コラム
2016年6月1日
定額制音楽配信サービスの現状と今後
2015年日本では数々の定額制音楽配信サービスが開始しました。
今まで主流だったiTunesなどの音楽ダウンロード配信サービスから定額制音楽配信サービスへと徐々に変わり始めたのではないでしょうか。
2015年10月に実施した「スマートフォンでの音楽視聴に関する調査」ではスマートフォンでの音楽視聴頻度について聞いたところ、「ほぼ毎日」と回答した人はiOSで35.6%、Androidで29.7%でした。これを2015年2月の「スマートフォンでの音楽視聴に関する調査」と比較すると、iOSでは2.7ポイント、Androidでは9.5ポイント増えていることがわかり、各社の定額制音楽配信サービスが始まったのと同時に無料キャンペーンが開始されたことで音楽視聴する人が増えたと推測できます。
さらに、先日発表した「定額制サービスの利用実態調査」にて、定額制サービスの利用経験を調査したところ「動画」が22.1%、「音楽」が24.6%、「電子書籍」は15.3%ということがわかりました。https://mmdlabo.jp/investigation/detail_1559.html
そこで、今回は利用経験が多かった「定額制音楽配信サービス」の現状と今後について考えてみました。
定額制音楽配信サービスの利用経験が多かったのは「低価格」「プランが選べる」「無料体験期間が比較的長い」ことが要因だったのではないでしょうか。
定額制利用状況(無料体験を含む)では「現利用者」が10.1%、「過去利用者」が14.5%と24.6%の人が定額制音楽配信サービスを利用した経験があることがわかりました。
これを年代別で見ると、現在利用と過去利用を合わせると10代の30.6%が最多の利用経験があり、20代は24.0%、30代は22.3%、40代は20.0%となりました。
さらに定額制音楽配信サービスを現在利用している703人を対象に、利用したことがあるサービスを聞いたところ、「LINE MUSIC、Apple Music、AWA、Prime Musicの順にラインインしました。年代別では、10代の過半数が「LINE MUSIC」を利用した経験があり、20代以上の年代では「Apple Music」の利用が多いことがわかりました。
さらにメインで利用しているサービスにおいては、10代の利用したことがあるサービス同様「LINE MUSIC」という回答に対して、20代以上がメインで利用していると回答した最多のサービスは「Prime Music」となりました。
「Prime Music」に関しては、プライム会員であれば追加料金なしで国内外のアーティストの楽曲が楽しめるようになったため、利用する人が増えていると考えられます。
かくいう筆者も「Prime Music」をメインで利用している一人で、サービスの一環として無料で音楽コンテンツも楽しめるという感覚に近いのかなと思っています。
動画に関する調査ではありますが、弊社で販売している「2016年5月定額制動画配信サービス利用者実態調査レポート」内ではAmazonプライム・ビデオを選んだ理由を調べていますが、「プライム会員だから」という回答が多いことがわかりました。
一つのコンテンツ目的で入会したわけではないからこそ、動画や音楽などのコンテンツに対してこだわりがあるわけでもなく、もともと利用しているサービスにいろいろ追加されたから利用しているという人が多いのではないでしょうか。
次に、定額制音楽配信サービスの利用状況を見てみましょう。
YouTubeをはじめとしたインターネットで音楽を気軽に、無料でも視聴出来る現状に加えて、各社が定額制音楽配信サービスの開始とともに無料キャンペーンを大がかりに仕掛けていました。
実際に「定額制サービスの利用実態調査」の結果では、メインで利用している定額制音楽配信サービスの利用状況を聞いたところ、10代の77.4%、20代以上の4割以上の人が「有料配信サービスを無料(トライアル)で利用している」と回答しています。
無料キャンペーンを体験したユーザーがいかに有料会員になるかという点が、今各社の課題になっていることだと思います。
筆者も各社のサービスが開始されてからすぐに登録し無料体験しました。その結果良かった点は、「自分で購入することのなかったアーティストの音楽を聴くようになった」「音楽を聴く機会が増えた」ということ。悪かった点は「思ったより楽曲数が少ない」ということでした。
2015年10月に実施した「スマートフォンでの音楽視聴に関する調査」では利用している定額制音楽配信サービスを利用している理由を聞いたところ、最も多かった回答は「曲数が多い」で61.1%、次いで「好きなアーティストの曲がある」が57.0%、「使いやすい」が54.9%でした。
10年くらい前のことですがiPodを購入しiTunesを使い始めたとき、曲を購入しようと思い、アーティストや曲目を検索したのですが、楽曲、アーティストがほとんどいなかったため残念な思いをしたのを覚えています。結局iTunesカードを購入したにも関わらず1年以上使うことができませんでした。
10年以上たった今、欲しいと思った楽曲はほとんどダウンロードができるようになりました。
同様に、定額制音楽配信サービスだからと言ってなんでも聞けると思ってそのサービスの特徴や機能などを理解しないまま登録する人も少なくないのではないでしょうか。
今まではサービス名の認知、会員数の獲得への施策がメインでしたが、今後は各サービスの特化している点、利用することによるメリットなど多くの利点がもっと多くのユーザーに伝われば今まで取り込めていなかった層のユーザーを獲得できるでしょう。
取り扱っている音楽のアーカイブやジャンルが増えているはずなので、1年後のシェアと各社の戦略が楽しみです。MMD研究所では今後も定額制音楽配信サービスの動向を追っていきたいと思います。
