調査データ
2011年5月26日
コラム|スマートフォン広告市場普及のカギは誰が握っているか?
執筆者
( 執筆担当:松田健太郎 / MMD研究所 )
「フィーチャーフォンユーザーのスマートフォンへの移行」、「スマートフォンからのアクセス増」が叫ばれる中、今回はインターネット広告関連に務めるビジネスパーソンを対象にメディア運営者・販売代理店・広告主それぞれの視点からスマートフォン広告に対する対応状況、意識、問題点などについてのアンケート調査を実施しましたので、その結果について触れてみたいと思います。
■スマートフォン広告枠をリリースしている広告メディア31.0%
主力広告案件は、オンラインコマースサイト、スマートフォンアプリの拡販
まず、インターネット広告メディア(ネットワーク)運営者を対象に、スマートフォン広告枠のリリース状況を調査したところ、「販売している」、「年内にスマートフォン広告枠のリリースを検討している」、並びに「時期未定ながら企画検討している」と回答した人が67.2%となっており、スマートフォン広告枠への高い意識を持っている人が多いことが伺えます。しかしながら、実際に「販売している」と回答した人は、31.0%となっており、現在伸びているスマートフォンからのアクセス増を意識しながらも、スマートフォン広告のメニュー、販売方法、販売見込み等を情報不足から予測が立てづらく、状況を精悍していることが想像できます。
また、現在スマートフォン広告枠を販売していると回答した人を対象に、「受注・あるいは問い合わせが来ている業種、案件」について調査したところ、オンラインコマースサイト(ポータルを含む)が72.2%、スマートフォンアプリの拡販(無料を含む)が61.1%となっており、直接のレスポンスを目的とした広告主からの問い合わせが多い状況となっています。
■提案時のネックポイントは「クライアントのスマートフォン未対応」「メディアの配信実績不足」そして「販売営業担当の知識不足」
次に、インターネット広告の販売代理店にて、広告企画・セールスを担当しているビジネスパーソンを対象に、スマートフォン広告の取り扱いの有無について調査したところ、59.6%が「取り扱っている」と回答し、さらに提案・販売状況について調査したところ、「提案し、受注したことがある」との回答が61.3%となっており、提案からスマートフォン広告の受注率は高いことが考えられます。一方で、提案時のネックとなっているポイントを伺ったところ、「クライアントのWEBサイトがスマートフォンに対応していない」が61.3%、「メディアに十分な配信実績がない」56.5%、「効果測定できないケースが多い」が50.0%という外部要因に起因する理由が多く見られました。また、「自社営業担当の知識・経験が不足している」が41.9%という提案する側の知識不足からくる内部要因も高い数値が出ています。
提案からスマートフォン広告の受注率が高いことが想定されながらも、クライアントのスマートフォン対応面や、配信実績、自社営業担当の知識不足という外部要因と内部要因の両側面から一部の業種以外への提案が積極的には行えていないという見方ができます。
■スマートフォン広告の効果はよくわからない25.0%
続いて、インターネット広告に自社広告を出稿していると回答した人を対象に、スマートフォン広告への出稿意識を調査したところ、今後積極的に出稿を計画していると回答した人が17.9%、提案次第では出稿する準備があるとの回答が21.4%という結果になり、スマートフォン広告への出稿意識は高くないと回答した人は58.9%となり、現時点での出稿意識を見ると、様子見の広告主が多い状況と言えます。
また、スマートフォン広告の出稿経験がある人を対象に、広告効果面について伺ったところ、よくわからないという回答が25.0%と最も多い結果となり、スマートフォン広告への出稿をしながらも、テスト的な意味合いで出稿していることが想定できます。
実際に、スマートフォン広告に対する広告主の意見を見ると、「実績が少なく判断材料が乏しい」との回答が62.5%、「全般的に情報不足」と回答した人が42.9%となっており、広告出稿するための情報が足りていないという結果が一番多く出ています。次いで、「社内で効果指標を決めかねている」との回答が28.6%、「効果測定できないケースがある」と回答した人が19.6%となっており、効果指標面での課題が挙がっています。
今回の調査で、オンラインコマースサイト、スマートフォンアプリ拡販を目的とした広告案件に関しては、スマートフォン対応メディアでの広告掲載が進んでおり、徐々に実績を作り出し、広がってきていると感じられました。上記広告案件の広告主側から見た際に、広告効果に対する目的が明確なことと、PCにはない携帯性とフィーチャーフォンよりも多彩な表現の可能性から、より消費者に対して的確に情報が届けられるものとして、スマートフォン広告に対する期待度があるのではないでしょうか。
実績が出来ることで、情報が豊富になり、メディア運営者も販売代理店も広告主もスマートフォン広告に対して積極的になっていると考えられます。
しかしながら、現状で言えばその他においては、広告枠を提供する側も広告枠に出稿する側も共通して、情報不足からどちらかの状況が盛り上がってきたら検討しようという牽制状態にあると感じました。
この状況は、時間とともに解消されていく問題でもありますが、スマートフォンからのアクセス増加が急ピッチで進んでいると言われている今、静観していられる状況ではないのかもしれません。
今後もMMD研究所では、スマートフォンに関する調査を継続して行い、スマートフォン広告市場発展のために有益なデータを提供できるよう努めていきたいと思っています。
■ スマートフォン広告に関する業界動向調査 2011年5月26日
■ 執筆担当:松田健太郎 / MMD研究所 Twitter / Facebook
