トップページ

 > 

インタビュー

 > 

Vol.24 Angry BirdsのRovioやToca Bocaなど海外有力アプリベンダーと提携したソースネクストに学ぶパブリッシャー戦略

インタビュー

日付:2014/9/24

執筆者:吉本 浩司

Vol.24 Angry BirdsのRovioやToca Bocaなど海外有力アプリベンダーと提携したソースネクストに学ぶパブリッシャー戦略

Vol.24 Angry BirdsのRovioやToca Bocaなど海外有力アプリベンダーと提携したソースネクストに学ぶパブリッシャー戦略

TAG:

このエントリーをはてなブックマークに追加

家電量販店のアップル製品売り場やApple Storeには最新のiPhoneやiPad製品がディスプレイされ試すことができる。小さな子供が夢中になってiPadを楽しんでいる場合、そのプリインストールされたアプリはToca Boca社の「Toca Hair Salon2」である可能性が高い。筆者自身も4歳の娘がいるが、見事に彼女を夢中にさせた。
アップルやグーグルも賞賛する子ども向けアプリのリーディングカンパニーToca Boca社を始め海外の有力アプリベンダーと提携を進めるのはソフト国内大手のソースネクスト。海外の有力アプリベンダーとの提携に至った背景を聞きにソースネクスト株式会社 取締役 専務執行役員 小嶋智彰氏に話を伺いました。



2013年に「Angry Birds」を手掛けるRovio Entertainment社や2014年に知育アプリで有名なToca Boca社、算数を楽しく学べるアプリ「モンテッソリー・ファースト・オペレーション」のLes Trois Elles社、カナダの人気カジュアルゲームを手掛けるBig Blue Bubble社など海外の有力アプリベンダーと立て続けに業務提携を進められていますね。


もともと当社はパソコンソフトの企画・開発・販売を主力事業としています。スマートフォンの所有者が増えたここ数年はスマートフォン向けのアプリ提供を伸ばしていくことにも力を入れています。

自社で権利を保有する「驚速」や「特打」などパソコンでもともと提供していたソフトの一部を、スマートフォン向けアプリとして発売しているものもありますが、お客さまに良いモノを数多く提供するために自社ソフトだけでなく、世界中からパブリッシャーとして良いソフトやアプリを探してきて国内市場に提供することを進めています。これはスマートフォンアプリだけではなく、パソコンソフトでも進めてきたことです。

海外事業に関しては2012年9月からシリコンバレーで支社を設立し、欧米を中心にパブリッシャーとして提携先を探しています。

提携内容は日本国内でのパブリッシング業務になり、当社がもともと得意としている家電量販店や携帯電話ショップでアプリをパッケージにして店頭で販売したり、各通信キャリアが独自展開しているアプリマーケットに提供をおこなっています。

最近では8月29日にソフトバンクモバイル社が米Sprint社と共同で「App Pass」の独自マーケットを発表しましたが、当社から「Toca Hair Salon2(Toca Boca社)」と「モンテッソリー・ファースト・オペレーション(Les Trois Elles社)」など13タイトル(2014年9月24日時点)を提供しました。
※Sprint社「App Pass」は7タイトル提供(2014年9月24日時点)


海外アプリデベロッパーの国内アプリ販路を貴社が展開される際、プロモーションで流通先と取り組まれていることはありますか?


通信キャリアさんとの取組みでいうと、Toca Boca社などは海外でも賞をとるなど非常に優秀なアプリですのでキャリアさんもプッシュしてご紹介いただけるケースが多いのと、当社も広告を出稿するなどしています。

また、当社は1100万人規模の会員を抱えていますので、メールでお知らせしたり、利用しているソフトの画面上で告知したりすることができます。そこで知っていただく方も多いです。

当社の提携先の海外デベロッパーは日本向けのApp StoreやGoogle Playは直接展開されますが、日本独自のアプリマーケットや国内の販促などは当社が全面に動き、日本で発売されているスマートフォン端末の動作テストなども当社が全てやっています。そういった面も含めて国内パブリッシャーとして評価をいただいています。

Toca Boca社は子ども向けアプリを作るベンダーなら知らない人はいない業界のリーディングカンパニーです。彼らのアプリは全世界で累計6,700万ダウンロードを超えるといいます。Toca Boca社にアプローチした背景や狙いを教えてください。


提携先に関しては全世界のアプリをくまなく探していますが、その中で教育系を強化していこうという社内企画があり、そこで世界中のアプリを何百という単位で調査した中でToca Boca社が提供するアプリのクオリティに感動しました。

アプローチした時期は昨年だったと思いますが、12月にはおよその提携が決まりました。来日される機会があり、そこで食事を交えてお話をしました。彼らはアプリを作る上で理念をとても大切にされており、パートナー先にも理念の共感を重視されていることを理解しました。そこで当社は国内販売戦略より彼らの理念を共有できるパートナーとして信頼に足る会社なのかということをご理解いただくことに時間をかけ、丁寧に順序を踏んで提携に漕ぎ着けました。


なるほど。パブリッシャーとして海外の有力アプリベンダーと提携するためには国内の販売力もさることながら、国内の端末対応や理念・ビジョンの共感に対する信頼も大切なのですね。ちなみにフランスのLes Trois Elles社との提携など教育系を強化されている点をお聞かせ下さい。


もともと当社は算数学習ソフトなど教育系のパソコンソフトからスタートしている背景があります。その後、タイピング習得ソフトやWord、Excelを学ぶソフト、映画を観ながら英語を勉強できる「超字幕」というソフトなどを発売しており、教育分野が強みでもあります。「超字幕」ではハリーポッターやシャーロックホームズなどハリウッドへ行って映画スタジオと直接契約するなど力を入れてきました。

知育・教育アプリで海外と日本の違いを感じることはありますか?


