第7回MMD研究所主催MVNO勉強会レポート「MNO・サブブランドへの MVNO の取るべき手」

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第7回MMD研究所主催MVNO勉強会レポート「MNO・サブブランドへの MVNO の取るべき手」

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日付:2018/7/26

執筆者:坂本 有珠

第7回MMD研究所主催MVNO勉強会レポート「MNO・サブブランドへの MVNO の取るべき手」

第7回MMD研究所主催MVNO勉強会レポート「MNO・サブブランドへの MVNO の取るべき手」

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MMD研究所は2018年7月24日、「MNO・サブブランドへの MVNO の取るべき手」と題したメディア関係者向け勉強会を開催しました。今回はこれまでの勉強会にはなかった新たな取り組みとして、格安SIMに興味を持っている/検討している一般ユーザー3名をお呼びして、格安SIMに対するリアルな声をお聞かせいただきました。本記事では、そんな勉強会の様子をお伝えします。



今回ご登壇いただいたMVNO事業者は、mineoを提供する株式会社ケイ・オプティコムの上田晃穂氏、BIGLOBEモバイルを提供するビッグローブ株式会社の松田康典氏・吉川文丈氏、そしてイオンモバイルを提供するイオンリテール株式会社の井原龍二氏です。モデレーターは、当研究所所長である吉本が務めました。



◆MVNO市場の現在


はじめに、所長の吉本からMMD研究所の最新調査データをご報告。調査データに基づきながら、MVNO市場の現在の状況について分析しました。





MMD研究所が行った2018年3月の調査では、格安SIMユーザーが全体の15.1%となりました(Y!mobileを含む)。アーリーアダプターからマジョリティ層へ、いよいよターゲットとなる消費者が移り変わってきます。MVNO事業がキャズムを越えるためにはどうすれば良いのでしょうか?

◆各事業者の戦略


続いて、ご登壇いただいた事業者の皆様に、それぞれの戦略、今後の展望などを伺いました。

<ブランディングのmineo>
株式会社ケイ・オプティコムの上田氏は、現在のMVNO市場はレッドオーシャンであり、機能面や価格面における差別化は難しいと語りました。その上で、mineoとしてはブランド戦略に注力していくことを示しました。
具体的には、会員数約40万人を誇るファンサイト「マイネ王」を活かしてユーザーとの繋がりを築くイベントや、災害支援タンクをはじめとする社会貢献活動などの取り組みをご紹介いただきました。また、先日発表されたソフトバンク回線プランの開始によって、MNOと直接接続するMVNOとしては初めてのトリプルキャリアとなったことにも触れられました。


上田氏(mineo)

<サービスで勝負のBIGLOBEモバイル>
ビッグローブ株式会社の松田康典氏は、上田氏と同様、現在のMVNO市場では差別化が難しいという認識をお持ちでした。その上で、BIGLOBEモバイルとしてはサービス内容で勝負をしていくと示しました。具体的には、特定のエンタメコンテンツに関して通信量をカウントしないエンタメフリーオプション、そして法人向けプランの拡充です。特に法人向けサービスに関しては、6,000社以上の利用実績があるとのこと。企業のIoT化支援にも取り組んでいて、IoTの導入が、少子高齢化による労働力不足などを解消する切り札になるのではないかと語りました。


松田氏(BIGLOBEモバイル)

<きめ細かな料金プランのイオンモバイル>
イオンリテール株式会社の井原龍二氏は、これからのMVNO市場は、アーリーアダプターからマジョリティへと顧客層が変わっていくことになるという前提のもと、今後消費者にとっては「新しさ」よりも「安心感」が重要になると語りました。井原氏によれば、200店以上の直営店舗を持つイオンモバイルの特徴は、まさに「安心格安スマホ」。また、他社に比べて細分化された料金プランにも触れられました。細分化されている分、自分にとって必要な通信量だけ契約できるため、ユーザーにとって無駄のない料金体系になっているとのことです。


井原氏(イオンモバイル)

◆一般ユーザーとのディスカッション


今回のMVNO勉強会では、新たな取り組みとして、格安SIMに興味がある/検討している一般ユーザー3名をお呼びし、MVNO事業者とディスカッションを行っていただきました。以下では、事業者とユーザーの間で交わされたやり取りの一部を箇条書きでご紹介します。

<一般ユーザー3名のプロフィール>
・Mさん(40代男性)…格安SIMに興味がある
通信会社:docomo
利用端末:Galaxyシリーズ
・Kさん(40代男性)…格安SIMに興味がある
通信会社:au
利用端末:iPhone6
・Tさん(20代女性)…格安SIMを検討している
通信会社:docomo
利用端末:iPhone7

<格安SIMを知った/検討したきっかけ>
・Mさん:テレビCMや、ショッピングモールにあった実店舗などで知った。時期としては1年前くらい前。
・Kさん:ケーブルテレビを契約しているので、宣伝を目にしていた。かなり前から知っている。
・Tさん:職場の同僚が格安SIMを利用しているので検討を始めたが、通信速度に不安を感じている。

