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2011年2月25日

コラム|スマートフォン普及にはモバイルサイトのスマートフォン対応が重要

フィーチャーフォンユーザー(スマートフォン非所有者)における、スマートフォン購買意向に関する考察( 執筆担当:松田健太郎 / MMD研究所 )


当研究所が2011年2月4日~2月8日にスマートフォン非所有者を対象に実施した「スマートフォンの購買意向」に関する調査では、2011年中にスマートフォンの購入を予定している携帯(フィーチャーフォン)ユーザーは、わずかに9.5%という結果になっており、「特に決めていない」と回答したユーザーは48.2%、「スマートフォンにする予定はない」と回答したユーザーは42.3%となりました。
正直、本調査をしている筆者たちは、昨年秋以降から携帯キャリア各社(NTTドコモ/以下ドコモ、KDDI/以下au、ソフトバンクモバイル/以下ソフトバンク)が積極的に行っているスマートフォン関連の広告展開により、2011年中にスマートフォンを購買すると回答するユーザーの比率はもう少し高い数値が出るのではないかと予測していました。特に、「決めていない(わからない)」というユーザーの回答は想定できたが、「スマートフォンにする予定はない」と回答しているスマートフォン否定派が約4割という結果は、予測よりも高い数値となっています。

しかしながら、当研究所のモバイルユーザー調査は、モバイルサイトに日常的にアクセスしているケータイのヘビーユーザー層が多く、「ケータイは通話とメールができればそれでいい」というようなライトなユーザーは少ないことを考えると、現在の携帯(フィーチャーフォン)で満足しているために、スマートフォンにする予定はないという回答も納得できると筆者は考えています。

実際に、「2011年中にスマートフォンにする予定はない」と回答したユーザーを対象に、その理由を調査したところ、「今の携帯電話に満足しているから」という回答が45.9%と最も多く、その他では、「携帯の公式サイトに対応していない」、「携帯電話の機能(おサイフケータイ、ワンセグ、赤外線通信他)が無い」といった既存の携帯電話の機能を重視する結果が出ていることからも、上記結果は考えられる範囲と言えます。

一方で、スマートフォン非所有者で、2011年に購買意向のあるユーザーを対象に調査した「興味がある(購買を検討している)機種」では、ドコモのGalaxy S、ソフトバンクの次世代iPhone(※iPhone5)が共に18.1%ともっとも多い結果となりました。
この調査の中で筆者が感じたことは、依然としてiPhone(次世代iPhoneを含む)人気は高いものの、それに並ぶ形でandroid携帯の購買意向者の割合が高く、一時期のスマートフォン=iPhoneだけでなく、ユーザーの中でandroid携帯が浸透していることがわかります。また、興味のある機種の上位に入っている機種をキャリア別に見ていくと、iPhoneを除く機種に関しては、ソフトバンク機種が上位には入らない結果となっており、iPhoneは興味があるが、それ以外の機種に関しては、ユーザー自身の契約キャリアに依存していることが見えます。
こちらに関しては、当研究所が2010年2月に行った「もしドコモ、auからiPhoneが発売されたら購入したいと思いますか?」というアンケートで、ドコモユーザーの52.3%、auユーザーの56.8%が、それぞれ「自身が契約する携帯キャリアからiPhoneが発売されたら購入したい」という結果や、2010年10月に行った「各携帯キャリア別人気機種」のアンケートで、ドコモユーザーは、Galaxy Tab・Galaxy S、auユーザーはIS03(当時未発売)に高い興味を持っていたことからも契約携帯キャリアに依存していることが見え、この点についての変化は少ないことがわかります。

今回、スマートフォン非所有者にフォーカスし、購買意向者(興味があるを含む)と非購買意向者の両面から、スマートフォンに関する考察を行ってきましたが、購買意向者はスマートフォンの買い増し、買い替えを検討しているが、依然として携帯契約キャリアに依存する傾向がそのままに、自身の携帯契約キャリアから納得する機種が出るのを待っているように感じます。また、非購買意向者の中では、既存の携帯電話における活用頻度の高さから、慣れ親しんでいる携帯電話から切り替える(もしくは、買い足す)といった選択はまだ早いという傾向にあると感じました。

これは、スマートフォンにおける消費者のベネフィットが明確に示されていないこともひとつの要因として考えられます。日本の携帯電話は、すでに多くの機能を有しており、それに満足している携帯ユーザーがたくさんいると思われます。
今後、幅広く普及が予測されるスマートフォンではありますが、急激な伸びを見せるには、恐らく各携帯キャリアが続々と出しているスマートフォン本体のハード面の強化だけでは、スマートフォン非購買意向者を取り込んでいくことは難しく、フィーチャーフォンのヘビーユーザーを取り込んでいくには、モバイルサイトでしか展開していないWEBサービス(ブログサイトや無料HP作成サイト、電子コミックサイトなど)のスマートフォン対応が重要になってくると考えられます。


2011年スマートフォン注目機種・購買時期調査 2011年2月15日

■ 執筆担当:松田健太郎 / MMD研究所 @kentaro_UPDATE


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