Toca Boca社の例でいうと、彼らのアプリは「教育アプリ」という打ち出し方ではなく、「デジタル玩具」というコンセプトで開発されています。ですから算数が身に付くなどの左脳を鍛えるソフトではなく、何の説明も必要なく正解もなく、子供が自分で好きなように遊び、そこに様々な仕掛けが用意されていて子供の想像力が刺激されます。小さな時からデジタル玩具を通して創造性を育むことを大切にされています。説明不要で非言語コミュニケーションの体験は北欧系企業の特徴だと感じます。

私の娘は小学生ですがToca Boca社のアプリをすごく楽しそうに遊んでいて、できたものを喜んで見せに来ます。それを見て「面白いね」と家族の会話が弾みます。そういったアプリを通じた体験をToca Boca社は理念として大切にしています。


北欧系アプリは人気が高いですね。「Clash Of Clans」のSupercell社もフィンランドですし。ちなみに国内のアプリ開発者や企業との提携などはあるのでしょうか?


今回は海外の話が中心となりましたが、実際には国内の開発会社と提携してやっているケースも非常に多いです。そもそも当社はプログラム部門を自社で抱えておらず、自社で権利を保有している場合でも国内外でその分野を得意としている企業に委託して開発しています。そういう意味では日本国内の提携パートナーは多いですね。

たとえば個人の方や小規模で開発に特化されている会社、アプリで受託開発をしていたけど自社企画のアプリを作られる企業の方は是非、気軽にお声掛けいただければと思います。当社が持つ販売プロモーションのノウハウや営業リソースが提供できます。また、個人の方が大手通信キャリアの独自マーケットに参入するには審査や契約等で非常にハードルが高いこともありますが、当社は一貫して開発者とお客様を繋ぐ役割でお役に立てると考えています。

パソコンソフト提供の老舗メーカーとして、今後のスマートフォンアプリはどのようにみていますか?


今はまだ端末などのハード面が先行しています。特に端末は中国メーカーやMVNOを手掛ける事業者から低価格のスマートフォンが出て、どんどん広がっていくと思いますが、アプリなどのソフトに関しては、市場としてまだ始まったばかりだと思っています。無料アプリを利用された方は多いと思いますが、有料でアプリを使われた方はまだまだ少ないです。ようやく国内3キャリアで使い放題のサービスが出揃って、当社もそれぞれにアプリを提供していますが、まだまだ増やしていかなければと思っています。


このサイトにはアプリ開発者やアプリ事業者が多く閲覧いただいています。最後にメッセージをいただけますでしょうか?


ソースネクストはスマートフォンに力を入れており多くのアプリを世の中に提供したいと考えています。まだまだ提供するアプリの数が足りない状況です。当社は開発者の方々が作ったアプリを多くの人に知っていただき、世の中に広めるお手伝いをします。その実績と販売力があること、そしてスマートフォンだけでなくパソコン、タブレットなどマルチ展開で豊富な経験があります。開発者とお客様を結ぶことが我々の役割、広くパートナーを募集していますので、是非、お声掛けください。


[取材後記]

ソースネクストといえば驚速や筆王、特打などパソコンを初めて購入した時などお世話になった方も多いと思う。CD-ROMやDVDにデータを書き込むB's Recorderなど定番のソフトウェアを販売されてきた老舗ソフトメーカーである。

今回のインタビューは知育アプリの調査をする中でToca Boca社やLes Trois Elles社が日本市場の展開でソースネクスト社提携していることを知り、老舗ソフトメーカーが考えるスマートフォンアプリ販売に興味をもったことにある。

スマートフォンアプリは個人も法人も新規参入可能でチャンスの大きな分野だ。ただ、アプリ事業で収益を確保するのは非常に難しいのが実情。AppleやGoogleなどのオープンなマーケットだけでなく、キャリアが展開するマーケットに参画し、数百万人が利用する定額制サービスで安定した収益を確保するルートを展開するのもスマートフォンアプリ事業を計画する上でとても大切な戦略だと思う。

もちろんアプリの質が高いことが求められるが、キャリアマーケットとの契約に実績が無かったり、販売プロモーションに悩んでいる開発者やアプリ事業者はソースネクスト社へアプリをプレゼンしてみてはいかがだろうか?その際には是非、アプリを開発する理念もしっかり伝えて欲しいと思う。


このエントリーをはてなブックマークに追加

この記事の執筆者

吉本 浩司(ヨシモト コウジ)

吉本 浩司(ヨシモト コウジ)
facebook https://www.facebook.com/koji.yoshimoto

MMD研究所 編集長
MMDLabo株式会社 代表取締役

あわせて読みたい記事:

登録すると、より詳細な調査結果を掲載した
ファイルがダウンロードできます!

新着記事

pagetop