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Vol.28  失敗を乗り越え累計1,000万ダウンロードを達成したNagisa代表に聞く、ヒットアプリの作り方

インタビュー

日付:2014/12/25

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Vol.28  失敗を乗り越え累計1,000万ダウンロードを達成したNagisa代表に聞く、ヒットアプリの作り方

Vol.28  失敗を乗り越え累計1,000万ダウンロードを達成したNagisa代表に聞く、ヒットアプリの作り方

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わずか2年足らずで20種類以上のアプリをローンチし、累計1,000万ダウンロードを達成したアプリベンダーがある。株式会社Nagisaだ。
ライバルの出現により主軸にしようとした事業を終了するなど、その道のりは決して順風満帆だったわけではないが、失敗を乗り越え蓄積してきた経験を糧に1億ダウンロードを目指す。今回は、そんなNagisa代表取締役社長 横山佳幸氏に話を伺った。




もともと大学時代の友人と起業して、最初の1年くらいは広告代理店をやっていたのですが、将来的にはメディア事業というか、プラットフォームとなるような、多くの方が使ってくれるようなサービスを作りたいと思っていました。

創業してから1年後にピボットして『Balloon』というアプリケーションを作り始め、資金調達や人の採用についてはある程度上手くいったのですが、事業自体は終りました。それが、今のLINEと同じようなビジネスモデルでした。LINEが出る前から開発はしていたのですが、開発やノウハウの面が足りず…LINEがテレビCMとか、そういったことに巨額のお金を使って急激に500万、1000万規模に伸びていったので、そこで勝負していくのは厳しいのではないかと、ピボットする必要性が徐々に出てきたことを今でも覚えています。

当初はそのBalloonという事業しかやっていなかったのですが、2013年の4月に女子高生の間でかめはめ波の真似をして写真を撮るという遊びが流行った時に、まさかこれが今のNagisaにつながるきっかけになるとは思ってもいませんでしたが、GW中の3日間くらいで開発できるからやろうよと、『かめカメラ』プロジェクトが立ち上がりました。




Balloonはお金を使って30万ユーザーくらいしかいかなかったのですが、かめカメラは何もせずして1週間で10万ダウンロードされました。世の名の需要をとらえ、おもしろいものを作っていくことにフォーカスを当てて新しい価値を提供するアプリケーションを作っていけば、それはそれで流行る。そう認識しました。

その後、ユーザー数を伸ばすためにどうしたらいいのだろうと、グロースハックをしていく中で、こういう風にすればサービスが伸びていくんだなとか、こういう風にすればユーザーの獲得、リテンション等を上げられるなっていうのを知ることができました。この経験がきっかけで一つのアプリケーションだけではなく、世の中のためになるもの、面白いものをどんどん出していこうと、様々なアプリケーションを創り始めました。2013年10月以降はアプリを出すたびに数十万ダウンロードされていったので、これはもう事業としてピボットしようと決意しました。

----アプリのアイディアはどのように出すのですか?

あるテーマに沿ってアイディアを考えてくる『アイディア会議』を毎週開催しています。例えば動画系、カメラ系のアプリケーションを作ろうとか、ユーザーがコンテンツを生んでさらにユーザーが集まるようなプラットフォームを作ろうとか、テーマを決めて実施しています。
テーマとしては、今流行っているものを挙げることもあれば、今後2~3年をスパンとして考えたときに流行りそうなものもテーマにしています。

今流行っているものを身近で言うと、LINEですよね。LINE占いとかLINEマンガとか、あれって実はガラケーからの転換をうまくやっていて、ガラケー時代に流行ったコンテンツを王道としてやっている。プラットフォームを持ちつつ、流行るコンテンツをしっかり自社で作る。素晴らしいですよね。加えて、今主流になってきているゲームもやっていますね。うちも過去に流行ったものをスマホに持ってきたら流行るのかっていうディスカッションをしますし、先ほどお話した通り、2年〜3年をくらい投資しないと流行らないよねっていうものも、ディスカッションします。テーマは色々ですね。



----流行るアプリケーションを作る秘訣は何でしょうか?

かめカメラもその一つだったのですが、結局、出してみなきゃわからないっていうのは僕らもあります。もちろん、「数十万ダウンロードはされる!」と想定してはいるのですが、それが数百万、数千万ダウンロードされるかなんて、出してみないと分からない。僕らとしては色んなアプリケーションを出していく中で、ユーザーを獲得できるアプリケーションを作る機会を得ることできた。ユーザーがいないアプリケーションをいかにグロースハックしようと思ってもユーザーの意見を取り入れられないので分からないですよね。ユーザーが爆発的に伸びたタイミングでユーザーの意見を聞き、且つスピード感を持ってアップデートすることを繰り返してきたことで、「どういうものがユーザーに受け入れられるのか」というのが経験値としてかなり溜まってきました。

最初のBalloonで失敗しましたが、その後かめカメラで圧倒的にユーザーを獲得でき、グロースハックを繰り返す事ができた経験というのは、本当に大きかったなと考えています。

