コラム
2017年2月21日
第4回MMD研究所主催MVNO勉強会「2016年の振り返りと2017年に向けて」
今回登壇いただいたのはOCN モバイルONEを提供するエヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社の中山賀王氏、BIGLOBE SIMを提供するビッグローブ株式会社の中野 雅昭氏、mineoを提供する株式会社ケイ・オプティコムの上田晃穂氏に続き、今回初参加となる株式会社インターネットイニシアティブの佐々木太志氏。モデレータは当研究所所長である吉本が務めました。
MMD研究所が用意した自主調査データをもとに2016年の格安SIMユーザーの特徴についてお話いただきました。
2016年はイオンモバイル、LINEモバイルの参入、Y!モバイルやUQモバイルなど大手キャリアサブブランドによるTVCMの大量露出など格安SIM、格安スマホの認知がより高まった一年でした。
また大手キャリア端末割引の制約も追い風となり2017年はより一層MVNOユーザーが増えていくと予測されています。
2台持ちを含めたMVNO利用は2016年で11.8%と2016年始めから3.1ポイント増えました。また、MVNOをメインの格安SIMと利用している割合は5.8%と昨年比53%と増加しています。
性年代別は男女ともに40代は最も大きく、次いで30代に広がっています。2~3年前は男性の40~50代が中心でしたが、男女共に20~30代の若い世代と女性の割合が増えている傾向にあります。
これはMVNOの認知の広がりから一般層へ普及してきたことの現れであり、今後、メインで利用している携帯電話を格安SIM/格安スマホへの乗り換えが進み、音声通話付きSIMの利用が拡大します。
今回の勉強会では、2016年の振り返りと2017年に向けて今後の展望や施策について、自社・市場の展望を交えながら座談会形式でお話しいただきました。
● 2016年のMVNO業界を振り返って、MVNO市場全体の評価と課題は?
エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社(OCNモバイルONE) 中山氏
認知が広がったというのが第一印象です。様々な事業参入してきたのでますます盛り上がってきたと思いつつもこれから加入される方に向けては安心、安全に使っていただけるような環境を作っていくことが課題だと思っています。
株式会社インターネットイニシアティブ(IIJmio) 佐々木氏
SIMフリーの端末のラインナップが強化されポジティブにとらえています。
2016年はSIMフリースマホのラインナップが増えてスクリーンのフィルタやケースなどの需要も増え、そういうところがMVNOの業界を賑やかす原動力になってきています。
大手キャリアのセカンドブランドが人気を集める一方で格安SIMサービスが犯罪に利用されるなど悪い面も取り上げられるようになってきているので、2017年はより安心安全に使っていただくための取り組みが必須になってくると考えています。
ビッグローブ株式会社(BIGLOBE SIM) 中野氏
MVNO市場の認知はやはり高まっているが、まだまだ若年層にパイがあるし、年配者に認知が広がってないという認識です。それに対してはサポート、わかりやすい、セキュリティが重要だと思っているが、回線速度、QOEが大切(クオリティオブエクスペリエンス)、という大きな課題も残っています。
多様性という意味では大手キャリアや他のMVNOと同じことをしていてもユーザーのニーズに答えられると思っていないので、差別化に力を入れていきます。
株式会社ケイ・オプティコム(mineo) 上田氏
市場全体としては格安スマホの認知は伸びてはいるが、「知っていると」いう認知だけであって、本当は「利用検討」というところまでいって欲しいのはあります。自分事化して「利用検討」するまでの層を増やしたい。そのためにCM等を放映しいて利用認知まで行っていきたい。安心、信頼を増すためのことをしていきます。
● 自社サービスを振り返ると2016年は100点満点中何点でしょうか?
mineo 上田氏:92点。パケットギフト、パケタンクなど有効活用することができた。マイネ王で情報公開を評価してもらったけど端末のラインナップが少ないので増やしていきます。
BIGLOBE SIM 中野氏:80点。事業上の課題もあり露出に力を入れられなかったのですが、iPhoneの取り扱いが出来たという点ではポジティブに捉えてます。エンタメフリーは技術的に難しいものを実現出来たことは良かったので来年は100点と言えるように取り組んでいきます。
IIJmio 佐々木氏:60点。私は自社のサービスには割と辛めに採点しています。ビジネスとしては順調で合格点ではありますが、強味であるイノベーションについては評価を辛くしないといけないと思ったので辛い点数をつけました。
2017年は新しいイノベーションを起こしていかなければならないのでそこに関しては度肝を抜くようなことをやっていきたいです。
OCN モバイル ONE 中山氏:80点。やるべき事はしてきたが、ニーズにはこたえきれてないと感じています。安心、安全に使っていただけるような環境を作っていくという課題をしっかりやっていきたいと思います。
● 各社の2017年(特に上期)で力を入れる点
mineo 上田氏:目標値としては2017年度末までに契約数100万件を目標です。それに向けてマイネオのコミュニティやユニークなサービスなど他にはない強味をさらに磨いていきます。
BIGLOBE SIM 中野氏:エンタメフリーをさらに強化しユーザーを広げていくとともに、コンテンツ以外にもユーザーやユーザーとつながっている企業との間での通信事業者として困っていることを解決していくソリューションを提供したいと考えています。
IIJmio 佐々木氏:2017年残りの課題というところでは、安心安全の取り組みの強化をしていきたいです。あと、大容量にも対応できればと思っています。
OCN モバイル ONE 中山氏:利用検討をするユーザーがますます増えてくることで、そういった方達に向けてただ安いだけの格安スマホということだけではなく、安心安全に使っていただけるように提供していきたいです。
今回の勉強会を通じて2017年のMVNO市場の課題、力を入れることなどご意向を伺うことができました。弊社も今後この市場を一層盛り上げていくため、引き続き様々な調査、イベントを実施していきたいと思います。
勉強会にお集りいただきましたメディア関係の方に、この場を借りて御礼申し上げます。
セノオ アキコ(セノオ アキコ)
MMD研究所 編集部員