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2011年6月14日

コラム|「お茶の間が変わる!?」リビングから世界へのコミュニケーション

今回は、当研究所が2011年2月11日~2011年2月16日に実施した家庭でのインターネット環境とテレビのインターネット接続に関するアンケート結果について考察してみたいと思います。
今回のアンケートにて行った、「インターネットテレビでどのようなコンテンツを利用したいか」という調査の結果に対し、筆者はとても違和感を感じたので、まずこの結果に絞ってお話を進めていこうと思います。



データをご覧になって分かるように、利用したいコンテンツのTOPはダントツで「YouTube」、そして上位は動画を楽しむ類のコンテンツで占められています。このアンケート結果から、回答者の多くはインターネットテレビを「視聴」という目的で利用したいと考えているということが言えると思います。

果たしてインターネットテレビの魅力は「視聴」だけでしょうか。
その回答を出す前に、少しインターネットテレビについての巷の情報をまとめてみたいと思います。

インターネットテレビというと、放送事業者などが取り組んでいる「IPTV(Internet Protocol TeleVision / IPを利用してデジタルテレビ放送を配信するサービス)」や、動画サイトにアクセスするなどの利用方法を想像される方が多いかもしれません。しかし、インターネットテレビの魅力は、「TV=動画配信」という枠を越え、ゲームなどのアプリ起動やSNSによるコミュニケーションツールとしても利用できるなど、これまでの視聴型テレビのカルチャーを大きく変えるところにこそあると筆者は考えています。
これらのインターネットテレビは、タッチスクリーンのリモコン機能などを搭載する多機能なものを中心に、「スマートテレビ(GoogleTVに代表される多機能インターネットテレビの総称)」とも呼ばれていますが、その機能を簡単にまとめてみると次のようになります。

・従来の地上波放送の受信ができる
・インターネット動画サイト(IP動画配信サービス)の視聴ができる
・ゲームなどのアプリケーションをダウンロードして実行できる
・mixi、facebook、twitterなどのソーシャルネットワーキングサービス(SNS)が利用できる

つまり、従来のテレビが一方的な受け身のメディア(パッシブメディア)であったのに対し、インターネットテレビは、積極的にテレビと、そしてテレビを通してつながっている様々な人たちと向き合い、コミュニケーションすることが出来るという大きな特徴があります。
例えば、「日本代表を応援しながらtwitterで仲間とコミュニケーションする」など、動画を媒体として、お茶の間にいながら多くの仲間とつながる事も可能になります。これらのことから、筆者はこれからのインターネットテレビの楽しみ方について、その利用方法のキーワードは「視聴」ではなく、視聴者(ユーザー)間の「コミュニケーション」だと考えています。もしこれらの特徴がもっと広く周知されていれば、今回のアンケート結果のように動画コンテンツばかりが上位を占める結果にはならなかったかもしれません。文頭で書いた「違和感」とはまさにその部分です。

インターネットテレビについて、日本では著作権法上の問題(まねきTVの訴訟問題)など、色々な障害があると言われています。また、アメリカではSONYのGoogleTVが発売されましたが、日本ではまた独自の機能を搭載するのでは?などの話もあり、アメリカで使われている機器を日本のお茶の間に置き換えて未来を語るのはまだ早いのかもしれません。そのためか、インターネットテレビ、あるいはスマートテレビという名前は広まりつつあっても、それを利用する事によって受けられるサービスや、日本人のライフスタイルの変化などについての情報は、インターネット上でもあまり見かけません。恐らく、今後情報が増える事で、視聴者が「インターネットテレビに求めるもの」も大きく変わるでしょう。

改めて、みなさんが今後インターネットテレビで利用してみたいコンテンツは何でしょうか?

最後に、文頭からテレビ・テレビと書いてきましたが、実は筆者は現在テレビを所有しておらず、購入予定もない事を告白します。テレビを持っていない者がテレビを語っている事についてご批判もあるかと思いますが、その辺はご容赦下さい。ただ、もし次回当研究所で同じようなアンケートを取り、その結果に大きな変化が見られたならば、その頃には恐らく筆者のお茶の間にもテレビが登場していると思います。

家庭でのインターネット環境とテレビのインターネット接続についての調査 2011年5月25日

MMD研究所 東寺 亮輔 Facebook

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