<ユーザーから事業者への質問>
・MVNOの回線はMNOに比べると遅いのか? また、MVNO事業者の間で通信速度に差はないのか?
【事業者の回答】
上田氏(mineo):MNOの回線に比べると、やはり通信速度は遅い。また、MVNO事業者の間で通信速度に大きな差はない。ただ通信速度が遅いから全く使えないというわけでもなく、大事なのは、自分にとって我慢できるレベルなのかどうかということ。
松田氏(BIGLOBEモバイル):MVNOの回線はMNOから借り受けた帯域の回線であり、この帯域を広げると「格安スマホ」の「格安」を担保できなくなる。また、計測した通信速度の結果と体感速度は厳密には異なるため、実際に試してみるのが一番良いと思う。
井原氏(イオンモバイル):やはりMVNOの通信速度はMNOには劣る。それを理解した上で、何を基準にMVNOに乗り換えるかという検討が必要。料金面の安さを取るか、通信速度を取るか。

・格安SIMの最安値の宣伝はよく見かけるが、データ容量が増えれば結局高くなってしまうイメージがある。通信容量無制限のプランなどはないのか?
【事業者の回答】
吉川氏(BIGLOBEモバイル):多くのMVNO事業者は従量制の料金プランを展開しているが、特定のコンテンツに関しては無制限に通信することができるカウントフリーオプションを設定している事業者もある。BIGLOBEモバイルでも、動画などのエンタメコンテンツを対象としたエンタメフリープランを用意している。

<事業者からユーザーへの質問>
・格安SIMを契約するとしたら、決定段階で誰/何の意見をいちばん参考にするか?
【ユーザーの回答】
Mさん:最終的には自分が決めるが、格安SIMユーザーの友人がいれば意見を参考にする。
Kさん:家族の意見も参考にするが、インターネットのクチコミも重要。
Tさん:クチコミがもっとも重要。友人などからリアルな意見を聞きたいが、周囲には格安SIMユーザーが少ないので、インターネットのクチコミをメインに見ている。

・格安SIMを契約するとしたら、安さの次に決め手となるものは何か?
【ユーザーの回答】
Mさん:ストレスを感じない程度の通信速度。
Kさん:端末面のことになるが、バッテリーの持ちの良さ。
Tさん:SNS利用が多いので、SNSが対象となったカウントフリープランなど。

・格安SIMを契約して現在より通信料金が安くなったら、浮いた金額で何をするか?
【ユーザーの回答】
Mさん:パソコンなど端末をアップグレードしたい。
Kさん:スマートフォンと別用途に使うタブレット端末が欲しい。
Tさん:年に一回行っている海外旅行の回数を増やしたい。

◆勉強会のまとめ


ディスカッションでは、三者三様のリアルな疑問や不安を聞くことができました。事業者からはそれぞれにMVNOの実情が語られ、有意義な意見交換の場となりました。ディスカッションの内容を受けて、最後に各事業者の皆様から振り返りのコメントをいただきました。

<200万回線に向けて――mineo>
上田氏は、2020年度までに200万回線を突破するというmineoの目標に触れ、そのためには今後ユーザーの通信速度に対する不安を解消したり、契約後のアフターフォローを充実させたりする必要があるという考えを示しました。通信速度に対する不安の解消策として考えられるのは、実店舗での体験や貸し出しサービスになります。そうなると今後、店舗でのサービス拡充が必要になってくるのかもしれません。

<独自のサービスを磨く――BIGLOBEモバイル>
松田氏は、MVNOに対して「料金は安いが速度は遅い」というステレオタイプなイメージがつきまとっているという認識を示しました。その上で、MVNO市場の中でどうやってBIGLOBEモバイルの特徴を打ち出していくのかが課題であると語りました。エンタメフリーや法人向けプランなど、BIGLOBEモバイルならではのサービスでユーザーから選んでもらえるようになることが目指すべき姿だとのこと。

<マジョリティへ届くメッセージを――イオンモバイル>
井原氏は、各メディアとも連携した情報発信や広報の重要性を強調しました。格安SIMを単に「料金が安くなるもの」だとして広めるのではなく、「格安SIMに乗り換えて浮いたお金でこんなことができた」「料金が安くなってますますスマートフォンを楽しめるようになった」など、マジョリティ層にも引き合いのあるメッセージを発信していく必要があると語りました。



レッドオーシャンと化しているMVNO市場。通信業界の中でキャズムを越えるためには、今後さまざまな変革が必要となることは間違いないでしょう。MMD研究所では、MVNO市場を一層盛り上げていくため、引き続き多種多様な調査やイベントを実施していきます。MVNO市場や通信業界全般に関して、「こんなことが知りたい」「こんなデータが欲しい」など、ご要望がございましたら、お気軽にご相談くださいませ。

また、本勉強会にご参加いただいた皆様に、この場を借りて御礼申し上げます。
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この記事の執筆者

坂本 有珠(坂本 有珠)

坂本 有珠(坂本 有珠)

MMD研究所 編集部員

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