アプリを作る上では、ノウハウ、経験はもちろんなのですが加えて、いい人材がいることが重要だと考えています。競合も意識していますが、僕ら自身が最終的にユーザーの視点をとらえたモノづくりができるかに、これからもこだわっていきたいです。

----サービスを作る上で具体的にやっている事を教えてください。

とにかくユーザー視点を持つ事。昨日も高校生にインタビューを行ったのですが、彼らの1日のスマ−トフォンの利用時間って8時間、10時間が当たり前で、そのうちの半分をLINE、Twitter、YouTubeで費やしている。スゲーなと(笑)高校生の話を聞いていると、僕らが知らないサービスをやはり使っていて、彼らの行動とか全然分からなくなってきている。そういうユーザーに向けたモノづくりするときには、ユーザーインタビューをしないと全く的ハズレなものができると思いますね。



----スマートフォンの登場によって、ユーザーの行動が大きく変わって生きている?

はい、そうだと思います。スマホ−トフォンの画面を開くとそこがもうポータル化されてるんじゃないかと捉えています。今まではガラケーやwebでもyahooに行けばポータルがあってなんでも出来ましたが、スマホは“1アプリ1機能”とユーザーが自然と理解していると考えています。一つのアプリで一つのことをシンプルに、迷いなく成し遂げられるようなコンセプトや仕組みを持つアプリがユーザーに受け入れられていると考えています。

もちろん最終的にユーザーにとって面白いものなのかどうかっていうのも判断しますが、ひとつのテーマに沿ってシンプルにユーザーに届けられているかっていうところ。それをスマホでやることによってスマホでの優位性をアプリで表現できるかというポイントは常に意識していますね。



----「良いアプリを作る」だけでは広まっていかないと思います。御社のアプリの場合、バイラルの爆発力がすごいと思うのですが、その秘訣は何でしょうか?

正攻法としては3つあります。単純にプロモーションでお金を使ってダウンロードしてもらうっていうのとASO(App Store Optimization)と言われる、App Storeでの検索で流れてくるもの、あとはそのプロモーションで獲得したユーザーとASOで獲得したユーザーが、さらにユーザーを生む仕組み、バイラル機能を入れるもの。1、2が実現できれば3も自動的に拡大していくので、1,2,3がループされてアプリケーションがどんどんダウンロードされる仕組みになる感じですね。

この機能を入れたらすごいバイラルして伸びるんじゃないか、とやっていく中で得た感覚もあります。例えば、「49人目の少女」というカジュアルゲームアプリがいい例なのですが、1ヶ月の間に15万回くらいtwitterでシェアされて、自然とユーザー数が伸びていきました。
結局、世の中で流行ってるものを見るのではなく、世の中の人の行動を見るべきだなと思っていて、スマートフォンってみんな持っているよねという単純なことなんですが、僕がスマートフォンアプリ事業を始めた2011年ってそんなに皆がスマホを持っていなかったので、これから絶対変わるよねっていうところに踏み込みこめたということが大事だったなと思っています。

----マネタイズについて聞かせてください。

現状は広告収益が約95%です。今後、課金モデルが成り立つようなサービスも作っていきたいですね。

自社メディアの広告収益とは別に、自社でアドネットワークを展開しています。テキストポップアップ型の「pop ad」とネイティブアドの「Paradox」 というサービス、2つとも自社でマネタイズするために作った自社システムなんですが、そのノウハウを外部に公開して、外部のデベロッパーさんも収益化できるように僕らの方でもお手伝いできたらなっていうような思いも込めて作っています。

今はバナー広告がメインで収益化されているんですけど、バナーではない部分だと、「pop ad」を全てのメディアにいれています。運営者側の好きなタイミングで広告を出せて、たとえば画面を開いたタイミングで出すとか、ページをめくったタイミングで出すとか、既存のバナーのプラスアルファで収益を上げることができます。あとは自社メディア用に作ったものなので、自社の運営に必要な機能とかも入れています。たとえばアップデートしたのでお知らせしたりとか、レビューを書いてほしいからお知らせしたりとか、自社のアプリケーションから自社のアプリケーションにユーザーを流したいからお知らせしたりとか。マネタイズだけでなく、ユーザーに対してサポートしていくような使い方もできるので、マネタイズとサポートの両面を支援できるっていうところが強みです。

----御社の戦略について教えていただけますか?

スマートフォンアプリのいいところってwebと違ってサーバーが絡まなくてもできて、簡易的に作れるところですよね。早いものだと2週間。大きなプロジェクトだと3ヶ月くらいかかりますが、そう考えていくとwebサービスよりもかなり簡易的且つ高機能なものが作れるという意味では、ほんと時代は変わったなと思います。
もともとwebサービスは、ユーザーを獲得するためにSEO対策や広告出稿、バイラルと言われるユーザーがユーザーを生む仕組みが注目されていました。スマートフォンアプリのマーケットにおいては、App StoreとかGoogle Playでの検索、ASOも加わってきています。

