コラム
2020年8月27日
実施まで後5日!9月から始まるマイナポイント施策の現状は?~キャッシュレス決済の定着化と中小個人加盟店と手数料問題~
■ 9月1日から始まるマイナポイント事業ー7月末時点のマイナンバーカードの所有率は27.7%
■ マイナンバーカード所有段階別でみえるマイナポイントへの期待
申請者の約6割にマイナポイント事業が影響
■ マイナポイントの設定先として人気なのはPayPayと楽天カード
■ キャッシュレス決済普及のキーは個人店?今後の継続意向は23.0%
■ PayPay導入後の客数・客単価の増加は1割ほど
■ まとめ―マイナポイント事業の普及について―
■ 9月1日から始まるマイナポイント事業ー7月末時点のマイナンバーカードの所有率は27.7%
2020年9月1日から、マイナンバーカードの所有とキャッシュレス決済の推進を目的とする「マイナポイント事業」が本格的にスタートします。マイナポイント事業では、自身が選択したキャッシュレス決済でチャージや買い物をすると上限5,000円分のポイントをもらうことができます。
マイナポイントを受け取るには「顔写真付きのマイナンバーカード」を持っている必要がありますが、現時点でのマイナンバー所有率はどれくらいになるのでしょうか?下のグラフを見ると、日本人口の約3割が現時点で顔写真付きのマイナンバーカードを所有する予定であることがわかりました。
■ マイナンバーカード所有段階別でみえるマイナポイントへの期待
申請者の約6割にマイナポイント事業が影響
マイナンバーカード所有者・申請者別にみると、マイナンバーカードを作った理由の違いが顕著に表れました。下のグラフを見ると所有者は身分証明書として利用できること、申請者はマイナポイントで買い物をしたいことをマイナンバーカード作成理由のトップにあげています。
「所有者と申請者のカード作成理由に大きく違いがあること。」「申請者の中でもマイナポイントでの買い物が高い傾向であること。」の2点から、7月の段階でマイナンバーカードの受け取り申請中と答えた人たちの多くが「マイナポイント事業」の影響で申請に動いていることがわかりました。
申請時期もマイナポイント事業の申し込みが始まった2020年7月が最多です。筆者の周りでも7月になってから、「ポイントを受け取るためにマイナンバーカードを持ちたい。」という声も聞こえるようになった印象があります。
■ マイナポイントの設定先として人気なのはPayPayと楽天カード
「マイナポイントを受け取りたいけど、どこの決済サービスに設定したら良いのかわからない。」という声もよく聞きます。現時点の設定先として人気の決済サービスはどこでしょうか?
下のグラフを見ると、7月末時点ではPayPayが、次いで楽天カードが選ばれているようですね。
PayPayは2018年10月に始まったサービスです。「100億円あげちゃうキャンペーン」から認知度を伸ばし2019年に行った弊社の個人店対象の調査でもQRコード決済の中で導入率はNo.1と今ではどこでも使える印象のある決済サービスになりました。
筆者の周りでも、ランチのお店でPayPayを使える場所を選ぶひとが多かったり、「お金のやり取りをPayPayでの送金でもいい?」と聞かれる回数が増えてきたりしています。使えるお店が多いことやユーザー数が多いサービスがマイナポイントの設定先として選ぶ理由になっているのかもしれませんね。
■ キャッシュレス決済普及のキーは個人店?今後の継続意向は23.0%
今までの消費者側視点からの調査データをみると、マイナポイント事業は「マイナンバーカードの普及」、「キャッシュレス推進」2つの役割を果たせているように思えます。しかし、キャッシュレス決済を導入する個人店視点から見るとまた違ったデータが浮かびあがりました。
先日(8月20日)、MMD研究所は最新の調査レポート「2020年8月中小個人店経営者からみるQRコード決済調査レポート」をリリースしました。その調査レポートの中からPayPayを導入している中・小規模個人店のデータをご紹介します。
PayPayを導入している個人店を対象に、今後の継続利用意向を聞いたところ、手数料有料化に関わらず利用意向がある店舗は23.0%でした。消費者目線でのデータからは9月以降、キャッシュレス意向の高まりが感じられました。しかし、中・小規模の個人店では、今後ののキャッシュレス対応に消極的な姿勢がみられます。
※画像をクリックすると拡大画像が表示されます。
■ PayPay導入後の客数・客単価の増加は1割ほど
また、PayPay導入後の客数や客単価が変化したかどうかを聞いたところ12.2%が「客数が増えた」、9.0%が「客単価が増えた」と回答していますが、「変わらない・減った」という回答が合わせて9割近くを占めています。
※画像をクリックすると拡大画像が表示されます。
今回のマイナポイント調査で一番期待が寄せられているPayPay導入店だけでデータをみても、手数料が有料化となった際の導入メリットを感じていない・・・そんな個人事業主さまが多いのではないでしょうか?実際に大手のチェーン店でもQRコード決済の取り扱いを辞めた企業もでてきています。PayPayでも2021年10月から決済手数料有料化が始まります。2021年10月を契機にQRコード決済、キャッシュレス決済サービスの利用が出来なくなるお店も増えるかもしれませんね。
■ まとめ―マイナポイント事業の普及について―
今回このマイナポイント事業の影響を消費者目線・加盟店目線でデータを一部ご紹介しました。消費者目線からみると、マイナポイント事業には好意的であり、現在のマイナンバーカード申請者はマイナポイントを利用して買い物をしたい傾向が高いことがわかりました。ただ、個人店目線で見るとキャッシュレス決済での恩恵を感じにくく、手数料有料化きっかけに、PayPayの取り扱いを見直す個人事業主さまが多いことがわかりました。PayPayが人気のQRコード決済サービスになれた理由もキャンペーンの魅力はもちろんのこと、使えるお店が多かったことも理由のひとつとしてあるのではないでしょうか・・・?
現在順調に伸びを見せているキャッシュレス推進ですが、2021年10月から始まるPayPayの決済手数料有料化から、陰りが見える可能性があります。
消費者への還元施策も大事ですが、コロナ禍でもあるいま個人店などの加盟店側への還元施策やメリット等も提示する必要があるのかもしれません。
MMD研究所ではこれからも、シニアにまつわる調査データを引き続き発表していきます。
調査データへのお問い合わせなどございましたら、以下の連絡先までお気軽にご連絡くださいませ。
<本ブログでの使用調査>
■マイナンバーカードとマイナポイントに関する調査
■2020年8月中小個人店経営者からみるQRコード決済調査レポート
※本調査レポートは小数点以下任意の桁を四捨五入して表記しているため、積み上げ計算すると誤差がでる場合があります。
※回答者の属性は会員登録後に無料レポートよりご確認いただけます。
上記のリサーチに関するご質問等は、お問い合わせフォームよりご連絡ください。
■ お問い合わせフォーム
■ 利用規約
≪本調査レポートのご利用について≫
MMD研究所にて無償公開しているWEBサイト内の文書、及びその内容についての無断転載等は原則としてご遠慮頂いております。
データの利用または引用の可否はその内容によりますので、まずは掲載範囲、用途・目的、メディアなどを記載してメールにご連絡ください。
追って担当者よりご連絡いたします。著作物の二次利用に関しては、以下の条件にすべてあてはまる場合、個別の許諾なしにこれをみとめます。
・ 営利を目的としないこと
・ それによって経済的な利益を得ることがないこと
※販促に利用されたい企業様はお問い合わせください。
MMD研究所(編集部員)