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コラム

2015年3月10日

フリマアプリに見るCtoCサービス普及の可能性

近年欧米で「シェアリングエコノミー」というモノやサービスなどを共有するという新たな概念が広がりを見せ、ごく当たり前になっているようです。

例えば、米カリフォルニアに『Airbnb』という住宅賃貸サイトがあるのですが、これは世界中で空き部屋などを持ち宿泊場所を提供者する(ホスト)と宿泊場所を探している旅行者(ゲスト)をつなぐサービスです。
Airbnbはアメリカの投資会社TPG率いる企業連合に時価総額1兆円の評価を受けており、自国だけではなく世界へこのサービスを展開しており日本でも話題になりつつあります。

日本でもこのサービスを利用して、オシャレなインテリアの部屋に宿泊しながら宿泊費を安く抑えたり、好きな食べ物を持ち込んで女子会をしたりして楽しんだという体験がネット上でよく見かけるようになりました。最近Airbnbの特集を組む旅行会社も登場しています。
このような体験やサービス利用が増加している背景には宿泊場所を選ぶ理由として、場所やブランドよりも、自分のやりたいことを低価格で実現したいというニーズの高まりがあるようです。
また、根本的な価値観の変化もうかがえます。「所有する」から、「シェアする」、不要なものは「譲る」という価値観へと変わりつつあるのかもしれません。


なぜ今フリマアプリなのか


こうした変化はCtoCサービスの盛り上がりに見ることができます。
先日「メルカリ」が1000万ダウンロードを突破したというニュースは皆さんの記憶に新しいかと思います。

このCtoCサービス普及の背景を受け、当研究所でも先日フリマアプリに関する利用実態調査を行いました。ネットショッピング市場の伸びの影響はフリマアプリとどのような関係にあるのか、フリマアプリの利用状況とネットショッピングの利用経験をクロス集計したところ、この2つの利用経験に相関関係があることが分かりました。

このグラフを見ると、ネットショッピングの利用頻度が高い人ほど、フリマアプリで出品または購入・両方の経験が高い傾向にあることが分かり、ネットショッピングを気軽に楽しむ人は、フリマアプリとの親和性が高いということになりました。
スマートフォンの普及により何もかもが手軽にできるようになった今、ショッピングにも手軽さが求められ、フリマアプリはそのニーズに応える形になっているのかもしれません。
また、フリマアプリを利用した理由を聞いたところ、最も多かった理由は「安く買えるから」69.5%となりました。

「安く買えるから」が上位にあがった背景には、一般の商品よりも割安に商品を手に入れる事が出来るメリットを、フリマアプリユーザーが重視する傾向がうかがえます。また、フリマの商品には消費税がかからないことも魅力です。

利用した理由で3番目に多かった「見ていて楽しいから」という回答には、フリマアプリ特有の行動がうかがえます。
フリマアプリではタイムラインに商品が更新されるので、新しい商品やレア商品を発見できる楽しみもありますし、こんなデザインの服を着ている人もいたのか、こんな雑貨が出品さているなんて珍しいなど、出品されるモノに面白みや親近感が湧いてきます。
まるでSNSを見るような感覚で、テレビを見ながら、寝ながら、移動中にも気軽に利用できる楽しさが、ランクインの理由ではないでしょうか。

このように、思い立ったときに時間・場所問わずに利用できるスマートフォンは、「所有する」から、「シェアする」、不要なものは「譲る」というユーザーの価値観の変化ともマッチしているのでしょう。

スマートフォンの普及によってアプリ自体が浸透していることも、フリマアプリのユーザーの伸びにつながっているのではないでしょうか。
近年、情報の取得はPCよりもスマホからという割合が高くなる中で、もはや「スマートフォン利用」はどの業界も無視できないほどの影響力をもっており、これまで抱えていた課題が、スマホのアプリによって解決できる可能性を秘めているように感じます。

ブランド品の買い取りサービスを行っている「Brandear」は自分の商品の査定額の目安が分かるアプリの提供を始めました。これまで、ブランド品を売りたい消費者が査定額を知るためには、ブランド品を送付して査定してもらう手段しかありませんでした。

ブランド品の往復送料や買い取りのキャンセル料がかからないとはいえ、査定額を知るためにブランド品を送るのが面倒というユーザーが利用するには、少々高いハードルがありました。
こうした課題を、ブランドや商品カテゴリで絞り込み、およその査定額を事前に知ることができるアプリサービスを導入することによって解決できるのと同時に、新規利用者に対しても、スマートフォンから簡単に価格を知ることができるサービスは、初回利用のハードルを下げられるメリットがあるでしょう。

フリマアプリはオークションを超えるか?


これまでCtoCサービスといえば、個人間の取引として「ヤフオク!」がオークションサイトとして代表的でしたが、価格のつり上げなど売り手に優位な場合があるという課題がありました。それに対してフリマは価格の変動がなく、オークションサイトよりもそうした問題が起こりにくいと考えられます。

そしてオークションは価格が決定するまで待つことになりますが、フリマは価格が決まっているため待つ必要はなく、取引は早く済みます。気軽に購入できるという観点からみると待ち時間は不要なので、フリマはスマートフォンにマッチしているのでしょう。
課題を感じるユーザーが気軽に利用できるスマートフォンアプリは、今後のCtoCサービスの普及の可能性も秘めているのかもしれませんね。

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