僕らのアプリケーションは1日に10,000~15,000ユーザーくらい、その検索から流れてきています。たとえばApp Store内で「日記」と検索すると「Livre」が1位で出てきますし、「動画」で検索すると「SLIDE MOVIES」が上位に出てきます。スマートフォンの普及に伴い、App StoreやGoogle Play内での検索の需要がますます高くなってきています。

その中でNagisaが目指すのは、ユーザーがどんなワードで検索しても、Nagisaのアプリケーションが上位に出てくるという世界を実現すること。webの検索ではありえなかったことが、スマホのマーケットでは十分にあり得る。色々なサービスを手掛けながらも、ものづくりに強いこだわりを持ち、とにかくしつこく実現していきたいなと考えています。

これが実現できれば、1日10万ダウンロードくらい検索からくることが予想でき、検索経由だけで年間3,650万ダウンロード規模になります。そう考えれば、年間1億くらいやれるんじゃないかと。一つのメッセージアプリをプラットフォームとして捉え、そこから色んなサービスと連携を計っていくという今のLINEの戦略は、僕らは叶わなかった。今はどちらかと言うとApp Store自体を一つのポータル、一つのプラットフォームととらえて、そこからユーザーを獲得するということをやっています。



----起業するまでのことを聞かせてください。

もともとITにもベンチャーにも興味はなかったんです。
法政大学の経営学部に在籍していて、2006年に卒業しました。両親がずっと大企業にいたのでベンチャーという選択肢はなく、一切受けてないんです。KDDIに入社を決めた時も、入社するメンバーより働けるようになっておきたいというか、社会人としての知識とか経験を得ておきたいなと思って、すでに社会で働いている方の講演に行ったり、セミナーに参加していました。その際に、ベンチャーで働く優秀な学生とかに出会う機会があって、そういうところも将来的にはありなのかなと思いながら就職しました。

結果、人もモノも金も仕組みもあるKDDIで僕ができることは何なんだろうと考えるうちに、将来起業しようかなという選択肢がだんだん膨らんでいき、KDDIを一年で辞めて、3~6年後に起業しようとネットエイジ(現ユナイテッド株式会社)に転職しました。

当時のネットエイジは様々なITベンチャーへの投資や新規事業の立ち上げを行っていたので、そういったベンチャーの事業を見たり経験することが、将来起業に繋がるのではないかと考えていました。それが2007年の4月くらいです。そこから3年ほどネットエイジで人事、社長室、その後、上海に渡って中国の企業に投資するっていう仕事をする中で、いろんなビジネスや人と出会ったことがきっかけで更に起業したいなという思いが深まりました。
日本に戻ってきてからは新規事業の立ち上げ、ベンチャーキャピタルとしてベンチャー投資を経験し、2010年の5月にNagisaを創業しました。
ネットエイジで幅広く事業に関わったその経験は、すごく大きかったなと思っています。その反面、事業の立ち上げという面で言うとプロフェッショナルではなかったので、そういう部分でこの4年くらい苦労したのかなと思っています。

最初にKDDIに入った時には、人もモノも金も仕組みもある、こんな全部そろっているところで仕事していいのかなと、恵まれ過ぎてるなと感じていたんです。もちろん、さらにそこからチャレンジする環境もありましたが、全くゼロの環境から、自分で作り上げていくことに面白みを感じる人間だったので起業を志すようになったんだと思います。もし、最初に入ったのがベンチャーで人もモノも金も仕組みもない環境だったら、考え方が変わっていたかもしれないですね。

----これからNagisaはどこを目指しますか?

先ほどの話に戻りますが、高校生にユーザーインタビューをした際、Nagisaのアプリケーションを使ってくれていたんです。でも「あ、これ使ってる、なんていうサービスだったっけ?」と。使ってはいるんだけど、サービス名は知らないんです。「じゃあ、この青色のサービス知ってる?」って聞くとそりゃ当然のように「twitter」って言うわけですよ。そう考えていくと、Nagisaのサービスって世の中に知れ渡ってないし、やっぱり世の中に知れ渡る圧倒的な存在になるサービスってすごいなっていうのを改めて感じました。高校生に茶化されながら。
でも、それってまっとうな答えというか。みんなたぶんアイコンしか見てないんですよね。サービスが本当にすごく良くて、友だちに教えたくなるようなものって世の中にほんと一握りしかない。やっぱり世の中の誰もが知っていて、誰もが紹介したくなって、誰もが常に使っているサービスを作りたい。人の生活が変わるようなモノ作りを今後も突き詰めたいですね。
正直、Balloonが流行ったら世の中変わると思っていました。残念ながらLINEが流行りましたけど(笑)世の中を変えられるチャンスはあったし、でも掴めなかった。また世の中を変えられるようなサービス作りたい。近い将来にまたチャレンジしたいと思っています。




[取材後記]

iPhoneが世に出てまだ7年。スマートフォンアプリ市場はアイディアと開発力があれば挑戦できるスタートアップベンチャーにとって最適な場と言える。ヒットすれば注目も資金も集まり、一つの業界に留まらないサービス展開が可能になる。
スマホ黎明期に経験した成功と失敗を経て、Nagisaはアプリ業界の牽引役となれるか、これからが勝負どころだ。


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