗り換えの一年でした。スマートフォンへのリテラシーがまだ高くないユーザーが多く、他社が本格的に市場に参入する前にポジションを取りたいと考えていました。「LINE」への手ごたえは感じていたので、他社がマーケティングをまだ強化していなかった事と、他社がCMに参入する前の9月末にCM放送を行う事を決めました。

ベッキーさんを起用した理由は、全国民的に好感度が高く、TVを見ている方から見ると弊社の知名度は高くないので、信頼感や安心感を伝えるという理由も含め起用しました。

CMでは「チャット」や「無料通話」等の機能での勝負ではなく、共感をしてもらう戦略にしました。スマートフォンに乗り換えた女子大生やOL層に共感してもらえる内容にするために、映画予告篇のようなCMにすることで、まずインパクトを強調しました。

次に、つい長電話になってしまう恋愛トークやガールズトーク。「朝まで電話してごめんね」というフレーズを使う事で特に女性に共感できる内容のCMにしました。

CM放送後は、女性に限らず、多くの反響をいただき、ユーザー数も大幅に増加したという印象です。



TVCMを行うことで、アクセスの増加などインフラ面は大丈夫だったのでしょうか?


稲垣氏:6月に日本でサービスインして、8月末から中東を始め海外でリリースを行い、利用者が増えてきました。

ただ、海外での予想以上の人気は想定しておらず、ネットワークサーバーの増強など慌ただしい期間もありましたが、そのノウハウがCMを放映する前に活き、サーバーがダウンしないように事前に対策はできていたので、特に不具合は起こりませんでした。今後は安定化を保ちながら、新機能を追加するための企画を進めています。

サービスインしてから、マーケティング施策で大変だったことは何ですか?


矢嶋氏:最初は自分が「LINE」を使っていても、周りの人が使っていないという状況でしたので100万人に行くまでが大変で、当初はプレスリリースやTwitter、FacebookなどでのPR活動に加え、スマートフォンアドネットワークなどオンライン広告を強化していました。

10月からは無料音声通話機能を実装し、リアルでアプリを紹介する際のアピールポイントができ、また、TVCM効果などもあって、かなり効率的に利用者の拡大が出来ました。しかし、このユーザーの伸びは9月末にベースである100万人のユーザーが集まったから出来たのだと思います。

稲垣氏:アーリーアダプターはアプリをダウンロードしていたけれど、利用している人が少なかったです。リテラシーが普通の人たちが使い出した事で、クチコミなどで広がり、その後にアーリーアダプターが使い始めるというマーケティングのセオリーとは逆の行動が起こりました。



フィーチャーフォンでもサービスを展開していますが、今後の展望はありますか?


矢嶋氏:フィーチャフォンユーザーには、スマートフォンに乗り換えた友達と連絡が取れなくなってしまうことが懸念材料にならないようにと、チャット機能のみ提供しています。特に日本はまだまだフィーチャーフォンの割合が多い「ケータイ大国」ですし、引き続き、誰もが利用しやすいサービスとなるよう操作性や機能の改善を行っていく予定です。

最後に、LINEの今後の展望をお聞かせください。


稲垣氏:やはり、世界規模でのユーザーの増加です。特にスタンプは世界中で使えるように表情だけでも会話が成立するようなものを選びました。なので、スタンプについては国別のローカライズは行っていないです。スタンプで特に使われているのは、インストールしてすぐ使える表情が豊かな白い丸顔のシリーズですね。

今はユーザー数の拡大に注力している段階ですが、ユーザーから利用シーンに合わせた機能やスタンプの要望をたくさん頂いています。いずれはスタンプのバリエーションを増やしたり、有料販売などマネタイズも検討しています。

2012年度中に世界で1億ユーザーを擁するグローバルメッセンジャーを目指し、近日中に音声通話機能の品質向上に加え、ビデオ通話機能・PCクライアント版・スマートタブレット版の公開も予定しており、国内外でさらなる利用者の拡大を目指して行きたいです。

[取材後記]

今回の取材を通じて感じたことは、電話番号を知っているリアルな人間関係を軸に「人と人との結びつき、大切な人とのコミュニケーション」をコンセプトにしたメッセージアプリだったからこそ、サービス開始から圧倒的なスピードで1,500万DLされたのではないでしょうか。また100個以上のアプリを試すなど、ユーザーのニーズに合わせた機能を徹底的にマーケティングしたことが成功の秘訣ではないかと思います。

フィーチャーフォン時代のコミュニケーションツールはメールでした。スマートフォンという新しいデバイスに対して従来と同じメールと絵文字を継続せざるを得なかった通信キャリアに代わり、チャット+スタンプで攻めたLINE。スマホ時代のコミュニケーションツールはLINEに軍配があがりそうだ


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この記事の執筆者

妹尾 亜紀子(セノオ アキコ)

妹尾 亜紀子(セノオ アキコ)

MMD研究所 編集部員

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