「フィーチャーフォンユーザーのスマートフォンへの移行」、「スマートフォンからのアクセス増」が叫ばれる中、今回はインターネット広告関連に務めるビジネスパーソンを対象にメディア運営者・販売代理店・広告主それぞれの視点からスマートフォン広告に対する対応状況、意識、問題点などについてのアンケート調査を実施しましたので、その結果について触れてみたいと思います。
■スマートフォン広告枠をリリースしている広告メディア31.0%
主力広告案件は、オンラインコマースサイト、スマートフォンアプリの拡販
まず、インターネット広告メディア(ネットワーク)運営者を対象に、スマートフォン広告枠のリリース状況を調査したところ、「販売している」、「年内にスマートフォン広告枠のリリースを検討している」、並びに「時期未定ながら企画検討している」と回答した人が67.2%となっており、スマートフォン広告枠への高い意識を持っている人が多いことが伺えます。しかしながら、実際に「販売している」と回答した人は、31.0%となっており、現在伸びているスマートフォンからのアクセス増を意識しながらも、スマートフォン広告のメニュー、販売方法、販売見込み等を情報不足から予測が立てづらく、状況を精悍していることが想像できます。
また、現在スマートフォン広告枠を販売していると回答した人を対象に、「受注・あるいは問い合わせが来ている業種、案件」について調査したところ、オンラインコマースサイト(ポータルを含む)が72.2%、スマートフォンアプリの拡販(無料を含む)が61.1%となっており、直接のレスポンスを目的とした広告主からの問い合わせが多い状況となっています。
■提案時のネックポイントは「クライアントのスマートフォン未対応」「メディアの配信実績不足」そして「販売営業担当の知識不足」
次に、インターネット広告の販売代理店にて、広告企画・セールスを担当しているビジネスパーソンを対象に、スマートフォン広告の取り扱いの有無について調査したところ、59.6%が「取り扱っている」と回答し、さらに提案・販売状況について調査したところ、「提案し、受注したことがある」との回答が61.3%となっており、提案からスマートフォン広告の受注率は高いことが考えられます。一方で、提案時のネックとなっているポイントを伺ったところ、「クライアントのWEBサイトがスマートフォンに対応していない」が61.3%、「メディアに十分な配信実績がない」56.5%、「効果測定できないケースが多い」が50.0%という外部要因に起因する理由が多く見られました。また、「自社営業担当の知識・経験が不足している」が41.9%という提案する側の知識不足からくる内部要因も高い数値が出ています。
提案からスマートフォン広告の受注率が高いことが想定されながらも、クライアントのスマートフォン対応面や、配信実績、自社営業担当の知識不足という外部要因と内部要因の両側面から一部の業種以外への提案が積極的には行えていないという見方ができます。
■スマートフォン広告の効果はよくわからない25.0%
続いて、インターネット広告に自社広告を出稿していると回答した人を対象に、スマートフォン広告への出稿意識を調査したところ、今後積極的に出稿を計画していると回答した人が17.9%、提案次第では出稿する準備があるとの回答が21.4%という結果になり、スマートフォン広告への出稿意識は高くないと回答した人は58.9%となり、現時点での出稿意識を見ると、様子見の広告主が多い状況と言えます。
また、スマートフォン広告の出稿経験がある人を対象に、広告効果面について伺ったところ、よくわからないという回答が25.0%と最も多い結果となり、スマートフォン広告への出稿をしながらも、テスト的な意味合いで出稿していることが想定できます。
実際に、スマートフォン広告に対する広告主の意見を見ると、「実績が少なく判断材料が乏しい」との回答が62.5%、「全般的に情報不足」と回答した人が42.9%となっており、広告出稿するための情報が足りていないという結果が一番多く出ています。次いで、「社内で効果指標を決めかねている」との回答が28.6%、「効果測定できないケースがある」と回答した人が19.6%となっており、効果指標面での課題が挙がっています。
今回の調査で、オンラインコマースサイト、スマートフォンアプリ拡販を目的とした広告案件に関しては、スマートフォン対応メディアでの広告掲載が進んでおり、徐々に実績を作り出し、広がってきていると感じられました。上記広告案件の広告主側から見た際に、広告効果に対する目的が明確なことと、PCにはない携帯性とフィーチャーフォンよりも多彩な表現の可能性から、より消費者に対して的確に情報が届けられるものとして、スマートフォン広告に対する期待度があるのではないでしょうか。
実績が出来ることで、情報が豊富になり、メディア運営者も販売代理店も広告主もスマートフォン広告に対して積極的になっていると考えられます。
しかしながら、現状で言えばその他においては、広告枠を提供する側も広告枠に出稿する側も共通して、情報不足からどちらかの状況が盛り上がってきたら検討しようという牽制状態にあると感じました。
この状況は、時間とともに解消されていく問題でもありますが、スマートフォンからのアクセス増加が急ピッチで進んでいると言われている今、静観していられる状況ではないのかもしれません。
今後もMMD研究所では、スマートフォンに関する調査を継続して行い、スマートフォン広告市場発展のために有益なデータを提供できるよう努めていきたいと思っています。
■ スマートフォン広告に関する業界動向調査 2011年5月26日
■ 執筆担当:松田健太郎 / MMD研究所 Twitter / Facebook
この記事の執筆者
セノオ アキコ(セノオ アキコ)
MMD研究所 編集部員