コラム
2022年9月21日
回答形式について
目次
■ はじめに
■ 単数回答について
■ 複数回答について
■ マトリクスについて
■ おわりに
はじめに
MMDLaboでアンケート調査の設計を進めていくと、
- 「この設問は複数回答の方が良いですよ」
- 「マトリクスの設問はあまりお薦めできないです」
など、回答形式についても提言させていただくことがあります。
それについて、「なぜ?」と疑問に感じられる方もいます。
今回は、最適な回答形式がよく分からない、どういう回答形式がより不正回答が少なるのか、と疑問に感じている方に向けて、アンケート調査によく用いられる回答形式についてご紹介します。
単数回答について
まず、最も基本的な回答形式である単数回答についてです。
1つの質問に対して、1つの回答を選択する回答形式を単数回答(シングルアンサー、SA)といいます。
そして、単数回答には大きく2つの回答パターンがあります。
まず、「はい」「いいえ」の2択で回答ができる二項選択法になります。
例えば、下図のように「Aサービスを利用しているか」の質問に対して、「はい」「いいえ」の2択で回答できる設問になります。
この設問は回答者にとって回答はしやすい形式ですが、他サービスとの比較ができません。そのため、他サービスの利用実態も把握するには多項選択法が最適です。
多項選択法は3つ以上の選択肢が回答できる形式となっています。回答者にとっては少し回答に時間がかかる形式ではあります。
ただ、他選択肢との比較が可能となり、全体と一部の比較が可能となります。
例えば、下図のように「最も利用しているサービス」をいくつか候補がある中で回答できる設問になります。
全体の中でAサービスが○%、Bサービスが○%、または利用しているサービスがない人が○%と把握することができ、他サービスとの比較が可能になります。
単数回答とはいえ、いくつかの設問パターンが考えられるため、その設問で何を知りたいのか、どのようなデータを把握したいのかを考慮して設問形式を定めていく必要があります。
複数回答について
次に、1つの質問に対して、当てはまる回答を複数選択することが可能な回答形式を複数回答(マルチアンサー、MA)といいます。
単数回答よりも、回答者の回答負担は大きくなるものの、複数選択肢の回答率を把握することが可能になります。
例えば、下図のように「利用しているサービス」を全て回答できる設問になります。
他サービスとの比較が可能になるだけでなく、1度でも利用したことがあるサービスも全て把握することが可能となります。
さらに、複数回答では回答できる選択肢の数を特に決めずに聴取するパターンが多いですが、
回答できる選択肢の数を制限する回答法もあります。
例えば、下図のように、「利用頻度が高いサービス」を3つ回答できる設問になります。
この設問を制限回答法と言います。この回答法を用いることで、利用頻度が低いサービスは排除していくことが可能となります。
ただ、制限回答法は利用しているサービスは全て選択できなかったり、制限させる条件(利用頻度が高い、愛着度が高い、継続意向が高いなど)によって回答者が回答しづらかったりと懸念点もあるため、活用する場面はよく考慮する必要があります。
マトリクスについて
最後に、表形式の設問で表頭、表側の項目を揃えて選択してもらう方式をマトリクス形式(マトリクスアンサー、MT)といいます。
例えば、複数のサービスの利用実態を確実に知りたい場合、単数回答1問ずつ設定して各サービスを利用しているか?と聴取する方法があります。
しかし、この方法は設問数が多くなってしまい、回答者にとっては回答時間が長くなってしまうのと、設問カウントが増えてしまい費用コストがかかってしまう可能性も高くなります。
また、複数回答にすると、そのサービスを利用しているのか否かを正確に把握することが出来ません。
そのため、各サービスの利用実態を確実に把握したい場合、下図のようなマトリクス設問を設定します。
下図の例ですと、「A~Dサービスをそれぞれ利用しているか」を把握できる設問になります。
ただ、マトリクス形式は選択肢1つずつに対して回答する必要があり、回答に時間もかかるため多用すると回答者にとっては負担が大きく、回答の離脱や不正回答が増える危険性も高いです。
最も考えられる不正回答としては、「当てはまるものはない」などの排他となる選択肢に集中する可能性です。
例えば、下図のように「サービスを利用する理由」を複数回答のマトリクス形式にて設定した時、Aサービスは理由が選択されているものの、Bサービスは「特に理由はない」と回答されたとします。
1回答者のみでしたらBサービスの選択理由が本当にない可能性もありますが、他の回答者のデータも見たときにAサービスよりもBサービスが明らかに「特に理由はない」の回答が多い場合、Aサービスに関する回答をした後に選択をするのが面倒になってしまいBサービスは適当に回答されてしまった可能性が高いです。
このように、特定の選択肢に回答が集中してしまうと、AサービスとBサービスの比較が困難になってしまうなど、折角設定した設問も無意味になります。
そのため、設問全体の分量や選択肢数なども考慮し、注意してマトリクス形式の設問は活用していく必要があります。
おわりに
これまで基本的な回答形式についてお話ししてきましたが、今回ご紹介した設問形式以外にも様々な回答形式があります。
MMDLaboでは、お客様の目的も踏まえて最適な回答形式のご提案と精査をし、お客様の目的に沿った設問設計を重視し、調査設計を行っています。
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