今まで主流だったiTunesなどの音楽ダウンロード配信サービスから定額制音楽配信サービスへと徐々に変わり始めたのではないでしょうか。
2015年10月に実施した「スマートフォンでの音楽視聴に関する調査」ではスマートフォンでの音楽視聴頻度について聞いたところ、「ほぼ毎日」と回答した人はiOSで35.6%、Androidで29.7%でした。これを2015年2月の「スマートフォンでの音楽視聴に関する調査」と比較すると、iOSでは2.7ポイント、Androidでは9.5ポイント増えていることがわかり、各社の定額制音楽配信サービスが始まったのと同時に無料キャンペーンが開始されたことで音楽視聴する人が増えたと推測できます。
さらに、先日発表した「定額制サービスの利用実態調査」にて、定額制サービスの利用経験を調査したところ「動画」が22.1%、「音楽」が24.6%、「電子書籍」は15.3%ということがわかりました。https://mmdlabo.jp/investigation/detail_1559.html
そこで、今回は利用経験が多かった「定額制音楽配信サービス」の現状と今後について考えてみました。
定額制音楽配信サービスの利用経験が多かったのは「低価格」「プランが選べる」「無料体験期間が比較的長い」ことが要因だったのではないでしょうか。
定額制利用状況(無料体験を含む)では「現利用者」が10.1%、「過去利用者」が14.5%と24.6%の人が定額制音楽配信サービスを利用した経験があることがわかりました。
これを年代別で見ると、現在利用と過去利用を合わせると10代の30.6%が最多の利用経験があり、20代は24.0%、30代は22.3%、40代は20.0%となりました。
さらに定額制音楽配信サービスを現在利用している703人を対象に、利用したことがあるサービスを聞いたところ、「LINE MUSIC、Apple Music、AWA、Prime Musicの順にラインインしました。年代別では、10代の過半数が「LINE MUSIC」を利用した経験があり、20代以上の年代では「Apple Music」の利用が多いことがわかりました。
さらにメインで利用しているサービスにおいては、10代の利用したことがあるサービス同様「LINE MUSIC」という回答に対して、20代以上がメインで利用していると回答した最多のサービスは「Prime Music」となりました。
「Prime Music」に関しては、プライム会員であれば追加料金なしで国内外のアーティストの楽曲が楽しめるようになったため、利用する人が増えていると考えられます。
かくいう筆者も「Prime Music」をメインで利用している一人で、サービスの一環として無料で音楽コンテンツも楽しめるという感覚に近いのかなと思っています。
動画に関する調査ではありますが、弊社で販売している「2016年5月定額制動画配信サービス利用者実態調査レポート」内ではAmazonプライム・ビデオを選んだ理由を調べていますが、「プライム会員だから」という回答が多いことがわかりました。
一つのコンテンツ目的で入会したわけではないからこそ、動画や音楽などのコンテンツに対してこだわりがあるわけでもなく、もともと利用しているサービスにいろいろ追加されたから利用しているという人が多いのではないでしょうか。
次に、定額制音楽配信サービスの利用状況を見てみましょう。
YouTubeをはじめとしたインターネットで音楽を気軽に、無料でも視聴出来る現状に加えて、各社が定額制音楽配信サービスの開始とともに無料キャンペーンを大がかりに仕掛けていました。
実際に「定額制サービスの利用実態調査」の結果では、メインで利用している定額制音楽配信サービスの利用状況を聞いたところ、10代の77.4%、20代以上の4割以上の人が「有料配信サービスを無料(トライアル)で利用している」と回答しています。
無料キャンペーンを体験したユーザーがいかに有料会員になるかという点が、今各社の課題になっていることだと思います。
筆者も各社のサービスが開始されてからすぐに登録し無料体験しました。その結果良かった点は、「自分で購入することのなかったアーティストの音楽を聴くようになった」「音楽を聴く機会が増えた」ということ。悪かった点は「思ったより楽曲数が少ない」ということでした。
2015年10月に実施した「スマートフォンでの音楽視聴に関する調査」では利用している定額制音楽配信サービスを利用している理由を聞いたところ、最も多かった回答は「曲数が多い」で61.1%、次いで「好きなアーティストの曲がある」が57.0%、「使いやすい」が54.9%でした。
10年くらい前のことですがiPodを購入しiTunesを使い始めたとき、曲を購入しようと思い、アーティストや曲目を検索したのですが、楽曲、アーティストがほとんどいなかったため残念な思いをしたのを覚えています。結局iTunesカードを購入したにも関わらず1年以上使うことができませんでした。
10年以上たった今、欲しいと思った楽曲はほとんどダウンロードができるようになりました。
同様に、定額制音楽配信サービスだからと言ってなんでも聞けると思ってそのサービスの特徴や機能などを理解しないまま登録する人も少なくないのではないでしょうか。
今まではサービス名の認知、会員数の獲得への施策がメインでしたが、今後は各サービスの特化している点、利用することによるメリットなど多くの利点がもっと多くのユーザーに伝われば今まで取り込めていなかった層のユーザーを獲得できるでしょう。
取り扱っている音楽のアーカイブやジャンルが増えているはずなので、1年後のシェアと各社の戦略が楽しみです。MMD研究所では今後も定額制音楽配信サービスの動向を追っていきたいと思います。
この記事の執筆者
セノオ アキコ(セノオ アキコ)
MMD研究所 編集部員